【用語集】

─── 固有名詞 ─────────────────────


●【キャリーフレーム】

 本作における人型ロボットの総称。

 第二次宇宙開発競争時代に、巨大なコンテナを宇宙で運ぶ作業機械「コンテナキャリア」を祖とするマシーン。

 同時期に開発された指先の神経から思考を読み取る技術と併用することで、操縦訓練をほとんど必要とせず精密な動作を可能とすることから、地球圏で急速に普及した。

 地上では主に土木・建築を始め、車両の走行が困難な山岳地帯などの調査に用いられている。

 また、キャリーフレーム同士を戦わせる競技「フレームファイト」があるため、キャリーフレームの操縦技能習熟を目的とした部活動が全国の高校に存在する。

 大きさは8メートル前後がポピュラー。

 兵器としての性能は宇宙では軍を抜いた戦闘力を持つものの、地上では運用場所を問わない汎用性こそ高いものの、それぞれの地形に適した兵器にはかなわない。



●【重機動ロボ】

 ヘルヴァニア銀河帝国が運用していた人型機動兵器。

 重装甲・重火力を特徴としており、無数のミサイルをばら撒くことで膨大な数の敵を圧倒し、あらゆる実弾兵器を装甲で無力化する。

 が、しかし、ビーム兵器には自慢の装甲が全くの無力であったため地球軍にとっては倒しやすい相手であった。

 なお、操縦系統はキャリーフレームとかけはなれた構造をしており、重機動ロボの操縦に慣れた人物ほどキャリーフレームの操縦適性が低くなる。



●【ヘルヴァニア銀河帝国】

 数万年前に外宇宙の惑星「グリアス」を母星とし誕生した巨大な宇宙帝国。

 重装甲・重火力を特徴とする重機動ロボを中心とした膨大な戦力を武器に周囲の銀河系を次々と制圧していった。

 しかし、複数の銀河を股にかけた巨大帝国と化してからは政治が不安定となり、宇宙各地に火種を残したまま無理矢理な拡大政策を続けていた。

 半年戦争で母星を失った現在は、地球側が提供したスペースコロニーに移住し、帝国自体は滅亡扱いとなっている。



●【半年戦争】

 劇中の20年前、辺境の恒星「太陽」を中心とした太陽系へとヘルヴァニア銀河帝国が攻め込んだことから始まった戦争。

 地球人類の持つ圧倒的な質の機動兵器と強力なビーム兵器によりヘルヴァニア軍は木星圏で大敗を喫し、地球へと侵攻する前に太陽系から撤退を余儀なくされる。

 その後、木星軍が結成した反抗部隊「カウンター・バンガード」がヘルヴァニアの母星グリアスへと侵攻。

 このカウンター・バンガードの反抗を契機とし、宇宙各地の反ヘルヴァニア勢力が一斉に蜂起したことも付随し、ヘルヴァニア帝国軍はガタガタとなった。

 そして、グリアスを戦場とする最終決戦でヘルヴァニアの摂政グロウが最終兵器・惑星破壊砲をカウンター・バンガードへと使用しようとするが、戦闘の流れ弾により暴発、グリアス自身が爆散することで戦争は決着した。

 その後、グリアスから疎開していたヘルヴァニア人は地球圏に移り住むことになり、ヘルヴァニアの植民地となっていた惑星は解放され独立していった。



●【ビーム兵器】

 宇宙空間にのみ発生する粒子を高熱にし放射する兵器。

 その為分厚い装甲でも容易く融解させ貫くことができる。

 放出する時に浴びせる電磁波の量で熱が減衰するまでの速度と有効距離を調節することができ、これを極端に射程を短く・滞留を長くしたものはビームセイバーなどの近接ビーム兵器となる。

 核兵器と並び、全宇宙で最初に地球人が開発した独占技術である。



●【慣性制御システム】

 キャリーフレームのコックピットに標準搭載されている重力制御システム。

 コックピット内に発生する慣性を制御することによって搭乗者を衝撃や酔いから守るシステム。

 これにより、耐衝撃性の高いパイロットスーツを着用しなくても激しい操縦を行うことが可能。

 しかし、さすがに宇宙空間においては空気漏れの危険性があるためパイロットスーツ、あるいは宇宙服の着用は必須である。



●【第二次宇宙開発競争】

 アメリカとロシアによる、苛烈した宇宙開発の競争。

 冷戦時代に起こった競争を第一次としている。

 重力制御、月のテラフォーミング、軌道エレベーターの建設、宇宙船の大量生産といった現在の宇宙生活に欠かせない技術が生まれ、この時代にキャリーフレームも出来上がった。


●【宇宙海賊】

 第二次宇宙開発競争後に発生した宇宙のならず者。

 当初は往来船を襲撃し略奪を繰り返す文字通りの宇宙海賊だったが、ある時から船舶の護衛や他の宇宙海賊の討伐、物資の運送というような仕事を報酬次第でやる傭兵のような集団が増え、現在は宇宙海賊といえば宇宙の何でも屋の意味合いが強くなった。

