街、チンピラ、路地裏にて

◆ 呼び名


また導きの枝を倒して進む方向を決めた。


ドラゴン少女は俺のことをマスターと呼ぶ。


しっくり来なかったので「お兄ちゃんと呼びなさい」と言った。


道すがらドラゴン少女の名前を考え、ドラ子と名付けたら喜んでいた。



◆ 街に着いて


しばらく進むと門があったが、門番のような兵士がいた。


兵士に身分証を出すよう言われたが、ポーチの中を探しても出てこなかった。


遠くの村から来たので身分証はありません、と告げるとそれでは通せないと言われたので、「これではダメですか?」と大きな宝石を渡してみた。


無事に門を通過した。



◆ 用意


導きの枝を倒してみようと思ったけれど、往来の真ん中でやるのは恥ずかしかったので、人の少ない方へひとまず進んだ。


「おい、ねえちゃんよー。俺たちと遊ぼうぜー!」と声が聞こえてきた。


野次馬根性で見に行ってみると、女性が三人組のチンピラに絡まれていた。


とりあえずステータス秘薬を飲んだのだが、その隙にドラ子が飛び出していた。


絡まれていた少女の前に移動して両手を広げたが、ドラ子は基本無口なので何も言わない。

「………」「………」



◆ どんッ!


痺れを切らしたチンピラがドラ子に殴りかかるが、ドラ子は合わせるようにして素早く踏み込み、相手の勢いも利用して、腹に肘を入れた。


残りの二人もパンチ一発ずつで沈めたところで、俺は物陰から出ていった。



◆ お礼は断るモノ②


女性が「お礼をしたいので付いて来て」と言ったので、俺は断ったが、「あなたにではなく、こちらの少女にお礼をしたいのだけれど?」と言われた。


たしかに俺は何もしていなかった。

物陰から見ていただけの臆病者に違いなかった。

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