寝顔に囁いて
ピッ―――
ピッ―――
ピッ―――
ねぇ… そろそろ起きなよ…
いつもそんな安らかな寝顔して…
今日はどんな夢を見てるの?
聞かせて欲しいよ……
思えば僕ら 事故の前より一緒に居る時間が増えたね
あの頃はこうして寄り添う時間も少なかった気がする
こんな風になっちゃっても 君が居るだけで僕は頑張れるよ
毎日その寝顔を見るだけで まだ幸せが近くにあることを信じられるんだ
でも…
大好きだった笑顔も見たいよ…
いつも困らされた泣き顔だってもっと見せてよ…
僕の歌を気持ち良さそうに聴いてくれてたキミも
美味しい物を食べて幸せそうな顔をしてたキミも
僕を驚かしてはイタズラな笑顔を見せてたキミも
可愛い服を見つけては言葉をねだってたキミも
手を繋ぐだけで嬉しそうにしてたキミも……
神様
もしいるのなら
どうかあの頃の彼女に戻してください
どうか 彼女を元気づける力を僕に与えてください
どうか… 彼女の優しさに… 応えさせてください……
ピッ―――
ピッ―――
ピッ―――
「…ん…」
「… また寝ちゃった…ごめんね」
「……今日も起きてくれなかったね……」
「…皆がね、あなたを植物だって言うの。私に見えないところで…」
「とっても悔しいわ……」
「でもね、芽吹かない植物なんてきっと無いから…」
「あなたはもう一度綺麗な花を咲かすって、私は信じているからね」
「…ん…」
「…ずっと寝ているくせに…柔らかい唇…」
「早くあなたからして欲しい…」
「約束だからね。 聞こえてるといいな……」
「また明日来るね」
「…ん…」
「……愛してる」
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