ポテトコロッケには、肉は入ってません!

笛吹ヒサコ

モノローグ

子どもの頃のわたしへ

 子どもの頃のわたしへ。


 こんな冴えない大人になるなんて、夢にも思っていなかったでしょうよ。


 スチュワーデス(ああ、今はキャビンアテンダントだっけ)、お花屋さん、お歌のおねえさん、それから、それから、花嫁さん。

 本当になんにでもなれる、そんな気がしてたんだ。


 なのに、なのに、どれひとつとして実現できないまま、アラサーど真ん中になっちゃいましたよ。


 というか、アラサーって何? アランド・サーティーの略だってのはわかりますよ。30歳前後ね。25歳の時に、アラサー呼ばわりされた時は、ほんと腹がたったよ。というか、25歳から34歳だっけ、よくわかんないけど、幅が広すぎるでしょう。今ならわかるけど、25歳と30歳じゃ、すでに話題が合わないの。それなのに、アラサーってひとくくりってどうかと思う。


 とにかく、このままで大丈夫かと不安になるような、大人になってしまったのよ。


 スーパーのパート店員なんておばさん臭いって、見下していたことを後悔するはめになったんだからね。

 あー、見下してた頃の自分に全力で説教したい。


 はぁ、でもさ、なんだかんだで、不自由なく暮らしてるんだよ。

 それで、今さら勝負に出るとか、無理無理。


 はぁ、ため息しか出ない。


 なにがともあれ、明日は4月1日、エイプリルフール。新人、それも年下の男が来るなんて、嘘だろと言いたい。


 はぁ、こんな冴えない大人になるなんて、ほんと、夢にも思ってなかったよ。

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