第18話 約束の誓い 2

しばらく心を落ち着かせて彼女はボロボロになりながらも学校へ向かった。


その間にワシは学校に電話をして助けてもらった旨を教職員に話した。ワシは彼女の気管支に爆発物を入れたりなどはしていない。現にワシが舐めている飴は未だに爆発しとらん。彼女は見知らぬ男に拘束され錯乱状態に陥っている時に気管支に爆発物をいれると脅されたのだから、完全に信じ込むだろう。



彼女とした約束は一つ。学校が終わったら、ワシの家に来て世話をする事。ただそれだけだ。


「おい、婆さん。起きんか」ワシは婆さんの頬を叩いた。


「お、終わったのね。大丈夫。うまくいった?」


婆さんに流し込んだオレンジジュースは20リットルもない。実際はコップ2杯分のオレンジジュースを流し込んで、お婆さんは溺れる演技をさせていたのだ。


「婆さんの演技はうまかったのお。若ければ女優やってもええくらいじゃ」


「爺さんも私の吐いたオレンジジュースを飲んどる時はおかしくておかしくて笑いが止まらなんだわ」


ワシは少し照れてしまってなにも言えなくなったが久々に夫婦の会話ができた気がした。


婆さんは神妙な顔をして呟いた。


「なあ、いつになったら。このロープ解いてくれるん」


ワシは婆さんの体を拭きながら語りかけた。

「心配すな。もう少しの辛抱じゃ。今の子は村長の娘だから、娘をワシらの味方にして許してもらえるようにしとるから。安心せえ。ワシも好き好んで、お前を縛ったりしとらんわ」



婆さんは穏やかな表情になり「私、玲奈ちゃんに怒って油をかけたかもしれないわ。少しずつだけど思い出してきたの」



「ほんまか。それなら、外にでてお前が自白したりしたら大変な事になるから、しばらくはこういう生活になるけど、頑張ろうな」爺さんの励ましの言葉に婆さんは笑顔になった。



ワシは婆さんが玲奈にやった事は自分のせいだと思うようになった事で手応えを感じ始めた。完全に罪悪感を刷り込んで、ワシの意のまま操れると心の中でほくそ笑んだ。

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