#6
九十九市第9地区通称“ナインゲート”九十九都市開発の遅れから生まれ腐敗した地区として”九十九唯一の闇”と言われている地区。
腐敗による犯罪が増加の一途をたどる現状に九十九署も手に負えない状況であるため、署員の大半が見放している。
九十九で職を失った者がこの“ナインゲート(第9地区)”に集まるようになっていた。それでもこの“ナインゲート(第9地区)”でたくましく生きている者もまだ多くいるのだ。経営は苦しいながらも飲食店や商業施設等は存在し、暮らしている者もいる。
『お客様・・お代を払ってくださいよ・・』
『なんだ!てめェ、こんなまずいもの食わせておいて代金払えだと!』ガシャン!と食器が割れる音が店内から聞こえて来た。
店のすぐ側を歩いていた最徳寺(さいとくじ)住職”妙見(ミョウケン)はただならぬ雰囲気を察し店内をのぞき込んだ。
店内では亭主が見るからにガラの悪そうな男2人に胸ぐらをつかまれ脅されているようである。
妙見はためらうことなく店内に入り込んで『やめなさい』と声を発した。
『なんだボウズは?引っこんでろ!』男の1人がいきり立って罵声を浴びせた。
『やめなさい、食を提供してもらっているからには代金を支払うのが当然の責任ですよ』
『お前、おれたちを知らないのか!?』
『SCAR(スカー)』妙見は即答した。
『なら分ってるよな、ここでおれたちに歯向かうことがどう言うことか』
『君たちの方がわかってないようだね』
『なんだ貴様!』男は妙見に今にも殴りかかる勢いで迫ったがその時、
『おい!やめろ!』もう1人の男がそれを制した。
『帰るぞ』もう1人の男が今にも殴りかかろうとした男をなだめだ。
『なんだよ!たかがボウズだろ!?』
『いや、この人はいいんだ』男は急にトーンダウンし帰りを促してきた。
『あなたが分かる人でよかった』
男は鼻息荒いもう1人の男を押し出すように店の外へと出て行った。
『あ、ありがとうございます』亭主は妙見に頭を下げた。
『いくらですか?』
『?』
『さきほどの2人の代金です、払わずに出て行ったので』
『いえいえ、住職から取れません』
『いいのです、いずれ彼らに返してもらいますから』
妙見は2人分の代金を払い店を出ると見覚えのある顔の男が立っていた。
『変わりませんね、住職』
鳥飼楓の姿があった。
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