第5話「裕太 VS エリィ」

 【1】


「なあ、銀川。今度の土曜、空いてるか?」


 夕焼けに赤く照らされたエリィの住むマンションの前で、裕太が恥ずかしそうに頬を指で掻きながら言った。


「え、ええ。空いてるけどぉ……」

「じゃあさ、ふたりで出かけないか? 銀川と一緒に行きたいところがあるんだ」


 不器用で飾り気のない誘い文句。

 だが、そんな裕太の言葉はエリィの胸の鼓動を早めるには十分すぎる威力を持っていた。


「も、もちろんいいわよぉ!」


 顔を赤らめているのが夕日の光で気づかれないか、胸の鼓動が聞こえてないか気にかけながら、エリィは首を縦に振って承諾する。


「集合場所とかはあとでメールするよ。じゃ、じゃあな」


 エリィは飛び跳ねて喜びたい気持ちを抑えつつ裕太の後ろ姿を手を振りながら見送った。

 今まで、エリィが裕太を引っ張って食事に連れて行ったり、進次郎達を交えて複数人で遊ぶことはあった。

 しかし、裕太からの、それもふたりきりでのお出かけの提案。

 それすなわちデートの誘いであることは誰の目から見ても明らかだろう。

 もしかしたら、告白されるかもしれない!

 ロマンチックな場所に連れて行ってもらい、キスとかもしちゃうかもしれない!

 いやいや、もっと大胆にホテルとかに連れて行かれちゃったりするかも!?

 エリィはとろけた顔でエヘヘと笑いながら、自分の部屋へとスキップで向かっていった。


 【2】


「って、喜び勇んでオシャレして来たのにぃ……!!」


 約束の日。

 待ち合わせ場所で裕太と合流したエリィは、裕太の後に付いて数分前まではルンルン気分で歩いていた。

 若者向けのショッピングエリアを通り過ぎ、繁華街を素通りし、住宅街を横切り、そして今はロマンチックとは縁遠い工業地帯へと足を踏み入れ、キャリーフレームを荷台に載せたトラックばかりが通る道路の脇を歩いている。


 裕太やエリィの住んでいる代多よた市は、10年ほど前までは田園風景が広がる無名の農村地帯だった。

 しかし、当時日本政府が打ち出した遷都政策の一環で大企業の本社や工場を地方へと移設する運動が始まった。

 東京の一極集中を解消するために始まったその運動によって、過疎化していた諸地方には活気が生まれ、雇用を求めて人が集まり、集まった人を狙って商店が立ち並び、やがて町から都会へと開発が盛んになっていった。


 裕太たちが今歩いている工場地帯も、都市圏から移設されてきた大企業のものばかりである。

 代多よた市は大規模な都市開発の真っ最中であるため、土木・建築に有用なキャリーフレームの需要が高く、それらの姿を多く見かけることができる。


 辺りからはガガガと金属を加工する耳障りな音が鳴り響き、大きな歩行音を唸らせながら巨大なコンテナを運ぶキャリーフレームの姿も見え隠れするこの場に入ってからというもの、最初こそ笑顔だったエリィの表情も徐々に曇っていき、今となっては眉がつり上がるまでになってしまっていた。


『裕太、エリィ殿から不穏なオーラが感じ取れるのだが』

「言うなジェイカイザー。俺は今振り向くのが怖い」

「だったらこんなところに連れてくるんじゃないわよぉ!」


 頬を膨らませエリィが怒ると、裕太は恐る恐る振り返って立ち止まり申し訳なさそうな顔で祈るように手を合わせた。


「すまん。後で銀川の行きたいところに付き合ってやるから機嫌直してくれよ」

「乙女心を弄んで、それで済むと思って?」


 なおもプイッとそっぽを向くエリィに裕太はダメ押しを加える。


「……パフェの一杯でも奢るからさ」


 パフェという単語にエリィの耳がピクリと動いた。

 甘いものを食べられるのも嬉しいが、ふたりきりで喫茶店に赴き向かい合ってパフェを食べるシチュエーションを想像するとなんともデートっぽいではないか。

 そう考えたエリィは表情を和らげ、裕太の目を真っ直ぐに見つめながら優しげな笑みを浮かべ。


「それで手を打ちましょう。ケチなあなたの奢りなんて、二度あるかもわからないしぃ!」


 機嫌の戻ったエリィを見て裕太はホッと胸をなでおろすが、その表情は少し苦笑い気味だった。


「ケチとはひでぇなぁ。あ、パフェは最小サイズな?」

「それをケチっていうのよぉ……」


 そんなやり取りをしながら、二人は再び工業地帯を歩き始めた。




 【3】


「よし、ここだここ」


 裕太が門につけられたプレートを指差しながら門を通る。

 プレートに視線を向けると、『江草えぐさ重工』と読みにくい達筆の字体で刻まれていた。


 ──江草えぐさ重工。

 たしか6年ほど前にキャリーフレーム業界に参入した企業であり、目立った傑作機は未だ無いものの堅実な設計の機体が徐々に評価を高めつつある……ということくらいしかエリィも知らない。

