第2話〔中〕
ディオニスは激怒した。
セリヌンティウスが「あること」にすっかり夢中になってしまったのだ。
それは〔Twitter〕。
セリヌンティウスが「退屈だ。一人でも〔ぷよぷよ〕ができるようにはならないか?」というものだから〔スマートフォン〕を渡した。
するとほれみたことか。ずっと画面に食いつきながら〔ぷよぷよ〕に興じている。
1時間ほど経つと、〔スマートフォン〕にも慣れSNSを始めた。
『(^^)セリヌンティウス
@selinun123
13分前
人質なうwメロス早く来てーww
⇆7 ♡4』
ディオニスはセリヌンティウスに聞いた。
「わたしと、〔カバディ〕でもしないか…?体、動かしてないだろう?」
セリヌンティウスはディオニスに顔を向けずに「すまない。今DMが来てな。なんだって女の人なんだ。」
とあっさり断った。ああ、ゼウスよ。なぜ貴方様は、セリヌンティウスとわたしに溝をお作りになった。
ディオニスは必死にセリヌンティウスの気をひこうとしたが「すまん、リプきた。」「すまん、フォロバしなきゃ。」なんて言われ、ディオニスは1人寂しく〔テトリス〕にいそしんだ。。
まぁいい。メロスに残された猶予はあと9時間。それまでにはセリヌンティウスはわたしに命乞いをするだろう。
もしメロスが来なかったら思う存分絞め殺してやる。
ディオニスは薄ら笑った。
しかしディオニスは考えた。
『メロスが来なかったらセリヌンティウスを殺さず一生ここにいさせれば良いのではないか。』と。
いけない、いけない。
情というやつがディオニスに芽生えてきていた。
●●●
ディオニスチャンネルの配信時間が来た。
しかしディオニスはやる気が出なかった。
ああ、セリヌンティウス。なぜずっと画面に向かって笑っている。わたしがいるというのに。現実、セリヌンティウスは虚ろの人物と楽しそうに会話している。
憎い。セリヌンティウスと楽しそうに会話している奴が憎い。
ディオニスは気付いた。この気持ちに。
「こ、これが…〔恋〕か…?」
メロスの猶予まであと4時間…
つづく
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