#60
片膝ををついて悶絶するファントムを楓は見つめていた。
【もう終わりだ、ファントム】
『ふざけた事を言うな』
ファントムは再び楓に向かっていく。
楓はファントムの攻撃を素早く交わすともう一度、腹に一撃を加えた。
ファントムは再びうずくまる。
しかしファントムは足首に隠していたバタフライナイフを取り出し楓目掛けて襲いかかった。
すぐさま察知した楓は腰に付けていたこん棒を手に取り、ナイフを持った腕を叩いた。
ナイフが後方に飛ばされると楓はもう一度こん棒でファントムの顔面を殴った。
ファントムの仮面は大きく割れ、体も後ろへ飛ばされた。
もはやファントムに反撃できるほどの力は残っていなかった。
【オレがナインゲート(第9地区)を変える、”悪の根源を断つ”】
ファントムは仰向けのまま、だまり込んでいた。
【お前の出来なかったナインゲートの平和はオレが必ず戻す】
『フフフフ・・・』ファントムは小声でせせら笑った。
楓は予想していなかったファントムの行為に少し戸惑った。
『お前は何も分かっていないな』
【?】
『例えナインゲートが平和になったとしても、オレにとってはあそこは”憎しみ”と”悲しみ”、そして”絶望”の場所でしかない』
楓は黙って聞いている。
『ならいっそのこと消えて無くなればいい』
ファントムはそう言うとポケットから小さなボタンのついた箱を取り出した。
【まさか!お前】
ファントムはそのボタンを押した。
遠く離れたところから大きな爆発音が聞こえた。
楓はファントムの胸ぐらを掴むんだ。
【お前の目的はナインゲートの支配だろ!どういうつもりだ!】
『それは美木本とSCARの目的だろ、オレは違う』
【何?】
『言っておくがオレは誰も信用していない、SCARであろうと』
【お前の目的は最初から・・ナインゲートの破壊だったのか】
『気づくのが遅かったな』
楓は素早く腕のグローブからワイヤを取り出すと切り離しファントムの体を括り付けた。
『なんのつもりだ』
【死なす訳にはいかない】
『どこまでもお人好しなことだな』
【悪は法で裁く】
楓はファントムの体を厳重に縛ると背中に抱え込みさらに楓自身の体にもワイヤーを巻き付けて固定した。
楓は耳に嵌めていたワイヤレスマウスに話しかける。
【警部、聞こえるか!】
《クロウ!、大丈夫か!》
【今すぐ周りに人を避難させろ!、巨大津波が襲ってくる】
《何?どういうことだ》
【ファントムの目的はナインゲートの破壊だ】
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