第2話 共和国にて ~次元の彼方とエールと仲間~
翌日、ネオ・ユニコーン号は航海日程に支障をきたす事なく共和国領の港へ入港した。
依頼物資の搬入も滞りなく終了し、羽を伸ばそうと歓楽街に繰り出す船員たちを見送り、トマスは一人、港のそばにある大きな館へと向かった。
レンガ造りの立派な屋敷の入り口には、渡り鳥をモチーフにしたレリーフと共に『ツークフォーゲル商会』と書かれた看板が掲げられている。
「ユニコーン運輸のトマスです。海賊船を曳航してきました」
報告を受けた受付の男は、慣れた様子で担当者へ連絡をつける。
数分の後、応接室に通されたトマスの前には、初老の紳士然とした男性が立っていた。
連邦・共和国を股にかける大規模商業ギルド『ツークフォーゲル商会』の海運業担当者をつとめる男、ライトである。
トマスに目の前の椅子に腰掛けるよう勧めると、数枚の書類を机に広げながら彼も椅子に座った。
『船舶売買契約書』
見慣れた見出しから内容までを斜め読みし、トマスは横に置かれていたペンを手にとる。
「では、こちらの艦は責任を持って我が商会が預からせていただきます。お金の方は、いつもの通りの比率でお支払いします」
「よろしくお願いします」
手慣れた様子でトマスは書類にサインを入れる。
「今度は〝雷撃〟ですか……襲撃数は少ないですが、金品のみならず書籍なども奪う強欲な連中です。制圧、感謝します」
「いえいえ。降りかかる火の粉を払いのけたまでの事です。僕たちは単なる運送屋ですから。それで、刑罰の方は……?」
「船長は無論、絞首刑です。繰舵手は船員の代表ですから聴衆の中で腕を落とします。他の船員は焼き印を入れてから貧民街送りでしょうね」
眉一つ動かさず、冷徹な瞳のまま、ライトから発せられた言葉。幾多の商船から掠奪を繰り返す海賊に、商会関係者がどれほど黒い感情をため込んでいるのかはトマスもよく理解している。
しかし――そこにトマスは待ったをかけた。
「船長は、このあたりの海流を知り尽くしています。それは手口とこれまでの撤収速度からみて間違いありません。さらに、船員たちも彼へ絶対的な忠誠を誓っているようです」
トマスの口からでた言葉に、担当者は深いため息を漏らしながら答える。
「はぁ……」
「優秀な艦があっても、動かせる人間がいなければ宝の持ち腐れ――そうではありませんか?」
「つまり、あの船を彼らに渡して商会の運営に協力させたい、と?」
またか、という言葉を口外に嫌と言うほど滲ませながら、ライトはあらかじめ用意していた一枚の羊皮紙をトマスの前へと差し出してきた。
「『保証人証明書』です。断っておきますが――」
「承知していますよ」
つむがれようとする言葉を先読みして首肯するトマスに、ライトは二度目のため息を吐いた。
「これでいくつの海賊団の保証人になりました?」
「四つですね。それと、元・海賊団です」
「まったく、不思議な人だ。海賊を取り締まる一方で、見込みのある海賊の助命をするなど……」
「それが、僕たち『ユニコーン運輸』の流儀です」
では、とサインをした二枚の羊皮紙の片方を懐に入れ、トマスは部屋を後にした。
簡単な手続きを無事に終えた私は、はじめて踏む異国の地に圧倒されていた。
煉瓦づくりの高い建物がいくつも並び、太い通りの両脇にはずらりと露店が軒を連ねている。
しかし、日の当たらない場所に目を向けると、半裸のようなきわどい格好の女性が妖艶な手招きをする宿や、地下への入り口など、怪しげなたたずまいの店舗も多い。
そして、そんな店に繰り出す客たちは日に焼けた大柄の男たちばかり。港にある船の乗組員や造船所の船大工、さらに異国の貿易商人などが入り交じり、様々な言語が飛び交っている。
「これが、港町なのね……」
皇帝が全ての決定を下していた旧帝国――現在の連邦とは異なり、複数の大領主による話し合いで国策が決定していた共和国は、大領主たちがいなくなってからすぐに新しい議会を開催するために動いたらしい。
その立ち直りの早さが、連邦の港との活気の差となったのではないか――港町の様子ひとつ取っても、そんな体制の違いが伺い知れる。
「お待たせしました」
後ろから、扉の開閉音とともに、港には似つかわしくない丁寧な言葉が耳に入ってきた。
「ずいぶん時間がかかるんですね」
「協定が結ばれているといっても元敵国の船を入港させるわけですから、色々と手続きを踏まないといけないんですよ」
「面倒ですね」
「そこまで代行するのが、僕たちの業務です。では、こちらを」
船長から、商会の封蝋がされた羊皮紙を受け取る。