 一応、〈アストロ〉という江草重工製の汎用キャリーフレームを東目芽ひがしめが高校のキャリーフレーム部が使っているのだが。

 エリィは工場見学でもするのかなと思いつつ裕太の後を歩いていると、ひときわ大きい建物の前に見知った顔を見つけた。


「よぉ坊主と嬢ちゃん。久しぶりだな」


 大田原・照瀬・富永といういつもの警察三人組が、待っていて暇を持て余していたという風な体勢からピシッと姿勢を正した。

 思いもよらない警察組との合流にエリィは首を傾げつつ。


「大田原さんたちはどうしてここにぃ?」

「そいつはな……」

「それは、今日集まった目的が次期警察用キャリーフレームの開発機試乗だからであります!」

「えっ、それって未発表の新型フレームが見られるってこと!?」


 大田原の発言を遮るように放たれた富永の発言を聞き、途端に目を輝かせるエリィ。

 照瀬が「そういうことになるな」と相槌を打つとエリィはピョンピョン飛び跳ねて喜びだした。


「笠元くん、そうならそうと最初から言ってくれればよかったのにぃ!」

「そう言われても、こういう場合は行き先を伏せておけってジェイカイザーがだな……」

『私が遊んだ恋愛ゲームではこれで成功したのだが』

「……もうお前のアドバイスには頼らねえ」


 ジェイカイザーの必死の言い訳に、裕太は頭を抱えて大きくため息を吐いた。


『ま、まあエリィ殿が喜んでいるので良いではないか! それはそうと裕太、現行の警察のマシーンはたしか七菱製ではなかったか?』


 唐突に話を切り変えたジェイカイザーの質問に、エリィはやれやれといったポーズをとってから人差し指を上に向けて説明をした。


「今が七菱だからってずっとその会社が独占するわけじゃないのよぉ。昨今のキャリーフレーム産業はメーカー毎に操縦性が変わらないようにって、コックピット構造は社を問わず、国際規格に統一されているの。だから純粋なスペック目当てで他社の機体に乗り換えっていうのも今じゃ当たり前なのよぉ」

「つまり、もしもこの江草えぐさ重工の機体が良ければ、警察は七菱から乗り換えってわけだ」


 照瀬がそう言いながらタバコの箱を懐から取り出すと、富永がムッとした表情でその手を掴んで止めた。


「……少しくらいいいじゃないか」

「良くないであります! 敷地内禁煙であります!」


 渋々タバコの箱を仕舞う照瀬を一瞥いちべつし、富永は説明の続きをする。


「現行のクロドーベルは我々の代多よた署のようにキャリーフレームによる開発が盛んな地域にしか配備されてないであります。けれど近い将来、全国の警察署に警察用のフレームが配備されるようになるのであります!」

