3話 説明は大事だよ。しっかり説明をしようね。頼むから

 ガルボを支払って俺は宿屋へと向かう。残りは75ガルボ。これで泊まれることはギルドで確認済みだ。


 「いらっしゃいませ」


 「一泊したいんですけど」


 「30ガルボになるよ」


 「あ、あの…食事って…」


 「ん?食事か?食事付だったら追加で10ガルボになるよ。朝食も付けるなら20ガルボ。どうする?」


 「じゃ、じゃあ…それでお願いします」


 俺は50ガルボを支払い部屋に案内される。直ぐに食事が運ばれて来て俺はやっと食事にありつく事が出来た。そして、ベッドで横になると、疲れが酷かったのか直ぐに眠りについてしまった。


★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

 「あれ…ここは…」


 俺は再びあの世界に来ていた。確か精神と時の世界だったっけ?


 『やあ、太一君。再び呼び出してしまって申し訳ないね』


 「あ、あんたは…」


 『君にもう一つ説明するのを忘れてしまったんだ。申し訳ないね』


 なんという事でしょう。この人たちは何度同じ過ちを繰り返せば気が済むのでしょうか。


 『君のステータスを分かるようにと言っておいてどうやってそれを見るのか説明をしていなかった』


 言われてみればそうだ。というか、そんな事忘れていたというのが正直な意見だが…。


 『ステータスの見かたは簡単だよ。頭の中で「ステータス表示」と唱えれば目の前にステータスが現れる。そして消すときは「ステータス解除」と唱えれば消えるようになる。ただそれだけ。君が信頼できる仲間が出来たらその人たちのステータスも見る事が出来るようになるよ。その時はその人の名前をとステータス表示とやれば出てくる解除は同じできるから』


 な、仲間?そ、そうか…異世界だから仲間とかも必要になるかもしれないな…。


 『じゃあ頑張ってね。これで私は本当に君の前に現れることは無い。さぁ、新しい人生を謳歌してくれたまえ!』

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


 目を覚ますと朝になっていた。周りを見渡すと昨日泊まった宿屋のベッドで横になっており俺は体を起き上がらせる。


 「ゆ、夢か?」


 だがやけにリアルティがある夢だった。それは夢のとおりに頭の中でステータス表示と唱えると、自分のステータスが現れる。


★――――――★

名前:鈴木すずき太一たいち

レベル:2

力:3

器用:2

体力:5

魔力:3

スキルポイント:20

【スキル】

アイテムクリエイト(物を生み出す力)

異世界言語

異世界文字

★――――――★


 あれは夢ではなかったことが証明される。だが、スキルポイントというのが追加されているのが気になる。俺は恐る恐る目の前に現れているスキルポイントという表示をタッチすると、ズラリと色んな項目が表示されるのであった。


 「こ、これは覚えることができるという事…なのか?」


 俺はズラリと並んだスキルをスクロールさせていくと、射撃という項目に目が止まる。


 「これ…もしかして、射撃レベルが上がるというのか…」


 だが、確証を得ることができない。どうするか迷っていると、ドアがノックされ、俺は口から心臓が出るのではないかと言うくらい驚きを見せるのであった。


 「は、はい…」


 「朝食をお持ちしました…。1泊ということなので、お昼前には退出をお願いしますね」


 「わ、分かりました…」


 俺は扉を開け、朝食を受け取る。基本的に肉料理がメインになっているが、味はそこそこである。ステータスの事は後で考えるとして、先ずは朝食を取ることにするのだった。


 朝食を取り終わり、俺は宿屋をチェックアウトする。


 そして今晩の宿代を稼がないといけないため町の外へと向かうと、兵士に呼び止められた。


 「通行書かギルドパスを見せてくれるか?」


 昨日の兵士とは違うため、交替制なのだろう。俺はギルドパスを見せ、街の外へと出ていく。


 町の外に出るとウサギやらなんやら動物がチラホラ見える。俺は銃を構えて一撃で仕留められるように狙いを定めるのだが、上手く弾が当たらず時間だけが無駄に過ぎていってしまう。昨日はウサギのやつから襲い掛かってきたのだが、今日に限っては逃げて行く。これは何かしら原因があるのだろうとは思うのだが、今はそんな事を考えている余裕はない。


