#40
PCの画面には美木本グループから盗んだ”T-ロック”のデータが映し出されていた。
楓は《鳥飼インダストリーAS研究所》の地下にいた。
三島がPC前のデスクに座って画面を見ている、楓は三島の後ろで腕組みをして画面を見ている。
ファイルに入っていたCG動画が映し出されている。
確かにK県の金田湾とC県の富浦湾を結ぶ様にCGの壁が海底から上がってきている。
『これを国に売りつけるってことなのか?』三島がファイルを閉じると楓の方に振り向いて聞いた。
『ああ、確かに美木本はファントムにこれを国に売りつけると話していた』
『でも、この”T-ロック”とSCARがどう繋がるんだ?』
『それはまだ分からない・・ただ、何か企んでいる・・とても危険な何かを・・』
楓は話を変えた。
『ナイトメアの方はどうだ?』
『さっぱりだ』三島は即答する。
『本当に第9地区なのか?』三島は問いかけた。
『それは間違いない、第9地区以外で栽培するのはSCARであってもさすがにリスクがある』
『警察も見放す第9地区が一番安全か・・』
*
翌日
『斎藤さん・・行っちゃだめって言われたんでしょ?』
東京メトロポリタンテレビのカメラマン丸山が怯えながら問いかけた。
斎藤と丸山は第9地区にいた。
『ダメだって言われてそのまま素直に聞いててどうするの? ”ナイトメア”の栽培場所はナインゲートなのよ』
『でもこれ取材じゃないんでしょ?完全にプライベートでやってるんですよね?』
丸山はこの日、カメラを持ってきていなかった。
『そうよ、あんたは私のボディーガードね。ちょっと頼りないけど』
『勘弁してくださいよ・・』
そそくさと歩き出す斎藤と、対象的に足取りの遅い丸山が”第9地区”へと入っていった。
*
昼間とはいえ、どこか殺伐とした異様な雰囲気を醸し出す”第9地区”に丸山は怯えきっていた。
『ヤバイですって・・斎藤さん』
『ナイトメアを大量に栽培するってことはそれなりの広さが必要だと思うけど・・』
斎藤は丸山の言葉には耳を貸さず九十九の地図を広げて第9地区のところを見ている。
すると上空からポツリ、ポツリと雨粒が落ちてきた。
それは瞬く間に大雨となり視界をも遮るぐらいの雨量となった。
とりあえず雨から逃げるように走り出し、どこか屋根のある所を探した。
しかし視界をも遮る雨により少し前も見えなくなった状態で2人はどうしたらいいのか分からなくなっていた。
その時、斎藤たちを呼ぶ声が聞こえてきた。
『こちらに来なさい』
優しい口調で呼ぶ声に斎藤は引き寄せられた。
丸山は斎藤の後を追うようについて行く。
『さぁ、ここに入りなさい』
導かれた場所はお寺だった。
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