「そん時に覇権を握っていた企業は大量発注でウハウハってわけだ……ゲホゲホッ」

『まさか、これから乗る新型のキャリーフレームが良かったら私を捨てて乗り換えるつもりか、裕太!?』


 一連の説明を聞いて、ジェイカイザーが深刻そうに訴える。


「んなわけあるか! 新型のキャリーフレーム買う金がどこにあるんだよ!」

『金があったら乗り捨てるというのか!?』

「あら怖いわぁ! あたしもいつか乗り換えられちゃうのかしらぁ♥」

「…張り倒すぞお前ら」

「いやん♥」


 裕太とエリィが夫婦漫才をしていると、不意に建物の自動ドアが開き眼鏡を掛けた細身の男が姿を表した。


「みなさん、遠いところからよく来てくださいました」

「崎口さん、お久しぶりです」


 丁寧に頭を下げて挨拶をする男──崎口に裕太が軽い会釈〈えしゃく〉をすると、崎口は少し驚いたような表情で裕太の顔を見つめる。


「君は笠元さんところの! 大田原警部補が連れてくる有望な若者って君でしたか」


「まあそうですね」と照れ隠しをする裕太を見て、エリィは呆気にとられるように口をぽかんと開けた。


「笠本くんって顔が広いのねぇ」

「……大抵は親のつながりだよ」


 エリィは裕太と仲がいいが、互いについては実はあまりよく知らなかった。

 裕太がエリィの親類を誰ひとりとして知らないように、エリィもまた裕太の親類関係を全く知らないのである。

 いつか裕太に秘密を全て明かし、共有したいと思っているエリィであるが、まだ勇気が湧かずに踏み込めないでいる。

 裕太の家族関係に少し触れられただけでも来た甲斐はあったかも、とエリィは心の中で小さくガッツポーズをした。

 裕太と談笑していた崎口がエリィの姿に気づき、不思議そうな顔で裕太に問いかけた。


「そのもテストパイロット候補の?」

「いや、俺の……その、ツレだ。キャリーフレーム好きなんだ」

「ははあ、なるほどなるほど……!」


 何かを察したように口元をニヤつかせる崎口の仕草に、エリィは気恥ずかしくなって思わず顔を赤らめた。




 【3】


 崎口に案内されて裕太とエリィ、それから大田原ら警察組は建物の中の広めのエレベーターに乗り、地下へと向かっていた。


「新型、地下にあるのか」

「上階にもテスト施設はありますが、なにぶんどこで誰が何を見ているかわかりませんからね。密閉された地下空間なら機密もバッチリということです。あ、言わなくても大丈夫とは思いますがくれぐれも今日のことは他言無用でお願いしますよ?」


 崎口のお願いにその場にいる全員が黙って頷いたタイミングでエレベーターの揺れが止まり、彼の後ろにあった大きな扉が横に開く。

 照明に照らされた廊下を進むと、やがて脇にガラス窓で囲まれた休憩スペースのうようなものが備え付けられた、まるで巨大な体育館の中のような広大な部屋へと裕太たちは足を踏み入れた。

 おお、と感嘆の声をあげる裕太たちの方へと振り向いた崎口は部屋の隅に鎮座している黒い布で覆われたキャリーフレームを指差す。


「これが例の新型か?」

「そうです、我が社の全技術を惜しみなく投与した新型……!」


 崎口がパキンと指を鳴らすと、江草重工のスタッフが黒い布を引っ張りキャリーフレームの姿を露わにする。

 薄いグレーの塗装がされたそれは、青い光を宿すモノアイ式のメインカメラを頭部に持ち、シンプルな角ばった形状の手足を有する目立った特徴の少ないキャリーフレームだった。


「次世代型キャリーフレーム、〈ヴェクター〉です!」


 自信満々に発表する崎口と裏腹に、〈ヴェクター〉を見た警察の面々の反応は今ひとつだった。


「新型にしては……」

「今ひとつ……」

「新鮮味が無いでありますね」


 3人の厳しいコメントを聞いてか閉口する崎口。


「あたしもそう思うわねぇ。だってボディの形状、ほとんど既製品の〈アストロ〉そのまんまだもん」

「ま、まぁ確かにボディフレームは既製品〈アストロ〉の改良型ですが……」


 崎口が反論を述べようとしたところで、休憩スペースの方から目付きの鋭い老人がコツリコツリと靴音を鳴らしながら歩み寄り、静かに口を開いた。


「〈ヴェクター〉は機体そのものではなく、ソフトウェア面において革新性のある機体なのですよ」

「ソフト面……つまりOSオペレーションシステムか。ところで崎口さん、このご老人は?」

「この方はヴェクターのソフトウェア開発をしているメビウス電子の訓馬くんばさんです」


 崎口に紹介されて訓馬は「よろしく」と軽く頭を下げ、しわだらけの顔でにこやかに微笑んだ。


「試しに動かしてもらえれば、その意味がわかるでしょう」


 挑戦的な口ぶりで訓馬に言われた大田原は数秒考え込み、ビシッと裕太を指差す。


「よし、じゃあ若い順に……ボウズが最初に乗ってみろ」

「あ、ええ。わかりました」


 大田原に言われ、素直に〈ヴェクター〉のもとへと向かう裕太。


「他の皆さんはそこの休憩スペースから彼の操縦を見物しましょう」


 残ったエリィ達は崎口に案内され、休憩スペースへと場所を移した。

 休憩スペースとは崎口は言っていたが、内装は実験の観測室にもなっていた。

 壁に備え付けられたモニターには隣の広大な部屋──つまりは実験場──の様子が様々な角度から観察できるようになっており、更には〈ヴェクター〉のコックピット内までもが映し出されていた。

 コックピット内では乗り込んだ裕太が、いつもジェイカイザーの中でやっているようにコンソールの横に携帯電話を置き、ブツブツとぼやきながら操縦レバーを握っている。


『コックピットの構造は私のものとあまり変わらないな』

「言ってただろ、国際規格だって。起動キーを回してっと……」


 画面の中の裕太の動きに連動するように、実験場の〈ヴェクター〉が立ち上がった。

 そのまま準備運動をするように〈ヴェクター〉が屈伸したり、腕を曲げ伸ばしする。

 そして実験場の床に書かれる白いラインに沿って歩行させたあたりで裕太の表情が険しくなったことにエリィは気づいた。



 ※ ※ ※



 10分ほど操縦して、裕太は〈ヴェクター〉から降りて休憩スペースの扉を開いた。


「俺は終わりました。次、富永さんどうぞ」

「はいであります!」


 裕太に言われて富永が休憩スペースを出ていくと同時に、エリィはあらかじめ紙コップに入れていたジュースを裕太に手渡した。


「お疲れ様ぁ」

「お、サンキュ」


 裕太はジュースを一気に飲み干し、紙コップをテーブルに置いて一息ついた。

 不満げな表情をする裕太に大田原がニヤつきながら「どうだったか?」と聞くと、ため息をつきながら。


「何だか……気持ち悪かったですね」

「おや? 慣性制御システムが故障していましたか?」

「崎口さん、別に乗り物酔いしたわけじゃありません……銀川、エチケット袋はいらんいらん。なんというか、反応が良すぎるというか。……機体に心を読まれているような感じがしたというか」


