第4話 ─・─・─
『
それは、五年前に発売されたゲームソフトだだ。
俗に『ヒロバス』の愛称で親しまれている。
発売されてたった三ヶ月で、それまで存在した全てのゲームソフトを超えて既存ゲーム総売上No. 1。
怒涛の人気を誇り、華々しい記録を残して現在も更新し続けるという快挙をあげているゲームソフトだ。
ストーリーは簡単で、単純明快。
悪の組織に侵略されようとしている地球に、颯爽と現れたヒーローが悪をなぎ倒す。
そのヒーローが世界を救うまでを描いた物語だ。
使い古されて、逆に新鮮なぐらいのあらすじである。
そんなゲームが、どうしてこんなにも爆発的に売れたのか。
理由はひとつ、今までにない操作性だ。
……平たく言えば『体感ゲーム』、そう呼ばれる類だとそう言えば、理解してもらえるだろうか。
プレイヤーはゲームを『体感』できるのだ。
ヒーロー・バースは『
それをつけて電源を入れれば、眼前にはゲーム画面が広がるのだ。
これでプレイヤーの視野はゲーム世界そのものになる、視覚でまずゲームを『体感』できる。
もちろんそれだけではない。
脳で司令を出すことにより、機会がその脳波を拾ってそれら全てをキャラクターに反映させるのだ。
例えば、歩く、走る、手をあげる、体をくねらせる。そう『しよう』と思えばキャラクターがその通りにする。
それは当然バトルシーンも同じで。
殴る、蹴る、攻撃を避ける、獲物を振り下ろす、投げる、魔術の発動まで思い通りに動かせる。さらにはフェイントまでかけられるとくればその驚異的なまでの操作性は把握してもらえるはずだ。
そう、ゲームの中の『全て』をプレイヤー自ら『体感』できるのだ。
キャラクターになりきって、ゲーム世界を駆け回れる。
そんな今まであり得なかったことが、そのあり得ないはずの体験が、実際にできるゲーム。
自由度は無限大。操作するキャラクターの見た目から技の種類も、プレイステージも敵キャラの数も毎月のように更新されていく。
オリジナルのものを自ら製作する非公式クリエイターたちも多く存在する始末だ。
これが流行らないわけがない。
各地で行われる大会の多くが、多額の賞金を掲げ。
その最高峰に記録されるものでは数億にも登る賞金が支払われたとされている。
そんな大会の上位を目指す通から初心者まで、ファンは留まるところをしらない。
ファイルさえダウンロードすれば、誰だってヒーローになれる、それが『
『ヒーローは絶対負けない──』
そんなキャッチコピーを謳う、最高で最強に爽快な……。
今、全世界で最も愛されるゲームだ。
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