第10話 おぱんつ事件とはなんぞや
※今回、ちょっとびろうなお話です。
お食事中のかたはお控えください。
唐突ですが、うちは一緒にお風呂に入ります。
え? わたしとダンナがですよ、もちろん。
娘はもうお年頃なので、さすがにダンナとは入りません。そうは言っても、ついこないだまで入ってましたけどもね。三人やともう、バスタブがぎゅうぎゅうになって狭い狭い。
それで子供の成長をはかる我が家。
って、これは絶対、ダンナの腹回りも成長したせいや!
とまあ、それは置いといて。
先日、二人でお風呂に入った途端、突然ダンナが言いました。
「……あのね。怒らないで聞いてくれる?」
む。
すわ、警戒警報発令。
これ言うときの男って、大抵ロクなこと言わへんですやん。
え? ドラマの見すぎ?
さすがの私もちょっと警戒しましたが。
一応、覚悟を決めて答えました。
「うん。怒らへんから言うてごらん」
「うん。……あのね」
それでも、しばし言いにくそうにしてから。
「ぱんつ、汚しちゃって……」
「……は?」
「せやからね。朝、家でちゃんとしていったんやけど、ちゃんと出きってなかったみたいで……」
なんですと?
「電車の中で『ふんっ!』ってしたら、その……空気だけやなくて、出ちゃったんよ、その……中身が」
「ほお、中身が……」
私はもちろん、
それでどうしたんかと聞いてみましたらですね。
ダンナはしょうがないので、駅のトイレでそれを脱ぎ、たまたま持っていたコンビニのビニール袋に包んで捨て、「股間がすーすーするよう!」と思いながら(きっと内股で)職場まで行き、その近くのコンビニでおぱんつを購入して、職場のトイレで装着したんやそうな。
これにて一件落着。
と、そう思ったら。
「もう、恥ずかしかった……!」
だから、女の子みたいに体育座りして湯船で訴えられてもですね。まーたきれいなお肌なもんやから、お湯とかぴちぴち弾くんですわ、これが!
いや、もちろん、そんなもんによろめいてんのは世界広しと言えどもこの私だけやっちゅう自覚ぐらいはありますけどもね。
ダンナ、切々と訴える。
「だって、いつも行くコンビニやし、店員、女性のかたやし……」
ダンナの職場まわりは牧歌的というのか閑散としてるというのか、とにかくコンビ二はそこしかないんやそうです。
一週間にいっぺんぐらいはいく店なもんで、昼間のパートのお○ちゃん(自主規制)には絶対顔を覚えられてると。
「もう、あれやね。女子とおんなしで、いざという時のために生理用ナプキンとか常備しといたら?」
わたし、半眼のままそうアドバイス。
「うう……。ほんまや。……怒らないでね?」
別に怒りはしませんて、そんなことで。
あほらし。人をなんやと思うとんねん。
何万円のぱんつ履いてるわけやなし。
「すわ、浮気か? いや、この男に限ってありえへん!」とか思った私の覚悟を返してんか。
無駄な勇気と覚悟をふりしぼらされたわ、まったくもう。
あ、それで思い出したのでもうひとつ。
男子はときどき、固くなったりゆるくなったりしますよね。まあ女子もか。
それでこの間も、ダンナは隣で例によってゲームなんかしながらふと、
「おしりが痛い……」
とつぶやいたのです。
間髪容れずに私、ばっとそっちを振り向いて。
「なにいいい! どこで浮気してきやがったあああ!」
……いかん。
腐ったヨメはこういうトコロがいかん。自重せねば。
さすがのダンナもキーボードに頭うちつけそうになっとりました。
うははは。
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