04

「ってわけで。異せか……じゃなくて異国で、ずいぶんダンジョンのゲーム……じゃなくて、研究をしたんですよ!」

 少年は、エルフたちにむけて、そう力説した。

 「異世界」うんぬんは伝わらなそうなので、適当に脚色しながら、だが。

「へぇ……あたしも、ずいぶんいろんな所を旅したつもりだけど。ダンジョンなんて、一度も見なかったなぁ」

「ま、まぁ、ダンジョンは、普通の旅とは違いますからね。危険がいっぱいですし、入らないに越したことはないです!」

 ダンジョンRPGをプレイして、何度も全滅させられたことを思い出しつつ、少年は言った。

 すると、エルフは、ダンジョンの床に背中をあずける。

「……いやぁ。この世界ってのは、ずいぶん広いもんね」 

 エルフは、ちょっと寂しそうに笑った。

「……まさか、寿命短いヒューマンの少年に、『ふつうの旅』呼ばわりされちゃうなんて」

「あ……! ご、ごめんなさい」

 少年が謝ると、エルフは歯を見せて笑った。

「謝らないでいいんだぜ? ……ロリ様が君を選んだ理由、よく分かったからね」

 唐突に褒められたせいで、少年は、「いや、えっと、あの、その……!」と、腕を盆踊りのように舞わせてしまう。

 その手を、エルフが握った。

「今日ダンジョンを出たら、もっと詳しく話を聞かせてよ。これからのことを考えたら、情報はいくらでも欲しいし」

「は、はい……!」

「まぁ個人的に、君に興味が出てきた……ってのもあるんだケド」

 エルフは膝に頭をのっけて、少年を下から見上げた。

「……え!? それって、どういう」

 エルフは、よくできた人形のような顔立ちだ。そんな彼女の意味深なセリフは、童貞の少年にはだいぶ刺激が強かった。

 エルフは、四つんばいになる。少年の耳元に口を近づけた。

 ドラコとノームに聞こえないような囁き声で……

「とりあえずさぁ、ヒューマン……。今日帰ったら、王宮のあたしの部屋においで?」

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