 この背景には、半年戦争後にクレッセント社によって宇宙海賊に無数の核兵器が譲渡・販売されたことで、核兵器を向けあった交渉が多発。

 それが抑止力となったことにより逆に争いが少なくなったことで海賊たちの稼ぎ方が変化したと言われている。



●【カウンター・バンガード】

 半年戦争当時、木星圏に住む地球人により結成された対ヘルヴァニア反抗部隊。

 銀川スグルとその搭乗機「エルフィス」を主戦力とした部隊であり、わずか数十名の少数部隊でありながらヘルヴァニア軍を相手に多大な戦果を挙げた。



●【地球人】

 宇宙進出した文明の中で、最も歴史が浅く、最も強い戦闘種族。

 通常、宇宙に進出する知的生命体は中世に移る段階で強国が惑星全土を掌握し、惑星国家を作り出してから数万年単位でゆっくりと文明を発展させる経緯をたどる。

(地球で例えると、ローマ帝国の時代にローマが地球全土を領土にするのが普通みたいな感じ)

 しかし、地球人は類稀なる闘争心によって一強体勢を許さず、戦争を繰り返したため他の種族の数百倍の速度で文明を発展。

 結果、核兵器やビーム兵器など、ヘルヴァニア帝国ですら歯が立たない戦闘兵器を次々と実用化するまでになっていた。



●【ヘルヴァニア人】

 惑星グリアスを母星とする人種。

 公用語は日本語に非常に近いヘルヴァニア語。

 職人肌で真面目な気質が日本人と相性がよく、半年戦争後は日本に移住するヘルヴァニア人が非常に多い。



●【ネコドルフィン】

 ヘルヴァニアの母星グリアスに生息していた生物。

 黄色い表皮に猫のような顔と耳、ヒレと思わしき手ヒレ、尾ビレが外見的特徴であり、猫ともイルカともいい難い「ニュイ~」という鳴き声を発する。

 愛くるしい姿から愛玩動物として親しまれていた。

 その姿に似合わず生存能力が非常に高く、地上や水中はもちろん、マグマや極地の海水といった極端な温度にも適応する。

 また、宇宙空間でも平気で活動するためその生体には謎が多い。

 しかし、体組織が異常に柔らかく頑丈なためあらゆる刃物でも傷一つつかず、たとえ1億トンの圧力をかけられても一時的に薄っぺらくなるだけで、開放するとボヨンと元の形状に戻ってしまう。

 その耐久性から皮を兵器に転用しようと大昔から幾多もヘルヴァニアの研究者が挑戦を重ねてきたが「ネコドルフィンを加工する道具が存在しない」という理由で断念されている。

