第7話 時空を超える試作機 4

機体はもの凄いスピードで時空を飛び時空に穴が空けて、吸い込まれる様に未来の地球に衝突した。機体は耐久力があり、壊れはしなかったが衝撃はそこそこ強かった。


「婆さん、大丈夫か」


「ええ、なんとか。それより、爺さん、ダイヤルを回しませんでした?」


爺さんはうろたえながらも「い、いや、そんなことはない。きっと戻れるさ。戻れなかったら、あいつらのせいだな」


私はダイヤルを回す所をこの目に焼き付いてはいるけど、爺さんが可哀想なので追求はやめて外に出ることにした。のどかな田園に山は青々しく空気はとても澄んでいて想像していた未来とは違った。


「ここはどこなのかしら。地球だとは思うけど、本当に帰れるわよね」不安になる私をよそに爺さんはポチとはしゃぎながら、靴を投げてはポチに拾わせる遊びをしていた。



 私は無邪気な2人はほっといて再び、機体に入りタッチパネルを調べた。4087年 日本 岡山県 津山市 タッチパネルに年月と場所が表示されているのを見て少し安心した。早速、言われた通りに赤いボタンを押したが、何の反応も起こらない。これはまずい、本当に帰れないと思うと冷や汗がでてきた外へでて爺さんとポチを呼び、しばらくココで暮らす事になるかもしれないから、とりあえず人里を探そうと提案し辺りを散策しだした。



 1時間ほど歩くと小さな小屋を発見したが人の気配も無く、この世界に人類が存在するのかも怪しくなって余計に不安になった。 ドンドン!扉を叩いてドアを開けると、そこには子供がいた。



 「おお、子供がおるのぉ。坊主、名前は何というんじゃ」子供はキョトンとしながらも聞いてきた。「おじいちゃん達だーれ?お母さんのお友達?」


「おじいちゃん達はな。迷子になって家に帰れんで困っとるんじゃ。お母さん、よんできてくれんか」

「いいよ。ちょっと待って」子供は部屋の中へ走っていった。しばらくして母親らしき人を連れてきた。


「あら、何か御用ですか?」


「ワシら、迷子になってしまって帰る場所が見つからんのです。どうか、1日でも良いので泊めていただけんか?」すると、女は苦笑いをしながら断ろうとした時、ポチが部屋の中へ走っていった。ポチは鼻息を荒げ、畳の上をクルクル回り子供と追いかけっこをしだした。



「あなたがたは、どちらからいらしたのですか?」母親は少しだけ興味を持ってくれたのか話を聞いてくれるようになった。「信じてもらえないかもしれないのですが過去から来たのです。2183年から時空を超えて...」



 最初、母親は冗談はよしてもらえますかという雰囲気を醸し出してはいたが私達の必死さと真剣な説明が通じたのか泊まることを許可してくれた。

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