農家と石油

穀物とか野菜とか、生きていくにはそういうものが必要だ。寒いと死ぬので夜は石油が必要だが、そもそもヒトは食わねば死ぬ身体。食糧は重要であり、必須の産業である。


農家は主に大地と水で作物を作る。つまりこれは地の神と水の神の双方の力を借りることにほかならず、信仰心がとても高い。だからといって雨乞いをしたり生贄を捧げたりと行った文化はなく(はるか昔に滅びた文化だ)、豊作の祈りと感謝を捧げる。

そんな農家も、石油の力にはお世話になっている。油熱による栽培促進と、油圧機構による大型作物の栽培である。


砂漠というとひたすら熱いイメージがあるが、夜は凍えるほどに寒い。そして、冬は気温が大きく下がる。穀物は熱に強く夏に育つが、冬は育たない。だが、油熱を使えば冬でもなんかがそだつ。


石油はたしかに重要な資源ではあるが、食糧はある意味それ以上に重要だ。飯がなければヒトは等しく死ぬからだ。あるいは、季節外れの作物は、それだけで珍しく、つまり高く売れる。時にそれは石油そのものよりも価値があり、故に金を生む。


一方、油圧機構が農業に与えた影響も大きい。油圧機構は、スピードをパワーに変える。つまり、2倍時間をかければ、2倍大きな野菜を地面から引っこ抜くことができる。でかい作物はそれだけで珍しく、つまり高く売れる。時にそれは石油そのものよりも価値があり、故に金を生む。


もはや説明するまでもないが、農業はバーデル国の主要産業の1つであり、バーデル国が巨大国家となった一因でもある。そして、その農業も、石油あってこそなのだ。

石油がすべての価値を生み、石油がすべての価値を引き上げる。そういう国に、バーデル国はなったのだ。


今日も屋台ではジャイアント麦(1粒が握りこぶし大の麦であり、油圧機構で家畜の力を数倍に引き上げなければ収穫は困難)の蒸し焼きや砂サトウキビ(砂漠の地中深く数メートルに根を伸ばすサトウキビ、油圧機構で家畜の力を数倍に引き上げなければ収穫は困難)が売られ、民の腹を満たしてる。

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