おやすみ。 

 

 キミのちいさなチカラが

 ボクを抱きよせる。

 

 ボクはちいさなキミを包みこむ。

 安らかな寝顔を見つめながら。

 穏やかな寝息を聴きながら。

 そのぬくもりを与えられ。

 そのぬくもりを封じこめるように。

 

 汚れたカラダを冷たい水にゆだねているとき

 ボクはキミを想う。

 キレイになっていくこの肌から

 キミの感触が失われていく気がして。

 それがすこし

 かなしい。

 

 まぶしい空を見上げているとき

 ボクはキミを想う。

 清らかな太陽の薫りとひきかえに

 キミの匂いが失われていく気がして。

 それがすこし

 さみしい。

 

 でも

 またキミを守れる優しさをたずさえたボクに

 その笑顔は「ダイスキダヨ」と言ってくれている。

 だからボクも思うんだ。

 キミと同じようにキミを。

 

 少しずつ大人へ向かっていくその体を

 ボクはあとどれくらい包んであげられるのだろう。

 あとどれくらい汚れを洗いながして

 あたたかな太陽の薫りで抱きしめてあげられるのだろう。

 いつまでキミのぬくもりを感じながら守りつづけてあげられるのだろう。

 いつまでキミの笑顔に抱きよせてもらえるのだろう。

 

 このちいさなベッドのうえで。

 おかあさんの溢れるような愛情といっしょに。

 キミのちいさなカラダへ、そっとかけられて。

 いつかくる別れの日まで、ボクはキミのそばにいてあげるから。

 いまは安心して目をとじて……

 

 “おやすみ。”

 

 

 

 

 

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