「先ほどサインをしていただいた許可証になります」
「ありがとう。そういえば、あの海賊はどうしたの?」
「この商会に雇われるか、縛り首か、選んでもらいます」
トマスの言葉を理解した私は、一瞬卒倒しそうになった。
「海賊を雇う!?正気なの?」
しかし、目の前の青年は普段と変らない調子で答えた。
「はい。周辺海域を知りつくしていますし、繰船技術も確かです。わざわざ町で水夫を集めるよりよほど効率的ですよ」
「技能的な話ではなく、信頼性と道義的な問題です!相手は私たちを襲ってきたんですよ!?そんな人たちが、まともな運送業なんてできると思ってるんですか!?もし預かった物を持ち逃げでもされたら、商会にだって大きな傷がつきます」
「エドワードの口からは、金でも快楽でもなく、船員たちを言葉しかでてきませんでした。海賊になった理由も、自分や同僚たちの先を案じてやむにやまれぬのようです」
「しかし……」
海賊=海の悪魔という認識をしている私からしてみれば、船長の言っている言葉は到底理解しがたい。
「それと、万が一何か問題を起こしたとしても商会の信用問題にはなりませんよ」
そう言って、船長は懐から取り出した一枚の紙を私に見せる。
そこには、『保証人証明書』のタイトルが重々しく記されていた。
「これは?」
「彼らの罪を免除してもらう物です」
差し出された紙には事細かく書かれた条文がずらりと並んでいる、
その中の、ある一文に、私は思わず我が目を疑った。
「『被保証人が規定に違反した場合、その罰は保証人も同時に受けなければならない』これって……」
被保証人が海賊の場合、すでに絞首刑が決まっている。それを免除してもらうのだから、何か些細な罪を犯したとしても、絞首刑が待っている事になる。海賊のみならず、海賊の身柄を保証しているトマスもだ。
「……」
「一応、相応の働きで罰は減少させられます。まぁ、絞首刑を減らすにはかなりの働きが必要になりますけどね。ちなみに僕は、これと同じ物を三つ持ってます。相手は全員、元・海賊艦の艦長ですよ。幸い、犯罪をしていないようなので、今日もこうして生きてます」
はっはっは、とあっけらかんと笑うトマスに、驚きとともに生まれた一つの疑念をぶつけてみる。
「……どうして、こんな事を?」
正直、得な事など無いように思える。
こちらが信頼していると言っても相手は元犯罪者だ。いつ裏切られるかわかったものではない。
裏切られた先には絞首台が待っているのに、目の前の優男は飄々としている。
それが、どうにも理解できなかった。
「…………」
知らずしらずに値踏みするジトッとした表情が露骨にでていたらしく、トマスはやれやれ、と観念したように両手をあげた。
「どうやら、納得するまでは離れてくれそうにありませんね。それでは、貴方の疑問を解くとっておきの場所に案内しましょう。ついてきてください」
背を向けて歩きだした彼の後ろに続いて、私は大通りへと入っていった。
「お、トマスじゃん!久しぶり!」
「お気に入りのライムソーダ、仕入れてるよ!」
「今日はマーミャは一緒じゃねえのか?」
大通りを歩くトマスに、両脇の露店から様々な声が飛んでくる。
彼はその一つ一つに立ち止まっては、丁寧に返事をする。その姿は、一度華麗な指揮をみている私でも、とても船乗りとは思えない。
そんな訳で、彼が目的としている場所に着く頃にはすでに夕陽が私たちを照らしていた。
「ここです」
「ここ……?」
周囲を見渡そうにも、路地裏の一角であるここには赤く染まった陽光もかすかにしか入ってこない。
しかも、トマスが向いている正面にはしっかりとしか壁があるだけ。
「ここで一体、なにを見せてくれるというのです?」
「ここは単なる入り口です」
そう言いながら、壁にそっと手のひらを当てるトマス。
すると、壁と手のひらの間からかすかに光が漏れはじめた。
「……魔法……?」
「開鍵完了です。さ、どうぞ」
「どうぞって言われても、壁じゃないですか」
「僕の手のすぐ横の壁に触れてみてください」
魔術で何をしたのだろうか――不思議に思いながら土の壁に指をはわせた私の視線は、手と壁の間を何度も往復した。
「これ――」
そこには、紛れもない木目――木の感触があった。しかし、両目が捉えている映像は間違いなく土の壁。
一致しない感覚に首をひねる私に、トマスが説明をしてくれる。
「特別な魔術を使って普段は見た目と質感を偽装しているんです。知らない人を入れたくはないので」
言葉を続けながら、トマスは土壁に見える木製の扉を押し開く。
