第130話「マスケット銃?ぷっ」
シナリオは修正されつつ進んでいます。
皆様2年ぶりになります。
何年たっても3歳児! まーちゃんでございます。
え?何?もう忘れた?
……しょうがないですね。今から自己紹介しますので思い出してくださいね?
名前はマイルズ・デ・アルノ―。歳はかわいい盛りの3歳。男の娘です。
……おかしい。なんとなく当てられた漢字から悪意を感じるのです。
ま、いっか。
私は大陸西部に位置する人間の国アルキア王国に生まれました。
家族構成は、父『料理人(ドラゴンスレイヤー)』、母『職業婦人(魔法研究所所長)』、祖父『豪農(各種族に恐れられる大英雄で元魔導公爵)』、祖母『謎の若作りおばあちゃん(現役賢者)』、長女『美少女(11歳脳筋)』、長男『料理人見習い(9歳脳筋)』、次男『学生(6歳)』、3男『私(中身はおっさんの幼児♪3歳)』です。
獣人の国に行ったり、教国に拉致されたり、保護のために婚約させられたり、なぜか聖女に祭り上げられたり(男ですよ?)しまして、現在なぜか大陸の東に向かって旅行中です。
いえ、ほぼ私が仕掛けたことなのですがね。
まぁ、仕掛けというのは神様がらみの面倒くさいことでして、ええ……。
私も
「……幼児よ、思案中と見える。もう『高い高い』はよいか?吾輩そろそろ腰が……」
「ノーなのです。楽しいのです。まーちゃんまじめに考えていますが、体は楽しいを求めているのです」
といって私は、竜人学者でデスガルドという名前の中二病古代魔道具狂いに向かって手を広げアンコールします。
「……仕方ないのである……」
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
堪らないのです。この浮遊感と若干のスリル!
竜人というだけあってデスガルドさんは長身なのです。
この北部の遺跡に移されまた牢獄暮らしな私たちですが状況は刻一刻と変化しています。
……でも、それは置いておいて、もうそろそろ旅を始めて2週間ぐらいたつのです。
1週間ほど前から長女(11歳脳筋)ことミリ姉は、異世界から転移してきてしまった甥っ子の衛君(18歳。現在諸事情により、男→女。ドジっ子属性)と、転移魔法で世界の壁をこじ開けってやってきたストーカ……ゴホン、衛君の幼馴染こと香澄ちゃん(18歳。美少女。腹黒、百合属性)の3人でこの周辺で【古代遺跡に寄生している】ダンジョンの駆除作業をしてもらっています。
なので幼児的に寂しいのです。
中身は40を超えるおっさんですが、体的は幼子、無性に不安になり、夜大人達のお布団に潜り込んで体温を感じたくなって利するのは仕方がないことなのです! 高い高いしてもらって孤独を慰めるのは必要なことなのです。
「くらえ! 高い高い+1回転!!!」
高い高いしながら回転する中年風の竜人さん。
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉ」
楽しいのです!
そして私をゆっくり着地させ、デスガルドさん私から手を放し腰をさすります。
「あちら、楽しそうですね」
お腰をトントンして私からわざと視線を放しているデスガルドさんと、笑顔で手を広げる私の姿を横目に、中年太りかつ前髪戦線後退気味の二重スパイのムライさんと、愛する人のために平然と種族変えちゃった次代の魔王候補で私の護衛?のはずのティリスさん、漆黒の髪と目、小麦色の肌を持つ美人魔族さんが肩をすくめながら紅茶片手に情報交換をしています。
「平和ですな……」
「大丈夫です。ここに来る前にいた牢屋も豪華に改装していましたので、現実逃避しなくてもよいですよ」
失礼なことを言う二人。そういえば前の遺跡を出会った愉快な仲間たちも似た表情をしていましたね。生活環境の改善は必要なことですよ。人間、心技体が正しい状態でそろわなければよい仕事はできませんからね!
「まぁ、そういう方なのは聞き及んでおりましたが……まぁ、いいでしょう。この日現実を受け入れましょう。現実【逃避】になりますが、それが無難でしょうね……私の【頭皮】状態も似たようなものですしな! はっはっはっは」
ムライさんはその【頭皮】状態と同じく【逃避】することで現実と折り合いをつけたようです。
ムライさん。貴方、やりてですね。
私の関心を他所にティリスさんは聞かなかった体で状況を確認し始めます。
「南西部の異世界宗教派の国内進行は止められたそうですね」
「はい、先日ようやく宰相閣下から連絡がありました」
心底安堵したような表情で語るムライさん。そうりゃそうでしょうね。2重スパイを命じられて、いざ! って時に上司が音信不通ではね……。と考えながら、私はあの、かなりチャラいメッセージを送ってくる死の国の氷の宰相閣下を思い出します。
「流入してきている異世界宗教は元教主派のみですね」
「現在こちらに集結中です。はい。教国が滅んだので数百年前から大陸中央で暗躍し続けたかの教団暗部も、彼らが主張している希望も、これで終わりです」
ムライさんは楽しそうです。
「千年以上に及ぶ彼らとの因縁もこれで終わるかと思うと感慨ひとしおです」
「ええ……ただ、素直に終わるのであれば……ですがね」
そう言ってお二人は私を見ます。失礼なのです。確かに企て事はあります。1つの事象に対して思惑1つなどありえません。社会人であれば事象に対して1面の事実だけではやっていけないのです。2面3面合わせ持ち、それに様々な腹案も持ち合わせることぐらい皆やっていることなのです。
ふふふふ、いつまでもまーちゃんが受け身であると考えないことなのです。
「要注意なのは南方で最後まで抵抗していた異世界人が……、この遺跡で異世界宗教を指導しているドゥガだった……。ということなのでがね……」
「情報が不安定。転移の痕跡はない。早馬を乗り継いでも3週間はかかる距離……」
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉぉ! もう一回! もう一回なのです!」
お二人の重要そうな話を聞き洩らしてしまっていることは内緒なのです。
--変態王子サイド--
「おお!よい!よいぞ!この眼鏡!まるで目の前にいとし子がいるようではないか!!!」
久しぶりに本職(レベル神)として呼び出された先で目にしたのは、VRゴーグルのようなものをかけて興奮している変態王子ことカクノシン・ムサシ・デネルバイル君です。
御用がおありなら早く済ませてほしいんっすがね……。
「くくく、高い高い~だ! よい! 無邪気に楽しんでいる表情の陰に陰謀を感じる! 素晴らしい!!」
変態王子のご褒美タイムに呼び出された私。一応3級神という結構お偉い神様なのですがね。
ため息をついて周りを見回すと、満足気に書類を確認している権三郎君。
「ほら、そろそろ本題に入りますよ」
「……すまぬ。もう一再生させていただけないだろうか」
話が進みませんね。
まぁ、仕込みはしたので……いい……のでしょうかね。
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