 母星グリアスが爆散した際にも無事であり、爆発の勢いで宇宙中に飛んでいった。

 そのため、宇宙の船乗りの間には「極稀に見られる流れネコドルフィンを見かけるとその日はいいことがある」という言い伝えが広まっている。



●【水金族】

 宇宙に生きる液体金属生命体。

 液体金属の形態はあらゆる環境下での適応性を重視した形態であり、実際は構成する分子そのものが意識を持った集合生命体。

 分子そのものを変化させることで高度な擬態を行うことが可能。

 種族としての目的は宇宙のありとあらゆる情報を収集することであり、サツキを始めとした人間に擬態した端末スレイブを各地に送り込み地球人類を観察している。

 また、人間以外にも石や虫、空気中の微粒子などにも擬態した個体が存在している。

 端末スレイブは母体となる巨大な水金族が産み落とす雫が固有の意識を持つことで生まれる。

 特性上、死という概念は存在せず、身体を損傷した場合は損傷した部分の擬態が解除され、再擬態することですぐに修復される。

 種族全体の思想は平和的であり、争いを好まない。



●【スペースコロニー】

 宇宙に浮かぶ巨大な居住施設。

 円筒形のものや砂時計型、ステーション型など様々な形状のコロニーが存在する。

 内面に張り付くようにビル等の建造物が立っており、独特の風景を生み出している。



─── 組織 ─────────────────────


●【クレッセント社】

 月に本社を構える宇宙最大の軍用キャリーフレーム開発会社。

 代表商品「エルフィス」シリーズを始めとし、多種多様なキャリーフレームを勢力問わず販売している。

 コロニー・アーミィのような防衛軍から、宇宙海賊にまで平気で商品を提供するため「死の商人」と揶揄される。

 また、定期的に開発した新型を様々な勢力に無償提供することがあり、これによりパワーバランスが崩れて様々な争いが起こったという。



●【JIO社】

 地球で最初にキャリーフレームを商品として開発・販売した企業。

 社名はJapanジャパン Industrialインダストリアル Organizationオーガナイゼーション(日本工業組合)の略。

 宇宙用汎用キャリーフレーム「ザンク」を始めとし、陸海空宇宙に適した多種多様なキャリーフレームを製造している。

 特徴としては、癖が少なく超長期運用にも耐えうる耐久性を持っている機体が多い。

 また、キャリーフレーム以外にも船舶や宇宙に関する日用品も取り扱っている。



●【七菱】

 日本の財閥を前身として発展したグループ。

 そのうちの七菱重工業がキャリーフレームを開発しており、「七菱製」と言われ信頼されている。

 有名な機体は現在の警察機体「クロドーベル」。



●【江草えぐさ重工】

 代多よた市に本社を置く新鋭の重工業会社。

 裕太の父が努めている企業でもあり、コロニーにも支社を持つ全国規模の企業。

 キャリーフレームの生産は最近であるが、癖も特徴も無さすぎる「アストロ」を始め、初心者に扱いやすい機体を作るのが特徴。



●【メビウス電子】

 代多よた市に本社を置く新鋭の企業。

 社長である三輪みわ勝元かつもとがその溢れんばかりの才能を発揮して巨大企業へと瞬く間に成長させた。

 電子部品やソフトウェアの開発をメイン事業に据えており、特に企業向けの管理設計ソフトウェアを主力商品にしている。



●【ビッグハード社】

 アメリカのキャリーフレームメーカー。

 米軍で制式採用されている可変キャリーフレームをメインで開発している。

 また、キャリーフレームのOSのシェアを独占しており、日本で運用されるキャリーフレームもすべてビッグハード社のOSを使用している。



●【国際規格】

 太陽系で製造されるキャリーフレーム全てに決められているコックピットの規格。

 この規格より外れた機体は違法機体として厳しく取り締まられている。

 共通規格を規定する理由としては、宇宙における緊急事態時に規格の違いで操縦できないという事態を防ぐため。

 宇宙では些細なミスひとつが大惨事へと発展するため、このような取り決めによってその可能性を少しでも潰す努力がされている。

 そのため、ひとつのキャリーフレームを操縦することができるようになれば、他のキャリーフレームも難なく操縦することができるようになる。



●【愛国社】

 地球絶対主義を掲げる思想団体。

 地球にヘルヴァニア人が住むことを良しとせず、過激な排斥運動を行っている。

 過去にはヘルヴァニア人の集会を襲撃したりと苛烈な運動を行っていたが、数年前に首謀者が逮捕されたことから半壊滅状態に陥り活動を休止していた。

 しかし、数年前から活動を再開し再び過激な活動を繰り返している。



●【エレベーター・ガード】

 軌道エレベーターを警備・防衛する民間組織。

 カスタマイズされたキャリーフレーム「ザンク」を使用し、軌道エレベーターの客車をスペース・デブリ(宇宙ゴミ)や宇宙海賊から守っている。



●【コロニー・アーミィ】

 スペースコロニーを防衛する半民間組織。

 コロニーを統治する政治家が出資して運営している。

 


─── 地名 ─────────────────────


●【東目芽ひがしめが高校】

 裕太たちが通う高校。

 東目芽大学の付属高校であり、大半の生徒がエスカレーター式に卒業後は東目芽大学へと入学する。

 制服は茶色のコートと赤いネクタイが特徴で、女子は赤いチェック柄のスカートを履く。

 強豪のキャリーフレーム部を要しており、同じく強豪校の義賀峰ぎがみね高校とは地方大会で毎回激戦を繰り広げている。



●【義賀峰ぎがみね高校】

 氷室グレイが通う高校。

 キャリーフレーム部が非常に強い。



●【代多よた市】

 裕太たちが住む場所の地名。

 十数年前は関東郊外に位置する片田舎に過ぎなかったが、遷都政策によって大企業の本社などが多数移設されたためにものすごい勢いで発展した。

 その発展は現在も続いており、絶えず工事が行われているためキャリーフレームの運用数も日本一多く、そのためキャリーフレームをつかった犯罪も多く発生する。



●【輝竹てるたけ島】

 日本で唯一の軌道エレベーター「飛天ひてん」が存在する巨大人口浮島メガフロート

 日本最南端の島、沖ノ鳥島の近くに位置する。

 軌道エレベーターに務める大勢の職員とその家族が暮らせるようになっており、住宅街や大型ショッピングセンター、各種教育機関まで揃っており、ひとつの街として成立している。

 実は軽部先生の出身地。



●【アトラント】

 軌道エレベーター「飛天」に近いところに浮かんでいるスペースコロニー。

 工業コロニーであり、スペースコロニー向けの製品を製造する工場が多数立ち並んでいる。

 また、観光地としてもそこそこの人気があり、キャリーフレーム博物館が名所。

 おみやげにはコロニー型ロールケーキ「コロニーロール」が人気。



●【月の街】

 テラフォーミングされた月に存在する大都市。

 月とはいえ特に目立った名所があるわけでもなく、ショッピング街や宇宙港などが存在するため宇宙旅行の道の駅として宇宙に生きる者たちには親しまれている。

 空を見上げれば地球があるという独特な景色から、修学旅行のスポットとしても人気が高い。

 地球から見えない面、いわゆる「月の裏側」は未開拓地であり、重力が弱く空気のない危険地帯となっている。

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