2.パーティ会場

知り合いの80歳の誕生パーティに呼ばれた

さして好きな相手ではないが、ビジネスパートナーとして長年付き合ってきた相手だったので、これもその一環とお呼ばれされることにした

手ぶらで行くのもなんなので途中で適当に見繕った花束を受付に渡し、会場に入る

そこではさすが超大手企業トップの誕生会と言うべきか、派手な装飾にまみれた良く言えば豪華絢爛なパーティ会場が広がっていた

まだ開宴までしばらくあるが、会場はすでに大勢の人々で溢れ、賑やかな話し声がそこかしこから聞こえてくる

大抵は今日の主役についての話題、世辞陰口等々だ

権威者の常だろうが彼のその広い交友関係の中にも彼のことを良く思っていない人間が相当数いるらしい、自分もそうかもしれない

特に世間話をするような相手もいないので適当に飲み物をもらって会場内をぶらつき様子をみたりなんだり

談笑するいくつかの集団の横を通り過ぎ、穏やかな調子の音楽を奏でるどこぞの有名ピアニストの曲を聞き流し、こんなもんかと会場の奥の扉を開けて外に出る

来賓用と異なり味気のない廊下を通り抜け、おそらく主賓の控え室であろう部屋に入った

案の定そこには彼がおり、開宴までの最後の準備をしていたようだった

やぁと声をかけられる

良くきてくれた、と

今日はたまたま空いていたんだ、そんな目で俺を見るな、俺はあんたのことはそんなに好きじゃないんだ

嬉しそうに挨拶から世間話を始めようとする彼を視線で止めて、本題を促す

「さて80歳の誕生日プレゼントはどいつの命だ?」

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お題箱 タカりん @takarinn

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