「角川文庫に聞く! 新人賞で求める小説とは?」①
吉良浩一編集長のトークイベントでは、以下のような話がありました。
・若い男性読者層(10~20代)を「角川文庫」作品に引き込みたい
・角川文庫を買い支えているのは40~50代女性
・角川文庫作品と読者の共通特性として
「身近な世界+αの特殊性」
「主人公と一体となりやすく楽しめるもの」
・お仕事小説コンテストの選考基準は、
「今の時代に流れる空気をハッと感じさせてくれるもの」
■若い男性層を引き込みたい
イベントのはじまりは、なぜ角川がこのイベントを開催したかという説明から始まりました。前章に記載した、「活躍できる作家を出したい、書き手の想い、読み手の願いを実現したい」という言葉が頭に残っております。
《以下主観》
私の主観であり憶測ですが、おそらく「目的とする作家不足」ではないのかな、と。つまりそれは、狙うターゲットに対して響く作品を書ける作家が角川文庫レーベルでは不足していると考えられます。(既存作家は囲われている、などもあるかもしれません)
■では、角川文庫が狙っているターゲットはどこなのか?
吉良編集長からは、「10~20代の男性」と説明がありました。
これは意外であり、もっと意外だったのが、「今の角川文庫を買い支えている層は40~50代女性(※)」ということ。
※プロット講評時に教えていただきましたが、30~40代に読んでいた層がそのままシフトしたため、今の年齢層になっているのだそうです。
説明時には年代・男女別に分けたリサーチデータグラフで説明いただきましたので、撮影録音禁止のため、ここではざっくりとしか説明できませんが、年代別の特徴を列挙します。
10代♂:ライトノベルジャンルを中心にシリーズ買い
♀:「夜は短し歩けよ乙女」
20代♂:ライトノベルジャンル、「氷菓シリーズ」
♀:「夜は短し歩けよ乙女」
30代♂:なし(ビジネス書に流れるため)
♀:湊かなえ作品
40~50代♂:男性内で比較すれば、東野圭吾作品
♀:湊かなえ作品、東野圭吾作品、森見登美彦作品(同年代男性の2~3倍)
男性層は新潮文庫が強いとのことでした。
(作家さんやラインナップを比較すれば見えてくるかもしれません)
また、10~20代男性は完全にシリーズ買いと固定ファンの年齢シフト。文芸には手を伸ばさないし、同系統のジャンルにも範囲を広げにくい。
一方で女性は、文芸の似た作風で回遊するため、ジャンル内の他の作家を手の取りやすい傾向にあると解説もありました。
《以下主観》
想像すると絵が浮かびやすいですが、私自身10代のころは、「自分が好きなのこそ一番!」と譲らない頑固でナイーブな時期でしたので、その傾向もうなずけます。
同様に、その年代の女性はおそらく主婦層で、子供も中学高校と進み、比較的以前より時間が取れるようになってきたこと、輪を作ることに長けたところから、流行としての有名作品、ネットの口コミに対する関心が強く、またSNSや読書歴をアップするサイトなどへの自己表現的ニーズもあるかもしれません。
データで説明されると自分の思い込みが、どれだけ自身の可能性を狭めているかを思い知らされます。
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