ぎいぃ、と年季の入った音とともに土壁に隙間が出来ていく様子は見ていて大変奇妙だった。
「改めて、ようこそいらっしゃいました。さぁ、どうぞ」
まるで執事のように恭しい礼をするトマスに導かれ、私は扉の向こう――光の中へと足を踏み入れた。
「こ、ここは……?」
光の奥にたどり着いた私を待っていたのは、まったく予想外の光景だった。
木目が美しい壁や床に、テーブルや椅子の代わりに置かれた樽やコンテナ。そのどれもが角が落ち、こぼした酒などのシミだろうか、味わい深い色に変色している。
カウンター席の向こうに設えられた棚にずらりと並べられたボトルが、薄暗く店内を照らす照明を浴びて幻想的な光を放つ。
光の道の先にあったのは、一件の酒場だった。
小さな窓の向こうにはまだ夕陽が残っているというのに、テーブルは満席になっている。 大きなジョッキを高々と掲げ乾杯をするテーブルがあるかと思えば、飲食もそこそこにカードに興じ各々が一喜一憂の表情を浮かべているところもある。
その誰もが、日焼けした皮膚を分厚い筋肉が盛り上げる、屈強な男たちだ。
港町にはよくある、船乗りたちを主な客にして商売をしているのだろう。
「ごらんの通り、酒場です」
「見ればわかるわよ。で、ここがどうしたっていうの?見た感じ、入店方法以外は普通の酒場と変わらないみたいだけど?」
あの特殊すぎる入店方法で、一体どうしてここまで客が入るくらい浸透しているのだろうか――そんな疑問がふと頭をよぎる。
「追々説明していきます。マスター、奥、借りますよ」
「おう、奴さんはもう来てるぜ」
「ありがとうございます。レーバ君に何かあげてください」
私の単刀直入な問いを煙に巻きながら、飲んでいる客たちに勝るとも劣らない体格のマスターに金貨を1枚放ると、慣れた様子で店内を進むトマス。
まるで部外者のような風貌の違いだというのに、その姿はいささかも浮いたように見えないのはなぜなのだろうか。
と、私はある事に気がついた。
カウンターの奥で移動するマスターの動きがどこかぎこちないのだ。
「あの、トマス。あのバーテン、どこか具合が悪いの?」
「昔、脚をすこしやってまして……」
「俺ぁこの仕事やる前は船乗りだったのさ」
喧騒の中で、しかも小声で話していたというのに、マスターは私たちの会話に割り込んできた。
「ブドウ弾にあたって、うまく歩けなくなってな。昔から、船上で脚無くした奴はコックをやるって決まってんだ」
ブドウ弾とは、艦載砲独特の散弾の事で、主に艦橋や帆柱を破壊するために使われる弾種だ。
「あなた、海軍の人?」
「残念、海賊さ」
ニヤリと得意げな表情で歯をむき出しにして笑うマスター。
「昔は凄腕の操舵手だったんですよ」
「そ、そうだったんですか……」
「それだけじゃねえ。ここにいる全員、元海賊だ」
「え!?」
驚きで目を見開いたまま、テーブル席に陣取っている客の様子を眺める。
談笑する彼らの服の裾から覗く肩や腕に、刺青が彫られているのが見えた。
数字とアルファベットを図案化したその刺青は普通、囚人にいれられる物のはず。つまり、それを彫られているという事は、全員が前科者という事だ。そして、数字の横に彫られた髑髏と錨のマークが、彼らの犯した罪状を明確に教えている。
「もちろん今は全員、ツークフォーゲル商会の従業員です。安心してください」
「そ、そう……」
全員が犯罪者という環境に耐えられず、私はトマスを急かそうとわざと足音を響かせて歩いていく。
しかし不安に押しつぶされそうな私の心中を知ってか知らずか、目の前を歩く男の動きはいっこうに速まる様子がない。
テーブル席の奥にある階段を上っていく。
普通、酒場の二階といえば宿泊施設になっている。しかし、この別世界にある酒場に果たして泊まる客などいるのだろうか。
そんな疑問を抱きながら階段を上りきった私の目の前には、予想通りの客室と廊下があった。
どういうわけか下の喧騒が全く聞こえない中、目の前にまっすぐ伸びた廊下と、左右の壁に三つずつ扉がつけられている。その全てに『宿泊中』の札がかかっている事に、私は少なからず驚いた。
迷わず歩き出したトマスの背中に問いかける。
「ここで宿泊する人がいるんですか?」
「はい。緊急避難ですけどね」
質問と繋がらない返答の意味を考えていると、突然立ち止まったトマスにぶつかってしまった。
「あう」
「失礼。ここです」
トマスが指で示す先には、一つの小さな扉があった。
「トマスです。失礼しますよ」
「どうぞ。お入りください」
部屋の中からは丁寧な口調の若い声が返ってきた。
