第3話 感情はいらない

 啓は国語辞書と睨めっこをしていた。

「あいさつって……?」

「朝はおはよう。お昼はこんにちは。夜はこんばんは」

「えっ三つも……。」

「大丈夫! 誰でも覚えられることよ?」

「鴉の方が楽だなぁ」

「鴉は人鳴きすればいいものね! でも人は違うの」

茎馞は、喋れるようになった啓に疑問に思ったことをぶつけた。

「……星環ってなんだったのかな」

「自然現象……じゃない?」

 数日経ったら消えてしまいましたとの報告が何日にも渡り同じ内容がテレビで報道されていた。

「そんなに気になるようなこと?」

「気になるよ! だって、その日に君が……」

 啓は外の鴉の群れを横目に見やり、少し俯いた。

「……ボクだってなんでこの姿になったのかが知りたいよ」


「なにこれ……」

 自然と涙が溢れていた。

「啓……?」

 まるで自分はから捨てられてしまったみたいだと。

「……嫌だ……! 待って……置いてけぼりは……嫌だ……」

 啓はその場にへたり込んでしまった。













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