 裕太がたどたどしく感想を言い終わると、休憩スペースの端に座っていた訓馬がハハハと笑いながら立ち上がった。


「それこそが、弊社へいしゃの開発した新型ソフトウェアの効果なのですよ」


 自信たっぷりな訓馬の発言に裕太が首を傾げながら「と言いますと?」と返すと、それまでコンピューターの画面に向かっていた崎口が手を止めて立ち上がり、訓馬の代わりに口を開いた。


「皆さんは、キャリーフレームの操縦が、どのようにして行われているかご存知ですか?」


 学校の先生が生徒に質問するように崎口が問いかけると、エリィもまた授業中のような態度で手を上げ、発言した。


「えっと、指先の神経系から操縦レバーを通してパイロットの思考を読み取って、その思考と手足の動きからOSが動作を決定してキャリーフレームに反映させるんですよねぇ」

「その通りです。キャリーフレームはパイロットが歩くことを考えながらペダルを踏むと歩き、走ることを考えながらペダルを踏めば速く走ります」

「弊社のソフトウェアは思考の更に先にある無意識を解析することで、パイロットが操作をする前に初期動作に入ることができるのです」


 訓馬がそう言うと、説明を聞きながら考え込んでいた大田原が納得したように頷く。


「なるほど、人間の『考えるより先に体が動く』を利用したわけか」


 大田原の回答に訓馬が大きく頷くと、ドタドタと騒がしい足音を立てながら興奮した様子で富永が休憩スペースに戻って叫んだ。


「新型の操縦感すごいですよ照瀬さん! 照瀬さんも操縦してみてください!」

「富永、騒ぎすぎだ! 多少操縦性が違うからってそんなに変わるはずが……」



 ※ ※ ※



「本当にすごいな!」

「手のひらを返すのが早すぎませんか!?」


 態度を180度変えて戻ってきた照瀬に、裕太が思わずツッコミを入れる。

 一方、崎口は休憩スペースのプリンターから吐き出された書類に目を通し、うんうんとひとりで頷き立ち上がった。


「これで現役パイロットが全員試乗しましたね。そうだ、大田原さんもいかがです? 確かあなたも昔はパイロットだったと聞いていますよ?」

「そうしたいのは山々だが、この歳になるとなぁ……」


 そう言いながら渋い顔をする大田原をからかうように肘で小突く。


「大田原さん、腰にくるとか言うんじゃないですよね?」

「いや、揺れでたんぶちまけてコックピットが地獄絵図になる」

「汚いし、それ歳関係なくなぁい!?」

「ハハハ。そうだ嬢ちゃん、お前がやってみたらどうだ?」

「え、あたしぃ!? あたし、2脚バイクの免許くらいしか持ってないわよぉ!」


 思いがけず急に大田原に話を振られ、エリィは手をバタバタとさせてうろたえる。

 確かにエリィは大好きなキャリーフレームに一度は乗ってみたいと思っていた。

 しかし、免許の取得にかかる費用や手間の問題があって未だに取得できないでいたのだった。

 エリィの発言を聞いてか、壁に寄りかかってくつろいでいた照瀬が口を開く。


「公道で動かさない限りは免許は不要だぞ」

「えっ、照瀬さんそれ本当?」

「……ですよね、隊長」

「免許ってのは公道とか外で動かすための許可証だからな。ここだったら私有地扱いでセーフになるだろうぜ。ゲホゲホッ……。な、良いだろ崎口さんよ」


 大田原がそう尋ねると、崎口は手に持った書類をクリアファイルに入れながらいい笑顔で頷いた。


「不慣れな方が操縦するというのも良いデータが取れそうですし、構いませんよ」




 【4】


 エリィは心臓をドキドキさせながら、〈ヴェクター〉のコックピットへと乗り込んだ。

 一度ジェイカイザーのコックピットに裕太と同乗したことはあったが、パイロットシートに自分で座るのはこれが初めてである。


