第152話 いけない魔術の使い方21
夜々は去った。
残されたのは一義とフェイ。
そして一義はフェイを連れてディアナの寝室へと入った。
金の髪に金の瞳。
金色の美少女を連れていることに関してアイリーン以外のハーレムは、
「またか」
という感想を持った。
「というわけで……」
何がというわけなのかは一義にもわからないが、
「新しく僕のハーレムに入ったフェイです。仲良くしてあげて」
そう言う他なかった。
「フェイ様……」
「ファンダメンタリストを加えていいのお兄ちゃん!」
「あたしは構わないがね」
かしまし娘はある意味で当然の反応をした。
「音々、ソレを言うのならキザイアだってそうじゃないか」
「うう……」
「それにもうフェイはファンダメンタリストじゃないしね」
「是。然りです」
コクリと頷くフェイ。
「そなの?」
音々は首を傾げる。
「是。既に不老不病不死……金人となった私は神の祝福である死を否定する存在。ヤーウェ教の定義から外れる背教者です」
「ふーん……」
納得したのかはわからないが曖昧模糊にそう呟く音々だった。
「フェイちゃーん!」
アイリーンが金色の瞳に喜悦を浮かべてフェイにジャンピングハグをした。
「ちょ! お姉ちゃん!?」
「えへへぇ。フェイちゃんだぁ……。フェイちゃんの匂いだぁ……」
「変態っぽいよアイリーン」
一義のツッコミに、
「いいの!」
アイリーンは即答で肯定した。
「そうです一義!」
「何でがしょ?」
「姉妹丼が――」
「――下品」
アイリーンが言い切る前に一義はアイリーンの頭部に手刀をかました。
「それで?」
これはディアナ。
「フェイ……でしたっけ……? 何者ですの?」
「アイリーンの実妹。ついでに元ファンダメンタリスト。更に言えばここ最近僕を狙っていた暗殺者でもあるね」
さっぱりと一義は言う。
「そんな輩まで一義様はハーレムに?」
「まぁ今はもう無害だから」
肩をすくめる。
「ある意味において昨日の敵が今日の味方になったんだから都合がいいと言えばいいでしょう?」
皮肉気に一義。
「対一能力ならジャスミンさえ凌ぐよ。アイリーンとほぼ互角だからね」
「聞き捨てならんぞ! 一義!」
ジャスミンが噛みついてきた。
「とは言ってもねぇ。事実だし」
容赦がない。
「ええと……」
エレナが指折り数える。
「これで一義のハーレムは姫々、音々、花々、アイリーン、ビアンカ、ディアナ、フェイ、ジンジャー、ハーモニー、アイオン、ジャスミン、キザイア……となるわけですか?」
「うん」
一義に躊躇というものは無かった。
「ともあれ……」
と話題を変えようとした一義の言を、
「キャン」
と言う悲鳴が上書きした。
「フェイちゃんフェイちゃんフェイちゃん……!」
見ればアイリーンがフェイにセクハラをしていた。
抱きついて頬ずりくらいまでならどうとでもなったが、アイリーンはようやくフェイと邂逅できた喜びか……フェイの体を弄り回していた。
胸を揉む。
唇を奪う。
股に手を……、
「それくらいにしておいてね」
差し込む前に一義がアイリーンの首根っこヒョイと掴んでネコでも扱うかのようにフェイから引きはがした。
「姉妹丼が――」
「――下品」
またしてもアイリーンにチョップを見舞う一義だった。
「あうう……」
と頭部を押さえて痛がるアイリーン。
「フェイが生きて出会えたのを喜ぶのはいいけどセクハラは看過できないよ?」
「だってフェイちゃんが生きていたんですよ! それも一義のハーレムに! これでは勝ったも同然じゃないですか!」
「ほらね?」
一義はフェイに視線をやると肩をすくめた。
「言ったでしょ? アイリーンはフェイのことが大好きだって」
「是。身に染みているところです」
フェイは困ったようにそう言った。
「フェイちゃん!」
アイリーンがフェイを呼ぶ。
「何ですかお姉ちゃん?」
「一緒に寝ようね!」
「はぁ……まぁいいけど」
フェイはアイリーンの遠慮のない好意にあたふたしているらしかった。
くつくつと一義が笑う。
それほど微笑ましい光景だったのだ。
「まぁ全員で寝るんですけどね」
並列させたキングサイズのベッドを指差してディアナが言った。
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