まもるとけい
大丈夫だよ。
君を探して部屋をうろつくあいつに、絶対に君を食べさせたりなんてしない。
必ず、私が守るから。
悪いのは君達じゃないよ。脚や声を変えてお母さんのふりをしたあいつが卑怯なんだ。
だから、自分を責めないで。
他の家具じゃなくて私の中に隠れたのは、ここなら見つからないと思ってくれたからだよね?
だったら、その信頼に必ず応えるよ。
鼻のいいあいつにも君の匂いが分からないようにふたをしっかり閉じて、あいつの大きな目にも君が映らないように振り子を振る。今だけはちょっとくらい時間がずれてもかまわない。
そんなに震えなくていいんだよ。
涙が止まらないんだね。6匹の兄弟たちが食べられるところ、ここから見ちゃったんだもんね。怖かったね…
でも、みんな丸呑みされただけだから、きっと無事だよ。
あいつもそろそろ満腹で眠くなってきたはず。
お母さんもそろそろ帰ってくるはず。
だから、あとほんのちょっと、ほんのちょっとだけ耐えれば、もう何も心配しなくていいんだよ。
自分が時を刻む音が、妙に大きく聞こえる。
もし、あいつがこちらに気付いたら?
私はばらばらに壊されて、そしてこの子は…
そんな恐ろしいことは、今は考えない。
必ず守り通すから。
だから大丈夫。大丈夫だよ。
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