「銀川、起動セットアップはわかるか?」


 コンソール脇に置いた携帯電話から、裕太の声が聞こえてきた。

 いつもはジェイカイザーに乗る裕太に外からかけるが、今回は真逆だなと、エリィはほくそ笑みながら返答する。


「失礼ねぇ。あたし、キャリーフレームの知識だけは誰にも負けない自信はあるんだからぁ!」

『それは耳年増ということだな!』

「ほんっとうに失礼ねぇ!」


 携帯電話越しに響いたジェイカイザーの声に青筋を立てながら、エリィは〈ヴェクター〉の起動キーを回し、左右の操縦レバーを両方握りしめた。


「痛っ!」


 指先に走る神経とレバーが接続される一瞬のピリッとした痺れるような痛み。

 これが初めての時の痛みなのねとニコニコしながら、エリィは立ち上がる動作をイメージしながらペダルを踏み込んだ。

 グン、とまるでエレベーターが上昇する時のような下方向への圧迫感を感じながら、目の前の景色が下へと下がっている光景に目を輝かせる。


 普通であればこの速度でコックピットが上昇した場合、慣性の力でパイロットに大きな力が加わってしまう。

 しかし、キャリーフレームのコックピットに標準搭載されている慣性制御装置の働きによって、パイロットはわずかな揺れを感じるだけで快適な操縦をすることが可能である。


「わぁ! すごいすごぉい! 笠本くん、立てたわぁ!」

「こっちからも見えるよ、おめでとう。そこら辺を適当に歩いてみたらどうだ?」

「うん!」


 裕太の提案に快く応じ、エリィはペダルをぐっと脚で踏み込んで〈ヴェクター〉を歩行させた。

 心地の良い歩行音とコックピットの揺れに身を委ねていると、ペダルを踏む足に何かがぶつかったような違和感を感じた。

 エリィがコンソールを操作して足元にカメラを向けると、〈ヴェクター〉に蹴っ飛ばされて倒れたと見える赤い三角コーンが映っていた。


「こんな感覚もわかっちゃうのねぇ……そうだ!」


 試しに転がっている三角コーンの平たい部分を足先だけで起こすようにペダルをゆっくりと踏み込むと、思った通りに三角コーンを起こすことができた。


「ねえ、笠本くんいまの見た? すごくない!?」


 思う通りにキャリーフレームを動かせるのが嬉しくなって楽しくなって、エリィが携帯電話に呼びかけたものの、裕太からの返事はなかった。

 携帯電話の画面をよく見ると、操縦している内に肌で触れてしまったからか、いつの間にかエリィの携帯電話はマイクオフモードになっていた。

 エリィは右手を操縦レバーから離し、マイクオンボタンをタッチしようとしたが、そのタイミングで裕太と大田原の声が聞こえて来て、指が止まった。


「大田原さん。この間、母さんの見舞いに行きましたよ」


 普段の裕太からは聞けないような、少し悲しそうな声。

 声のトーンから察したのか、大田原がマジメそうな低い声で裕太に尋ねる


由美江ゆみえのか……。どうだった……?」

「ええ。相変わらず眠り続けたままです」

「……裕太、お前には本当に申し訳ないことをしちまったな。5年前のあの時、俺がもう少し早く〈ナイトメア〉を仕留めてりゃあ、こんなことには……」

「大田原さんが気に病むことはありませんよ。警察官として戦う以上、いつかは起こり得ることだったんですから……」

「でも、由美江ゆみえが眠っちまったおかげで裕太、お前は生活に苦労することになっちまったんだろ?」

「……確かに、働き手の母さんが働けなくなったし当時は父さんは専業主夫やってたしで貧しい生活を送ることにはなりましたよ。でも、今は父さんもコロニーで働いてるし、俺も民間防衛の報酬で貯金も出来てます。高校で友達もできたし、全然寂しくもありませんよ」

