第103話「神獣様と神樹の関係2」
ご参考までに地図です。(左下部分が今回の祭りの舞台)
http://img1.mitemin.net/63/ls/lb6m2yvh16gx7vhrczlv6e4b5e9f_lug_k0_i8_4mrq.jpg
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「神樹様の所へ向かうための儀式を行う」
身を清める。
食べるものによって内部から清める。
座禅を組むことで精神を清める。
聖水を被ることで外部から清める。
姉妹神と別れて3日程この状態である。
外部から身を清める。要するに水垢離です。
冷水を被る祈祷方法です。幼児がすると虐待の香りがします。
食べ物は味の薄いものが続きます。
味の濃いお肉大好きな獣人がやっています。
彼らからすると拷問なのです。ですが頑張る様子です。私ですか? もちろん余裕です。
座禅。つまり祈祷です。時間経過が遅いので、ぐっすりお休みしました。
最近忙しいので助かります。
ん? 寝たらばれる? あのですね。会議会議で追われると、抜き場所を覚えるものなのです。そうじゃないと死んじゃうのですよ……。あと、重要なことは繰り返すので聞き漏らしません。
さて、そんなこんなで神樹へ向かうメンバーである、私と獣王様と随伴部隊千名は朝昼晩と繰り返される儀式で疲弊しております。
そう、お気づきになりましたか?
王妃様とポチ・タマはいかないのです。そしてウッサは自宅なので儀式しないのです。ですが、王宮にはいます。
ポチ・タマ、寄宿舎には帰らないのですか?
ほう。ここから通う……。
ふむ。婚約したばかりなのでイチャイチャしたい?
嘘ですね。私たちが薄味の食べ物を食べている横で、ジンギスカンパーティしてるじゃないですか!
ちょっ、王妃様冷えたビールで喉鳴らすの下品です!
そして私達への最大の暴力です!
もう、いいじゃないですか。お肉様をください。ウッサ……。なんですか『メンゴ!』って、昭和か!
「まーちゃん先輩、耐えるっす! うまー! ジンギスカンうまー!」
「神宮寺君。反物質砲ってご存知ですか?」
「……大陸の西側が消失するのでやめてください。お願いします」
土下座の似合う神様、そう神宮寺。
「下っ端スーツ着て、正座です。食べるの禁止です。そしてウッサ甘やかすの禁止です。甘やかしたら神界に撃ち込みます」
「何をっすか?」
「え? 神宮寺君。神様は精神性の強い生命体なのですよね?」
ニコリとほほ笑むと神宮寺君の顔色がさらに悪くなります。
「運命神様に情報リークを……。いえ、先日お会いした転生神様の方が良いですかね……」
神宮寺君の反応を見ると、『運命神様』と言ったところであからさまにホッとしていました。なのでもう一柱出したところ効果覿面でした。
「まーちゃん先輩……その方は、その方だけは……」
「神宮寺君、最も仲の良い先輩を敵に回す事は良くない事だと思いますよ……色々握られていることをお忘れなく」
まーちゃんスマイル! 効果抜群!!
「我が夫が黒いのじゃ」
「アレです。食べ物の恨みは怖いというやつです」
ポチ&タマ~。まーちゃんスマイル発射!
「我はあの料理食べたくないのじゃ」
「マイルズ君、苦行に他人を巻き込むのはよく無いと思うの」
私の言いたいことを察してくれて何よりですお2人。
そこでふっと横がきになりました。何時も騒がしいのに本日は大人しい獣王様を見る。
味のないけど固い植物を一生懸命噛み締めています。
そりゃお気に入りの肉料理を、目の前で食べられたらそうなりますよね。
……あ、目が血走ってます。
「あー、おいし。料理長、タレが美味しくなりましたね。見事です」
「お母様、そのお野菜は私が育てていた奴です」
「親子とは言え鉄板の上では弱肉強食です!」
ポチ、王妃様の前では素の喋り方になるのですね。びっくりです。
「まーちゃん先輩。色々限界なので帰っていいっすか?」
私は無言で席を立ち。神宮寺君の横に立ちます。
そしてそっと足に触れる。
「はう!」
足がしびれているようです。
「限界なのは正座だけなのでしたら崩していいですよ」
「……あ、はい。それだけじゃなくて……食べられないのきついっす」
結婚神様! ご降臨願いまーす。
「呼ばれて参上! そして私の分のジンギスカンをお願い!」
「呼ばれてないけど参上! まーちゃん可愛いので、ジンギスカンお願い!」
「料理長、惚けてないでお願いします。権三郎もお手伝いごーなのです」
さて、私たちの逆鱗に触れた後輩君にお仕置きの時間です。
「結婚神様、恋愛神様。事情はご理解いただけていますか?」
「ばっちり!」
「神樹は私達より格下の神だけど、儀式はしょうがないからあきらめてね!」
やはり神樹は神様でしたか、まぁそれはいいのです。
「聞いていただけますか。あれは神宮寺君が社会人3年の時の事でした、打ち合わせ先で目があった、当時46歳の相手方の課長に………」
「やーーーめーーーーてーーーー!!!」
心地よい神宮寺君の悲鳴を聞きながら過去の恋愛話をばらします。
結婚神様と恋愛神様は爆笑しながらご飯を食べていきます。
お酒もおすすめしてデザートを完食したところで、神宮寺君が拗ねてしまいましたのでお仕置きを終了しました。
翌日、獣王都の南門より神樹へと向かう事になりました。
そして獣王都の南門より我ら神樹様観光ツアー一行が出発し半日が経った時の事です。獣王都の南門を出てすぐそれには気付いては居ましたが……。
神域と呼ばれる南の森を破壊しつつ、徐々に迫る大木の姿を……。
雲を突き抜ける、その巨木は目の前の豆粒のような光と戦いながら、ジリジリと獣王都に迫っていました。
そして、十分に接近したせいなのでしょう、その2つの思念が私にも受信できてしまいました。
『まーちゃんとのお食事会に、なんで私だけいっちゃダメなの! もう、ぷんぷんなの!』
『そのサイズで行ったら迷惑だし、獣王都が滅ぶ。我慢せい!』
『いやなの! 会うの! そして撫でるの!』
……壮絶な痴話げんか? に圧倒されていると恥ずかしそうにウッサが言いました。
「父(豆粒光)の神獣と、母(雲を突き抜ける大木)の神樹です」
ウッサ。儀式とかしてる場合じゃないんじゃないのですか? あれ?