扉を開いたトマスに促されて中に入った私の前には、思いがけない人物が座っていた。
「ら、雷撃……ッ!」
「朝ぶりか?商人のねーちゃん。まさかアンタも来るなんて思ってなかったぜ」
多少疲れた様子の、それでも獰猛さの残る笑みを浮かべる海賊を前に、私は思わず扉に鍵をかけるトマスに詰め寄った。
「どうしてこんなところに彼がいるんですか!?共和国海軍に引き渡されたハズではなかったの?」
「引き渡す前に、コレを見せようと思って、少し彼にがんばってもらいました」
懐の証明書をちらつかせるトマスが向ける視線を追うと、雷撃の横に、小柄な少年がたっていた。
白を基調とした海軍の軍服を着た、利発そうな印象の少年は、私の視線にきびきびとした動きで敬礼を返してきた。
「レーバ・クラウ少尉です」
「彼はさっきカウンターで腕をふるっていたマスターの息子でしてね、いろいろと協力してもらっているんです」
「……」
軍人が一枚噛んでいる――その事実が、私の思考を様々な角度から刺激してくる。
「それで、処刑間際のオレに何の用だい?〝海賊狩り〟」
「貴方に、選択していただきたいんです。ツークフォーゲル商会の一員として生きるか、海賊として死刑台にのぼるかを」
藪から棒な話題に要領を得ず、雷撃は首を傾げた。席についたトマスから『保証人証明書』が彼の目の前に差し出される。
「ほぉ……こんなもんがあるのか……罪を免除……ねぇ」
興味深そうに文面に目を通し、顔を上げる雷撃。その目は、不思議そうにトマスを見つめている。
「一体、どうしてこんなことをする?この文面じゃあ、オレが規定違反をしたらあんたも縛り首じゃねえか」
同じ疑問を抱いていた私の視線も自然とトマスへむけられる。
「――端的にいえば、仲間が欲しいんですよ。《トライデント》を探してくれる、仲間が」
「だからといって、どうして海賊に頼るんだ?ツークフォーゲル商会といやぁ、かなり大規模なギルドだ。そっちを頼れば早いだろう?」
「たしかに、様々な情報が入ってきます。しかし、僕が欲しい海の情報は中々来ない。だから、商売を目的とする人たちには無い、海に生きる貴方たちの情報網が欲しいんです」
それに、と言葉を続けながら、トマスはなぜか懐に手を入れる。
「自分より家族――船員の事を優先して考える貴方は信頼ができると思ったんです。どうですか?僕たちと一緒にやっていきませんか?」
まるで、新たな友人を作ろうとしているような言葉に、ちらりとトマスの横顔を盗み見る。かすかに伺える表情も仕事相手へむけるものではなく、より深い親しみを込めたものだった。
(仲間、か……私には踏み込めない……いえ、捨てたものね)
海に生きた男たち同士でしか分かりあえない何かが、その言葉からにじみ出ているように私には感じられた。
トマスの言葉を無言のまま聞き終えた雷撃は、今度は横に座る少年へ視線を向ける。
「なぁ、軍人さん。このままだと、オレの部下はどうなるんだ?」
「繰舵手は隻腕になり、他の船員たちは貧民街に送られます」
「そうか……あそこにか……」
「行ったことがあるのですか?」
「行ったもなにも、オレはあそこの生まれさ。色々あって義勇兵に参加した時以来、行ってねえけどな」
トマスの問いに自嘲的な笑みで答えると、天井を向いて目を閉じる雷撃。
(分かっているからかもしれないけれど、自分のことは気にしないのね……)
瞑目したまま回想の海を潜っていた雷撃は、ややあって深い息を吐きながら瞼を開いた。
「分かった。雷撃海賊団はこれより、ツークフォーゲル商会の一員としてやっていく」
インクをつけたペンを紙に走らせると、よろしく頼む、の言葉と一緒にトマスに証明書を渡す。
「分かりました。では、宣誓の刻印を刻みます。右手を出してください」
言われた通り、雷撃は右手を机の上においた。
「レーバ君」
「はい」
トマスの声に、雷撃の横に座っていたレーバが立ち上がると、懐から手のひらほどの大きさの羊皮紙を取り出した。
「多少痛いですが、我慢してください」
直線と円を複雑に組み合わせた図形――魔法陣が赤く刻まれた羊皮紙を雷撃の手の甲に当て、口の中で何か文言を唱え始める少年軍人の姿に、そっとトマスに耳打ちをする。
「なにをしようとしているの?」
「僕の手にある魔法陣の刻印と同じ物をエドワードの手にも彫り込むんです」
トマスの説明を待っていたように、羊皮紙が赤く発光を始め、同時に雷撃が苦悶の表情を浮かべる。
「……ぐッ……つッ!」
脂汗を額に浮かべ、喉の奥でうめき声をこらえる雷撃。その手は羊皮紙から放たれる光で真っ赤に染まっている。