「そうか、よかったな……」


 いつになく真面目で物悲しそうなふたりの会話を聞いて、エリィは〈ヴェクター〉の中で声をかけるタイミングを見失っていた。

 裕太が妙にお金に執着していたのは、母親がケガで入院して貧しい思いをしたから。

 そんなことも知らずに、裕太に対してケチだケチだとバカにしてしまったことをエリィは悔いた。

 そして初めて聞く裕太の母に起こった悲劇。

 自分は裕太のことを何も知らなかったんだ、とエリィはやるせない気持ちになった。


「かっ……笠本くん!」


 マイクをオンにして電話に向かって叫ぶエリィ。

 電話越しに裕太が慌てて携帯電話を掴む音が聞こえる。


「どうした銀川!? まさか、今の聞いてたのか?」

「ええと、何のことかしら? それよりも崎口さんに、何か動かす目標とか出せないか聞いてくれない? もっと激しく動かしてみたいの」


 自分でも何言っているんだと思いながらも、エリィは誤魔化すようにそう言った。

 程なくして、実験場の四方の壁からキャリーフレームを模したハリボテが飛び出す。


「銀川、足元に落ちてある武器でそいつらを叩いてみろってさ」

「わ、わかった。やってみる!」


 エリィは言われたとおり〈ヴェクター〉の足元にあった鉄製の棒を握り、ペダルを踏み込んでハリボテに接近した。

 そしてハリボテの頭部に当たる部分を棒でなぎ払い、破壊する。

 次のハリボテへと向かいながら、エリィは考えた。

 今まで裕太は自分に付き合ってくれて、わがままも聞いてくれて、ピンチになったら身体を張って守ってくれた。

 さっきの会話を聞いて、裕太に頼ってばかりじゃダメだと思った。

 裕太はいつも自分の前で明るく振る舞っていたけれど、誰も見ていないところでひとりで苦しんでいた。

 エリィはそんな裕太の力になりたいと思った、支えになりたいと感じた。


 ふたつ目のハリボテへ攻撃をし、〈ヴェクター〉を反転させ次のハリボテへと向かうエリィ。

 エリィはこの間のドラマ撮影の時、裕太が危険な目に遭っているのに見ているだけしかできない自分に憤りを感じていた。

 裕太の助けになるためにも、自分ができること。

 今考えられることは、キャリーフレームを操縦できるようになることだった。

 裕太の代わりに戦えないまでも、自分の身くらいは自分で守れるように、それくらいはできるようにならないと。

 最後のハリボテを破壊したエリィは、わざと挑戦的に携帯電話へと叫ぶ。


「この〈ヴェクター〉、すごくよく動けるわ! あたしでもこれだけ動かせるのなら、ジェイカイザーにだって負けないかも!」

『なにをー! エリィ嬢よ、それは喧嘩を売っているのか!?』


 予想通りのジェイカイザーの怒声に、エリィは挑発を続ける。


「だって、ジェイカイザーの部品って旧式でしょう? この新型の性能なら、素人のあたしでも勝てるかもね。笠本くんもそう思うでしょう?」

「……確かに、そうかもしれないなあ」

『裕太まで! ええい、ならば決闘だ! そのマシーンと私のどちらが強いかハッキリさせようではないか!』


 声を荒げて闘争心を高めるジェイカイザーに、裕太は呆れながらため息を付いた。


「って言ってますけど、崎口さん良いんですか?」

「ふむ、実戦データをそろそろ取ろうと思っていたんですよ。いい機会ですね、許可しましょう。機体はこちらで用意しましょうか?」

「いえ、結構です。ったく、しょうがねぇな……!」


 渋々といった様子で裕太が休憩スペースから出て、携帯電話を握った手を振り上げる。


「来いっ! ジェイカイザー!」


 裕太の前方に、もはや見慣れた魔法陣が現れ、そこからジェイカイザーが出現した。



 ※ ※ ※



「……こ、これは!?」


 その様子を見た崎口が口をあんぐりと開けて驚き固まる。

 大田原は懐から取り出した特濃トマトジュースにストローを刺しながらハハハと笑う。


「今警察で研究している転送システムですよ。驚いたでしょう?」


 大田原のあからさまな嘘を信じたか信じてないか、崎口は「すごいですね」と月並みな相槌を打った。

 一方、火の付いてないタバコを咥えながらくつろいでいた照瀬は、横で訓馬が目を見開いてジェイカイザーを凝視していることに気づいた。


「これは、まさか兄上の……?」

「どうかしましたか、訓馬さん?」

「ああ、いや。亡き兄上が好きそうなデザインのキャリーフレームだと思いましてな」


 慌てて取り繕う訓馬の様子に、照瀬は怪しいなと思いつつ目を細めた。

 しかし、横から無邪気に富永が訓馬に質問を投げかけた。


「兄上さんはキャリーフレームが大好きだったでありますか?」

「ええ。私も兄上も大好きですよ。好きでなければ、このような仕事は務まりませんからな、ハハハ……」


