学園天国

◆ ケーキに目がない


女性はドラ子の無言を肯定と捉え、手を引いてズンズンと歩き喫茶店の前に到着した。


喫茶店でドラ子はショートケーキをご馳走になっていた。


ケーキを初めて食べるのか、もしくは大好物だったのか、一口目から食べ終わるまでずっと、瞳がキラキラ輝いていたように思う。


あまりに嬉しそうに見えたのか、女性はおかわりを注文してくれて、結局ドラ子はケーキを3つ平らげた。



◆ こっちでの年齢


俺はずっとサービスの水を飲んでいた。


女性に金は無いのかと聞かれたので、「金は無いんだ」と答えたら呆れたような顔をしていた。


「あなたたちはどういう関係なの?」と聞かれたので、「兄と妹です」と答えた。年を聞かれたので、「俺は15才でこっちは12才です」と答えた。


二人の年齢は今思いついた出まかせだった。



◆ ケーキに目がない②


「それじゃ、私の学園に来ない? それともどこかにもう、通っている?」と聞かれた。


「どこにも通ってませんが、面倒なのでお断りします」と答えたが、「ドラ子ちゃんはどう? 学園に行けば、もーっとケーキを食べられるわよー」と言いやがって、


「学園、行く」と、ドラ子があっさり陥落した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

テンプレート、集めました。 田中かなた @Kingery39

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