#59

第8地区 廃墟ビル



黒い全身にフィットするスーツを纏い、大きなマスクを口元にしている楓と


顔の半分を白いマスクで覆われたファントムは互いに見つめ合っている。



『お前をそこまで掻き立てるものは何だ?』



ファントムは答えを聞く前に楓に向かってくた。


楓は素早く避けるとファントムの腕を掴んで投げ飛ばす。


ファントムは背中を地面に打ち付けたが素早く立ち上がり楓に再び向かっていく。


楓はもう一度腕を掴もうと間合いを詰めた。


しかし、今度はファントムが即座に下にかがみ込み、楓の足を抱え倒した。


再びファントムはマウントポジションを取り、楓に殴りかかった。


『なぜだ!なぜ、お前はそこまでした戦う?』


楓は答えない。


『九十九にとって、もはやナインゲートは必要ないだろ!』


【・・・・・】


『お前はナインゲートに何を求めている!』


マウントポジションから容赦なく殴り掛かるファントムは楓に問いかける。


それは何処かの片隅に自分への問いかけのように感じているようだった。



『何がお前をそこまでさせるんだ!!!』


ファントムは大きく振りかぶって殴りにかかった。



バシ!!!



大きく振り落とされたファントムの拳を楓は左手で掴んだ。



『!!?』



楓はファントムの右手首を強く握り返す。


ファントムは苦痛に顔を歪めた。





【”希望”だ】





『何?』



【ナインゲートの人たちはまだ希望を持っている】


楓はファントムの腕を掴んだまま立ち上がる。


【希望を持っている限り、ナインゲートは蘇る】



楓はそのまま大きく振りかぶった右手でファントムを殴った。


ファントムは後ろに飛ばされる。



『戯言だ、あの腐敗した地区を見ただろ? あそこに希望なんてない』


ファントムは仰向けの状態で話した。


【オレはまだ信じている・・・彼らを】


『つくづくめでたい奴だな』


ファントムは素早く起き上がると楓に襲い掛かってきた。


楓は素早く交わすとファントムの腹を膝で蹴り上げた。


ファントムは思わず悶絶する。





【胴が空いてるぞ】


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