 富永に作り笑いを浮かべる訓馬を、照瀬は流し目で睨みつけた。



 ※ ※ ※



『私のほうが優秀であるということを証明するぞ、裕太!』

「銀川ーやめるなら今のうちだぞー」


 ジェイカイザーに乗った裕太から、携帯電話越しに最終通告が来たが、エリィは「冗談!」と一蹴する。

 せっかくの腕試しのチャンスをそんな言葉で諦めていたら、この先やっていけないだろう。


「ねぇっ笠本くん! これで負けた方は一つ勝った方のお願いをなんでも聞くってどーお?」

「……いいだろう。後で無かったは無しだぞ! 銀川!」



 ※ ※ ※



 今にも戦いが始まりそうな2機を見て、沸き立つ休憩スペースの大田原達。

 特濃ジュースをズゾゾと音を立てて飲みながら、大田原がメモ紙とペンを懐から取り出した。


「さあて、どっちに賭ける?」

「そりゃあジェイカイザーでしょう」と照瀬。

「いえ、うちの〈ヴェクター〉が勝ちますよ」と崎口が言ったところで、富永が頬を膨らませて大田原のメモ紙を取り上げた。 

「不謹慎ではありませんか! 賭け事は禁止でありますよ!」

「冗談が通じねえなあ……」

 大田原は富永からメモ紙を取り返し、渋々と懐へと仕舞い入れた。



 ※ ※ ※



『行け、裕太!』

「おう!」


 裕太はジェイカイザーを〈ヴェクター〉へと接近させ、武器を持たないまま数発のパンチを放った。

 しかし、エリィの操縦する〈ヴェクター〉は最低限の動作でそのパンチをひょいひょいとかわしていく。


「おいおい……銀川の操縦でこのスピードかよ!?」

「お返しよぉ!」


 カウンターとばかりに放たれた〈ヴェクター〉の回し蹴りをジェイカイザーはとっさに両腕をクロスさせガードするが、受けきれずに後ろへと後ずさる。


『裕太、押されているぞ!』

「わかっている! こうなりゃ本気で行くぞ!」


 裕太がそう言い、ジェイカイザーの脚から警棒を取り出そうとする。

 しかし、その隙をついてエリィは〈ヴェクター〉の腰部に仕舞った鉄製の棒を抜き、ジェイカイザーの警棒を握られる前に弾き飛ばした。


「……っ!」

「もらったわぁ!」


 エリィの叫びとともに、棒を振り上げジェイカイザーに飛びかかる〈ヴェクター〉。


「舐めるなぁっ!」


 裕太はとっさにジェイカイザーの左腕を斜めに突き出し、振り下ろされる棒の動きをガードしつつ逸らす。

 そして勢いのまま斜め横にすれ違う〈ヴェクター〉の片腕を掴み、そのまま体重をかけて一瞬で組み伏せた。

 床に倒されうつ伏せの格好で押さえつけられた〈ヴェクター〉は必死にもがくものの、重量を使って動きを封じるジェイカイザーから抜け出すことはできなかった。


「ギブ、ギブアップ! 笠本くん、あたしの負けよぉ!」


 エリィの必死の敗北宣言を聞いて、裕太はふぅとため息をついて〈ヴェクター〉を引っ張るようにして立ち上がらせた。



 ※ ※ ※



『これで、私のほうが優秀だと証明できたな裕太!』


 休憩室に戻ってジュースを飲むふたりをよそに、ジェイカイザーが携帯電話の中から得意げに声を張り上げた。


「パワーでは負けてたけどな」

『スペックで負けていても、勝てば良かろうなのだ!』

「ほんと、ジェイカイザーはポジティブねぇ」

「銀川も、あんだけ動かせるなんて大したもんだ」


 裕太に褒められ、思わず頬を赤らめて照れるエリィ。


「え、えへへ。そーお? ありがとう!」


 エリィは笑顔で喜びながらも内心、ホッとしていた。

 裕太に戦いを仕掛けたのは何もヤケになったわけではない。

 裕太が困ったときに自分が力になれるかどうか試したかったのだ。

 今は〈ヴェクター〉のシステムに頼って互角くらいだが、そのうちシステムに頼らなくても裕太を助けられるように頑張ろう。

 エリィは心の内でそう強く決意を抱いた。


 自慢の〈ヴェクター〉が負けて、やや悔しそうな顔をしている崎口の肩を大田原がポンと叩いた。


「崎口さん、俺はこの〈ヴェクター〉に危険性と可能性を感じたよ」

「……といいますと?」


 崎口に問いかけられ、大田原は窓越しに〈ヴェクター〉を見上げながら。


「操縦が初めての嬢ちゃんであれだけの動きができた。これは素晴らしいことだ。なにせキャリーフレームの操縦に必要な訓練が減らせるからな。即戦力を作りやすいのは警察にとってかなりプラスだ」

「それが可能性ですか。では危険性とは?」

「確かにソフトウェアの進化によって操縦が簡単になり、素人でも動かせるっていうのは素晴らしいことだ。だが、キャリーフレームっていうのは人間と違って巨大な物体だ。腕を振り回そうとして家屋にぶつけちまうかもしれないし、バランスを取ろうとして車を蹴飛ばしちまうかもしれない。そういった事故を防ぐような安全面の部分でも、調整が必要なんじゃねえかなと思うぜ俺は」

