お題箱
タカりん
1.隠し味
浮かれて鍋に向かうと何か新しい追加をしたくなる
酒を飲んで酒を入れた時はうまいこといったが、ふと目についたカレー粉を入れた時はまずかった
今日はどうしようか
ぐるぐると鍋の中身をかき回しながらすぐ隣の棚を見る
別に浮かれているわけではないが最近は特別何がなくとも思い付きで追加することが多くなっていた
毎回成功する必要はない
どうせ趣味だ
小麦粉にした
まだ試したことがなかったから
いったん火を止めドサドサと放り込んでいく
大体こんなもんかなと入れた量をメモっておく
火をつけなおしぐるぐるとかき回す
ふんふんと鼻歌を歌いながらひたすら回す
弱火でじっくりが基本だ
お玉を回す腕がだるくなってきた頃からがスタート
何事にも言えることだろうが時間をかければかけるほどに質が増す
手間もかければいうことなしだ
寝る間も惜しんで三日三晩
さぁようやく出来上がったそれの出来を確かめよう
火を止めた鍋から少し目を離して食器棚に手を伸ばしている彼の背後で鍋が鈍く輝やく
ぼこりとおおきく泡がたちとろみの付いた中身をかき分けて大鍋のふちに六本の指がかかり、そして
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