そして、さらに光が強まったかと思うと、まるで蝋燭のように一瞬で消えてしまった。
「……ッ……はぁ、はぁ……」
「ふぅ……刻印完了です」
レーバがゆっくりと真っ白になった羊皮紙をはがすと、雷撃の手の甲に、先ほどまで羊皮紙に描かれていた魔法陣が余すところ無く正確に刻み込まれていた。
刻まれた余波か、手の上で淡い光を放っていた印も、光が失せると全く見えなくなり、普通の手と見分けがつかなくなった。
「こりゃあ、何だい?」
「これで、この店に出入りができます。それに、僕や仲間たちとの刻印を介して連絡がとれるようになります。あとは、僕からの犯罪行為防止など他にも色々な事ができますが、それは追々話しましょう」
では、いきましょうか、と立ち上がるトマスに続いて、全員が席を立つ。
それはどうやら予定調和な行動だったようで、一歩遅れた私は慌てて部屋を出ていく三人の後に続いた。
「みんな、聞いてください!」
それまで無秩序な喧噪が渦巻いていた店内は、カウンターの前に立ったトマスの大声に、水をうったように静まり返った。
「今日ここに、新しい仲間が我々『ユニコーン海賊猟団』に加わってくれました。紹介しましょう!〝雷撃〟の異名を誇ったエドワードです!」
紹介された雷撃――エドワードは、緊張しているのかカクカクとぎこちない様子で前に出ると一礼して口を開いた。
「エドワードだ。よろしく頼む」
簡潔すぎる挨拶だったが、船の男たちがそれを気にする事は無かった。
盛大な歓声と拍手が店内を満たす中、二人を囲む人混みから人が一人、歩み出てきた。
髪につけたカトラスの形をしたアクセサリーをゆらして最前列までやってきたのは、どう見ても幼い少女にしか見えない。
しかし、その場の誰もヤジや文句をつけようとしない。それは、彼女が正真正銘の海賊である事を何より雄弁に語っていた。
「まさかと思ったが、やっぱりあんたかい、エド!」
少女の姿から出たとは思えない、血気盛んな少年のような物言いに、エドワードは目を丸くしていた。
「あんたは……〝永遠の乙女〟カーミラ」
「知り合いですか?」
「知り合いどころか、昔なじみさ。あたしも昔、いっときだけ貧民街にいたんだよ」
ふぅ、とカウンターの椅子に腰掛けると、遠い目を過去へと向けるカーミラ。
「まさか、あのときの坊やとこんな所で会えるなんてねぇ……長く生きてりゃ面白いこともあるもんだ」
「あんたは全く変わらねえな。オレだけ年食ったみてえじゃねえか。しかも海賊なんてやりやがって。……ったく、あだ名が本当だったとはなぁ……」
「あたしは永遠の乙女だからね。それに、海賊歴はあんたより長いんだよ」
いつの間にかカウンターに置かれていたワインを一息で流し込むと、カーミラは椅子を回して聴衆へと視線を戻す。
「コイツの事はあたしが保証するよ。ヤンチャだけど、骨も気概もあるヤツさ。まぁ、トマスが気に入ってるんだから、みんな分かってるとは思うけどね」
言うだけ言うと、ぴょんと椅子から飛び降り、後は任せる、と視線でトマスに主導権を返した。
カーミラに目礼で答えると、再びトマスは声を張る。
「今日は僕のおごりです。とことん飲んでください!!」
再び沸き起こる盛大な拍手と歓声をもって、新メンバー紹介は終了した。
グラスを片手に、隅の席から遠巻きに客やトマスのバカ騒ぎを眺めていたライラは、やかましさの中にどこか懐かしいものを感じていた。
「まるで、新人歓迎会みたい……」
昔日の光を眺めているような複雑な表情のまま、水っぽくなったエールを静かに傾ける。最初は酔わないように弱い酒を頼んだものの、「この店にある酒らしい酒はこれだけだ」というマスターの一言で、匂いだけでも頭がくらくらとしてくる強いエールをだされたため、中々グラスの中身は減らなかった。
氷が溶けてようやく飲めるようになってきたグラスに再び挑戦していると、解散して再び雑談に戻っていく人混みの中からトマスが出てきた。
「すいません。こちらがお呼びしておきながらほったらかしにしてしまって」
本当に申し訳なさそうに頭を下げる青年に、いつの間にか私人に変わっていた表情を慌てて引き締める。
「い、いえ……ところで、この店はいつもこんな調子なんですか?」
「今日は特別です。いつもは……ああ、言われてみればあまり変わりないかもしれませんね」
苦笑混じりに答えると、トマスは運ばれてきたカップを取った。
その中身が視界に入ったライラは驚いてトマスに声をかけていた。
「貴方、お酒は飲まないの?」