 2時間ほど狩りをしているのだが全く捕まえることができずに俺は草原で大の字になって考える。俺の射撃能力が低いのが原因だというのは予期わかっているのだが…。


 「あ、そう言えば…」


 ステータスの事を思い出し俺は射撃のスキルをつけてみることにする。射撃のスキルはスキルポイントを10も使用するらしく、少し悩んだがやらないよりはマシだと思い、俺はスキルをつけることにした。

★――――――★

名前:鈴木すずき太一たいち

レベル:2

力:3

器用:2

体力:5

魔力:3

スキルポイント:20

【スキル】

アイテムクリエイト(物を生み出す力)

異世界言語

異世界文字

射撃:1

★――――――★


 ステータスに1という数字がついたということは、まだレベルが上がるということなのだろうか…。今の状態で確認は難しいため、取り敢えず目の前の事に集中することにする。


 暫くすると、離れた場所にウサギを発見。俺は狙いを定め慌てずに射撃をすると、今度は見事に弾はウサギに当たる。俺はうさぎに駆け寄り生死を確認すると、ウサギは死んでおり射撃の精度が格段に上がっていることが分かった。


 こうして俺は今日一日でウサギを20匹、イノシシを2匹仕留めることに成功し町へと戻っていくのであった。

★――――――★

名前:鈴木すずき太一たいち

レベル:3

力:4

器用:5

体力:6

魔力:4

スキルポイント:20

【スキル】

アイテムクリエイト(物を生み出す力)

異世界言語

異世界文字

射撃:1

★――――――★


 町に戻りギルドヘ向かうと、ダレルさんが店の中にいた。


 「こ、こんにちは…」


 「よう、タイチ」


 「今日狩ってきたのを換金してもらいたいんですけど…」


 「おう、ちょっと待ってろ…ベガルタ!買い取りを頼む」


 「は〜い…只今参ります」


 昨日の女性はベガルタという方らしく、俺達の方へとやってきた。


 「あ、いらっしゃいませ。買い取りですか?」


 「は、はい…。今日はウサギが20匹にイノシシが2匹になります」


 「まぁ!イノシシまで仕留めたんですか!冒険者なりたてなのに凄いですね…」


 「本当だな…ウサギをこんだけ狩るのも凄いが…イノシシまで殺ったのか…それに一撃で仕留めている」


 ダレルさんは驚いた顔で俺を見ていた。


 「本当に昨日までのタイチか?あれだけビクビクしていたクセに…」


 「なんか…コツが分かった気がしまして…」


 「ホぉ…頼もしい言葉だな。ウサギやイノシシは畑を荒らしたりするから駆除頼むぞ。まぁ、他の魔物とかを討伐したほうが儲かるがな」


 「ま、魔物ッスか…」


 「ほら、あそこにある掲示板を見ろよ…あそこに書かれているやつを仕留めたらその額が貰えるぜ。魔物の体内には魔核コアが有ってな、そのコアは色々な物に使われているんだ」


 「い、色々な…物ですか?」


 「あぁ、大きさによりけりだが、コアは生活に必要なものだな取り出すのは大変だから死骸を持ってきてくれればこっちで解体するぜ。魔物によっては食用になるやつだっているしな」


 「へぇ〜…コア…ですか」


 ベガルタさんからガルボを受け取るウサギ20匹で300ガルボになり、イノシシは1匹50ガルボになった。


 「イノシシに関しましては毛皮の状態が良かったので1匹につき20ガルボたさせて頂いております」


 毛皮まで買い取ってくれたのはありがたかった。今日だけで400ガルボの収入が入り、最低でも4日は泊まることができる。


 ダレルさんたちが言っていた掲示板を見ると、初めてこの世界に来た時であったあの化物…あれはゴブリンだったらしく、1匹につき100ガルボもする。だったらあの場所でゴブリンを探して狩ったほうが稼げるのではないか…。先ずは生活の基盤づくりを始めないとならない。先ずは自分のゆっくり休める家を手に入れる事…そこを目指そう!


 こうして俺のまず一つ目の目標が決まるのであった。

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