海辺の浅知恵

おいら達は、海辺で亀をいじめて遊んでいた。

棒でつついたり、石で叩いたりしてたんだ。

亀の嫌がってる顔が面白かった。


そしたら、釣りを終えた大人の人がやって来てこう言った。

「そんなにいじめたらかわいそうだよ」


ふん、かまうもんか。

おいら達は無視して亀をいじめ続けた。

ひっくり返して、蹴って、砂をかけた。

ますます嫌がる亀が面白かった。


そしたら、大人の人はこう言った。

「その亀を売ってくれないか、ちゃんとお金を払うから」

おいら達は顔を見合わせた。

みんなお金がない。だからお金くれるなら大歓迎だ。おいら達は喜んで亀を売った。


大人の人と別れてみんなで砂浜を歩いていたら、亀を見つけた。

さっきいじめたのとは別の亀だった。




おいら達は顔を見合わせてにっ、と笑った。

そうしておのおの手頃な棒や石を拾うと、亀に向かって笑顔で駆け寄った。




こうしてれば、また誰かお金くれるよね。

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