「飲めないんですよ。どうにもすぐ酔ってしまって。いやあ、情けない」
再び苦笑で口元をゆがませながら、トマスはカップの中身――ライムソーダで弁舌をふるった喉を潤す。
まるで海賊らしくないその姿に、呆れを通り越してため息まで出てきてしまう。
「よくそんなので海賊狩りなんてやってられるわね。弱々しいと、クルーになめられるんじゃない?」
「よく言われます。レイナにも、マーミャにも。でも、そういう性分なんでしょうね。二十年生きてきて直りませんでした」
「二十年……あの戦争が始まった年に生まれたの?」
「はい。物心ついた頃にはもう戦争が日常化してましたね。といっても、僕の生まれた島に戦火が届く事はなかったですけど……そちらは?」
「わたしも似たようなものね。今、二十三だもの」
「そうですか……あ、いや、失礼しました」
「いいわよ。自分で話したんだし」
「すいません。ところで、どうして貿易業に?」
これが一番お金を稼ぎやすいから――いつも答える常套の文句が、なぜか今日は出なかった。
「……父が商売をやっていて、それを継いだの」
心のどこかで商人の自分がそれ以上の話す事への自制を求めているが、ここの雰囲気にか、それとも久々の酒に酔ったのか、言葉は途切れる事なくつむがれ続ける。
「突然亡くなった父から託された小さな商会は、もう絶望的だった。赤字や負債で首が回らなかったの。でも、従業員の人たちはみんな優しくしてくれたわ。『お嬢さんなら大丈夫ですよ』『俺らに何でも言ってください』って、口々に言ってくれて……」
目を閉じれば、あの小さかったけどかけがえのない家も、そこで一緒にかけずり回ってくれたおじさんやおばさんたちの顔も、変わらずに思い出せる。
「声援や助力を支えに、仕入先を回って、行商人たちを頼って、色々やったわ。でも、結局は悪あがきにしかならなかった。戦火が広がって、仕入先がなくなって、流通路が消えて……うちの近くでも徴兵が始まって、若い従業員が全員兵隊にされたのが決定打だった。最後まで残ってくれた人たちに、泣きながら頭を下げた。『ごめんなさい』って。でも、成人して間もない小娘だった私を、誰も責めなかった。そう、せめなかったのよ……」
警鐘を鳴らし続ける心を落ち着かせようと再び口にしたエールは、少し塩味が効いていた。
「だから、一人で?」
「ええ。店をたたんだ時、ゼロから全部一人でやっていこうって決めたの。仲間なんて、私には背負えない……」
「…………」
「でも、さっきのあなたの司会と海賊たちの様子を見ていたら、なんだか懐かしくなってきてね。まったく、何で海賊同士のなれ合い聞いて商人の私が泣いてるのかしら……」
「海賊は、仲間意識が強いんです。船は自分たちの家で、船員は全員が自分の家族なんです。他の海賊船の乗組員たちには近所の知り合いに似た感覚で接しますし、何かあったら助け合う……荒くれ者揃いで喧嘩も多いですけどね」
「船は家で、船員は家族――か。それにしては、頼りない家長もあったものね」
「自分ができない部分を補いあう事こそ、集団の強みですから」
「そうかも、知れないわね……。あ~、なんだか久しぶりに酔ってるわ」
「水を持ってきましょうか?」
「ええ、お願い」
「かしこまりました」
同じ客だというのに、まるで店員のようにてきぱきと水をいれに行くトマスから視線を動かすと、テーブルではさっき仲間に加わったばかりのエドワードが語る過去の武勇伝を肴にして、カップを片手に談笑する元海賊たちの姿が目に入った。
(仲間……家族、か――)
トマスの行為の真意を悟り、ライラは久しぶりに感じる心地よい酔いに安心して意識を手放していった。
「――ラさん、ライラさん。起きてください。朝ですよ」
「――……あ」
ここ数日ですっかり聞き慣れた声に、まどろむ意識のままゆっくりとライラは体を起こす。
「わたし……」
「はい。お冷やを持ってきたらお休みになっていましたよ」
視界に入るコップに注がれた水と、コップが置かれた年代もののカウンターに、記憶がゆっくりと戻ってくる。
「そっか……酔いつぶれるなんて何年ぶりだろう」
凝り固まった身体をほぐそうと動かした腕に、慣れない生地の感触があった。分厚い皮革でできたそれは、防寒に優れたコートだった。
「お目覚めかい?」
トマスとは別の声に顔を動かすと、グラスを磨くバーテンダーの姿が目に入った。
「はい。すいません、コートまでかけていただいたみたいで……」
「ここでは日常茶飯事の出来事だよ。周りを見てみるといい」
言われた通りに周囲を見回すと、店内は泥酔して眠る男たちであふれていた。