「あの状態を他人に見せるの恥ずかしいもん……」
あ、はい。ちょうどいい時間稼ぎだったんですね。でも、収まらない。と。
「神樹よ、まーちゃんに分体作ってもらえば解決なので、収まりなさい。まーちゃんを愛でる会会員として恥ずかしいです」
「神樹よ、まーちゃんは案山子とかいう【分体創造】を既に成しており、実績十分です。安心して愛でなさい。そしてパーティーよ!」
姉妹神がご降臨です。
すでに御利益のかけらもないのですが………。
『はい、お姉さま』
静まって元の場所に帰ってゆく神樹様。
ん? なかったことにして荘厳な感じで迎える気なの?
え? 無理じゃないですか? それ。
「マイルズよ。神の思し召しだ………」
すっかり諦めている獣王様に連れられて、私たちは神樹様の麓へ向かうのでした。
道中、ウッサがずっと恥ずかしがって、神宮寺君の陰に隠れていました。
えっと、何から突っ込めばいいのでしょうか。
こういう役割はマモルンの役割のはずなのですが。
マモルンは今、王都で香澄ちゃん立会いの下、体の調整中なので不在です。
ツッコミ募集と心の中でため息をつきながら、我ら神樹様観光ツアーは進んでいくのでした。
カクヨム+α
神獣は全長10m、白い毛並みの狼である。
フェンリルなどイメージしてもらえれば間違いない。
その神獣は今、朱の甲冑に身を包みながら、口には大型の日本刀を咥え、妻と相対していた。
『子供ならばあの子がおろう! なぜ人間の子に会いたいのだ!』
正論を吐く神獣。
『これだから下級神はだめなの! あのアンバランスな可愛さがわからないなんて損してるの! 魂の理解が足りないの!』
神樹そう言うと腕を振り回す。愛する旦那に怪我をさせない様に気を使いながら。
『あの子は可愛いの! でも、まーちゃんもかわいいの! 天界通信で写真見た時から面白そうな子なの! 愛でたいの!』
神獣はそれから10日間神樹を宥めていたが、そろそろ限界を迎えようとした時に獣王都から噂の幼児率いる一行が現れた。
そして【あの】結婚神と恋愛神も現れた。
神獣は妻が矛を収めて森に帰ってゆく様に安堵し、そして姉妹神にいびられる未来に絶望した。
(妻もあれで地上に体を持つ唯一の3級神なのだ。もう少し落ち着いてくれないだろうか……)
神獣のつぶやきは妻に届かない。永遠の時を過ごす神は、時折このようなこだわりを見せるのだ。
ふっと力を抜くと神獣は地上に落下を始める。そこまで漬かれていたとはつゆとも知れず、衝撃に備えようとしていたところ。妻の枝が神獣を支える。
そいて2柱はゆっくりと神域へと帰っていった。
【宣伝】
祝!「小説家になろう」で書いている「ダンジョン農家!」書籍化!
そしてあのメタキャラ「世界の声」も残留!
おめでとー!
という事でサイト違いで申し訳ございません。
よろしければこの機会に「ダンジョン農家!」読んでみませんか!?
という宣伝です。
http://ncode.syosetu.com/n1787dy/
駄猫と戯れるお話です。
編集さんからは『本にするときはバトルも少し』って言われました。
そんなにバトル少ないかな? あ、ないなw
そんな小説です。現在2章の中盤を書いてますので今なら1章まとめ読みイケます!
カクヨムの方に持ってこれればいいのですが、『持ってくるのもちょっと……』ていう作品なのです。(相談してみようかしら……)
あと、カクヨムの近況ノートの方に最近のぶっちゃけ話を書いてたりフリーダムに書いてます。もしよろしければそちらもご一読くださいw
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