「安全面ですか……」


 そう言いながら、崎口は大田原と同じように〈ヴェクター〉を静かに見上げた。




 【5】


「崎口さん、〈ヴェクター〉は一旦差し戻して作り直すって言ってたな」


 江草重工の建物から出て駐車場を歩きながら、裕太はエリィに言った。


「もしかして、あたしが負けたせい?」

「どうだか? 大田原さんが何か言ってたし、問題を見つけたんじゃないかな」

「だったら良いけれどぉ……あら?」


 エリィは駐車場の向こうから、内宮が見知らぬ男と歩いて来ていることに気づいた。

 内宮もエリィ達に気づいたのか、「おーい」と手を振りながら小走りで駆けてくる。


「銀川はんと笠本はん、偶然やな」

「内宮さんこそ、どうしてこんなところにぃ? ハッ! まさかあの男にお金を掴まされて……!」

ダボアホが! んなわけあるかい! バイト先の上司と一緒に重役さんを迎えに来たんや」

「へぇー! 内宮さんがバイトしてるって聞いてたけれど、江草重工だったのね」

「ちゃうちゃう、うちが迎えに来たんは……」


 そう言う内宮の目線を追うと、ゆっくりとこちらへと歩いてくる訓馬の姿があった。

 訓馬はエリィと裕太には目もくれず、内宮と一緒にいた男へ声をかける。


「ふたりとも、迎えご苦労」

「お疲れ様です、専務。お車はこちらです」

「ああ」


 短い会話を終え、訓馬と男は駐車場の奥の方へと向かっていった。


「ああ、待ってーな! ほなおふたりさん、またな!」

「内宮さん、メビウス電子でバイトしてたのねぇ」

「そうだな……」


 訓馬たちの方へと走っていく内宮を見ながら、エリィと裕太はぽつりと呟いた。



 ※ ※ ※



「して、例の新型はいかほどで?」


 内宮と一緒にいた男──キーザが訓馬に尋ねると、訓馬は眉間にシワを寄せた。


「人の手が入る以上、操縦性がいくら向上したところで乗り手の腕前に左右されすぎる」

「となると、やはり我々のプロジェクトは性急に進めねばなりませんね」

「ああ……そのためには内宮君、君も頼むぞ?」

「うちは給料のために働いとるだけや。カネ切れんうちはつきおうたるわ」


 不敵な笑みを浮かべながら、3人はメビウス電子の社用車へと乗り込んだ。




 【6】


 江草重工を出た裕太とエリィは来た道を戻るようにして工場地帯を抜け、約束のパフェを食べるために繁華街へと足を踏み入れた。

 きらびやかな装飾の施された賑やかな通りを歩きながら、ジェイカイザーがハッと思い出したように突然声を出す。


『裕太! エリィ殿に勝ったのだから、約束の願いとやらを言ったらどうだ!』

「あ……!」


 そうだったとばかりに、エリィは口に手をあてて頬を赤らめる。

 あの時、たしかに願いをなんでも聞くと言ってしまった。


「さーて、どんな願いを言うかねぇ」


 口端を吊り上げながら顎に手を当て考える裕太。


『なんでもと言うからには、男ならばひとつしか無いだろう!』


 ジェイカイザーに囃し立てられ、エリィはますます顔を赤くする。

 なぜなら、男が女にぶつける欲望などわかりきっているからだ。

 エリィは急な展開を覚悟し、ゴクリと喉を鳴らして裕太の答えを待った。


 しかし──。


「じゃあ、パフェだ」

「えっ?」

「約束したろ、パフェ奢るって。あれ割り勘にして、でかいのを一緒に食べようぜ」


 裕太の言った素朴な願いに、エリィはポカンとあっけにとられた。


「そ、そんなことでいいの?」

『そうだぞ裕太! もったいないぞ!』

「うるせぇジェイカイザー。俺は銀川に嫌な思いさせちまったから、その償いはしなきゃ気がすまないんだ。償いと願いで合わせたら、それくらいが妥当だろ?」

「あたし、気にしてないのに……」

「俺がやりたいから言ってんだ。銀川は願いを聞くんだろ? だったらパフェ食いに行こうぜ」


 エリィは裕太の心遣いが、なんだか嬉しくなった。

 自然と表情が笑顔になり、思わず裕太の腕に抱きついた。


「わぁい! 笠本くん、だーい好き!」

「はいはい。じゃあジェイカイザー、いい感じの店探してくれ」

『おい裕太! 私を音声認識ソフト扱いするんじゃない!』


 賑やかに笑いながら、裕太とエリィは繁華街の通りを進んでいった。



  ……続く



─────────────────────────────────────────────────

登場マシン紹介No.5

【ヴェクター】

全高:8.3メートル

重量:13.5トン


 江草重工で開発中の新世代キャリーフレーム。

 新型と銘打ってはいるが、機体の大半は同じく江草重工製の既製品〈アストロ〉の流用であり、その手先の器用さは引き継いで入るものの性能的に真新しい部分は一切見られない。

 メビウス電子が開発した新型OSによって操縦時の反応速度が劇的に向上しており、操縦が不慣れなパイロットでもすぐに自分の手足のように動かすことができる。

 なお、操縦性が良すぎるがゆえに咄嗟の立て直しや危機回避がしづらい点を大田原に指摘されたため、再び開発中に差し戻された。

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