自分と同じく机につっぷした者、椅子に寄っかかって眠る者、さらには床をベッド代わりにしている者など、まるで死屍累々の有様だ。その全員に、自分にかけられているものと同じコートがかけられている。
「トマスが帰ってきたら大体こうなるからな。何か、食べるかい?」
新しいカップに注がれた冷水を一気に飲み干すと、意識に残っていた霞や酔いの感覚が一気に吹き飛ばされた。
「それじゃ、コーヒーとサンドウィッチをお願い」
「かしこまりやした」
筋肉質の店長が縮こまるように礼をする様子をおかしく思いながら眺め終えると、横からやってきた芳醇な香りに目を向ける。
「毎回奢っているんですか?」
質問を投げかける先には、モーニングコーヒーを楽しむトマスの姿があった。
「新メンバー加入の際は毎回です。それなりの出費にはなりますけど、一堂に集まってくれた皆からもらえる情報に比べたら安いものですよ。刻印でも簡単な連絡はとれますが、詳細な話はやはり直に会って聞かないとだめですからね。酔いが回っていて聞き取りをするのに苦労しましたけど、色々と有益な情報が手に入りました。これからの指針もできましたし、期待以上でしたよ」
聞き出した時の事を思い出したのか、トマスは肩をすくめながら笑っていた。
「そういえばエドワードを勧誘するときも言ってたわね。『トライデント』って、一体なんなの?」
質問に、先ほどまでの朗らかだったトマスの表情が一変した。
思い詰めた顔でしばらく無言のままソーサーと口の間でカップを動かすトマスだったが、真剣な瞳に根負けしたようで、重い口をようやく開いた。
「――僕の故郷を壊滅させた連中です。静かな漁村を炎で焼き払った、極悪非道な輩ですよ」
血を吐き出すような言葉からは、抑えきれない悔恨と憎悪がひしひしと伝わってくる。
「そうだったの……」
船長の吐露を聞いて、ふと、ライラの心の底から、一つの光景がわきあがってきた。
戦争中、幼かったライラは父親に付き添って色々な場所を巡る時期があった。仕入れ先を回っていたその旅の中で、心に焼き付いた光景が一つだけあった。
交戦地域付近の小さな村に寄ったときだ。
交渉をまとめ、商品を馬車に積んでいた時だった。
天から、一つの火球が降ってきたのだ。
落ちてきた火(後に聞いた話では、シュタールリッターの放った流れ弾だったそうだ)は、ついさっきまでライラと父がいた家――仕入先の職人の自宅を直撃した。
戦火の広がりを危惧した主によって改築され、煉瓦の塀を設置した家屋から、まるで蜘蛛の子を散らすように弟子や家族が駆けだしてくる。普段から高温の炉を相手に作業している彼らは、危険を察知する能力にも長けているのだ。
炉でこうこうと燃えていた火と合わさって勢いを倍加させた炎の中から、手に持てるだけ工具を抱えた親方が姿を見せると、全員にひとまず安堵の表情が広がった。
燃料として使っていた木材や建材をも吸い込んで轟々と燃え盛る大火が、まるで世界を飲み込む狼のように家を貪り食らう様子を、その場にいた全員はなす術無く見守るしかなかった。
一人も言葉を発せず、呆然と立ち尽くしていたあの光景は、小さかったライラの中に、戦争の悲惨さの象徴として深くふかく刻み込まれたのだった。
「…………」
重い雰囲気につつまれるなか、トマスは無言で懐から一つの懐中時計を取り出した。
「こちらは?」
「僕の父が使っていた物です。襲撃される前日、誕生日だった僕に譲ってくれたんです……裏には、幼なじみからメッセージが刻まれています」
珍しく恥ずかしさの混じった表情を浮かべるトマスに、ついライラは口を開いていた。
「幼なじみ?」
「ええ。とはいっても、小さい漁村だったので、年の近い子供は全員幼なじみみたいなものでしたけどね。彼女とは家が近かったから、特に一緒にいる時間が多かったんです」
その場を取り巻く空気が、辛く重たいものから、昔日を懐かしむものへと、いつの間にか変わっていた。
「もしかして、初恋の人?」
弱みを見つけると、付け入らずにはいられないのが、いかにも商人らしい。
いたずらっぽい表情のライラに問われて、トマスができたのは肩をすくめて苦笑するくらいだった。
ふぅ、と話題をそらすように大きく息を吐くと、思った以上に乾いていたのどにコーヒーを補給する。
「どうぞ、サンドウィッチとコーヒーです」
コトリ、と目の前におかれた木皿の上の朝食に手をのばすライラ。
多少キツめに香辛料をきかせた肉と歯ごたえの良い新鮮な野菜をはさんたパンを食べ終える頃合いをはかって、トマスは昔話を再開する。
