巨大麦

巨大麦(キョダイムギ、またはキョオオムギ)、あるいはジャイアント麦などと呼ばれるこの麦は、バーデル国のみならず、周辺国家や地域にとっても重要な農作物です。見上げるほどの大きさの穂に拳大の実がこれでもかとなる様子は、まさに豊穣の象徴です。


砂漠地帯では、水分を地下深くから吸い上げる、力強い根が重要です。そして、より大きく長い根のために、人々は植物の巨大化を目指しました。その成功例の1つが巨大麦だと言えるでしょう。


バーデル国では毎年、巨大農作物の品評会があり、一般には流通しない巨大な巨大麦が見られます。それは食用には向きませんが、農家の技術の見せ所であり、毎年多くのエントリーがあります。


大きな穂は過酷な砂漠で良く育ち、そして大きな日陰を作ります。この日陰は動物にとってありがたいもので、巨大麦農家の中には、夏の間、自ら育てた巨大麦の日陰に家を構えて過ごす者もいます。


この巨大麦には、作物としての役割の他に、もう一つの役割があります。それは、地下水を組み上げるストローです。


ストローの語源が麦の穂だということはご存知でしょうか?実際に巨大麦の穂も、巨大なストローの集合体のように中は空洞で、水を吸い上げる仕組みになっています。これを利用したのが、巨大麦の穂に穴を開けた、巨大麦井戸です。


巨大麦井戸からは飲める水が出てきます。もし砂漠をさまようあなたが、運良く野生の巨大麦を目にすることができれば、相当量の水を確保できるでしょう。


しかし、井戸として使用した巨大麦は、穂に行き届く水が少なくなり、味が落ちてしまいます。ですから、巨大麦井戸にする巨大麦は農家によって決められており、許可のない巨大麦から水を取ることは禁止されています。


また、巨大麦の穂は非常にしなやかで頑丈であり、様々な使いみちがあります。編んで建築材にしたり、そのしなりを生かして武器の材料にもなります。


このように有用な巨大麦は、バーデル国のみならず、砂漠を生きる者にとって、非常に重要なものなのです。

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