「それから紆余曲折あって、ボロ船だったユニコーン号とレイナに出会って、その中で暮らしていたマーミャたち親子と一緒に運送業を始めたんです――っと、すいません。長くなってしまって」
「ううん。こっちから切り出した話だから、気にしないでください。それより、こちらこそごめんなさい。辛い事を思い出させてしまって」
互いに謝って頭を下げる二人の耳に、ドアにつけられたベルの小気味よい音色が入ってきた。
「おはようございます。トマスさん!ユニコーン号の船体整備終わりました!」
扉の向こうから飛び込んできたマーミャは、宴会後の惨状を気にも留めず、一直線にトマスの元へと歩いてきた。
「……」
「あ、あら?私、何か悪い事しましたか?」
「いや、むしろ丁度よかった……かな」
店長にアイスコーヒーを追加注文したトマスは、マーミャを隣の席に座るよう促す。しかし、座るときの嬉しそうな彼女の表情には気づいてはいないようだった。
「ちょっと、昔話をしていてね。いざ思い出してみると、芋蔓式にけっこうでてくるものだね……懐かしい……」
「そんなお年寄りみたいな事いわないでください。昨日、まだまだ始まったばかりだっておっしゃってたのは、トマスさんじゃないですか」
「あぁ、そうだったね……」
「それで、今度はどちらへ?」
「次は、ゴーガ島へ向かおうと思う。どうやら、得体の知れない連中がそこを根城にしているらしくてね。トライデントの情報をもらうついでに叩いてこよう」
(ついでに、って……)
まるで危機感のないトマスの様子に、ライラは思わず崩れそうになった表情を引き締めなおす。
そして、トマスの口にした地名は、ライラにも聞き覚えのある場所だった。
「たしか、共和国周辺の島々への航路の近くにある島ね。あそこが抑えられているとなると、かなり大回りをしなければ島と連絡ができないわ」
「そういう事です。マーミャ、船員たちはいつもの宿にいるだろうから、連絡してきてくれるかな。『出航は多少時間を置くから、数日は英気を養ってください』と」
「はい。任せてください!」
出されたコーヒーを急いで飲み干すと、すぐに立ち上がるマーミャ。その動作は、主人の指示に喜んで従うペットのようにも見える。
(当たらずとも遠からず、なんでしょうかしらね……ま、本人が幸せそうだし、口を挟む事じゃないわね)
「それじゃあ、僕もそろそろ行こうかな。マスター、代金はいくらです?」
後ろに広がる散らかり放題の店内を見回し、ため息混じりの苦笑に口角をあげるトマスに、マスターはヒラヒラと手を振って答える。
「前におまえさんからもらった金貨の山がまだ残ってるからな。今回もタダで良いぞ」
「それは助かります」
「なぁに、お客を連れてきてくれるオーナーにゃあこれくらい当然だ」
「ははは。それじゃ、またそのうちにふらっと寄らせてもらいます。レーバ君にもよろしく伝えてください」
「おう、じゃあな!」
気っぷの良い声に見送られ、トマスとライラは光の中へと踏み出していった。
半日ぶりに戻ってきた港町は、昨日と同じく雲一つない晴天だった。
「なんだか、夢みたいな体験だったわ……」
強い日差しに目を細めながら、潮の香りが混ざった空気を吸い込むと、ようやく自分の世界に戻ってきた実感がわいてくる。
「いかがでしたか?」
「うん……貴方が何でああいう事をしているのか、なんとなく分かった気がするわ。ありがとう」
感謝と共に差し出した手は、商人としての契約終了の証だ。
「どういたしまして」
その手をしっかりと握るトマス。
「色々と知らない世界を見せてくれて、感謝しているわ」
「クライアントが喜んでいただけるなら、それ以上の喜びはありません」
笑顔を浮かべるトマスは、ジャケットの胸から一枚の紙片を取り出すと、ライラに向けて差し出した。
「これからも、変わらずご愛顧を」
「……向こうの事務所でいただきましたけど?」
「船の上から投げ捨てていたでしょう?」
意地の悪い笑みに、ライラはバツの悪い表情で頭を下げる。
「ごめんなさい。あの時は、ノーチラスと比べてしまっていて……」
「そうだろうと思っていました。なので、もう一度こちらをお渡しします。……トライデンントについて何か情報をつかんだら、是非一報をお願いしますね」
「約束します」
「それでは。またどこかで」
二枚目の名刺を、今度は革製の名刺入れにしっかり仕舞うと、ライラは背を向けて歩きだした船長が見えなくなるまで見つめていた。
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