第102話「神獣様と神樹の関係1」
「あの犬っころ。私たちが降臨してるのに挨拶にも来ないなんて生意気ね………」
「全くです…………。あ、里芋ください。あと卵も」
獣王家の食卓。
出張おでん屋台で腕を振るう勝さん1号。
注文を受けて給仕をするのは、神王国のカミラさんとジェイミーさんだ。
超大国の神王国の高位貴族、侯爵家の御令嬢のカミラさんですら、手と足が同時に出てしまう状況。ジェイミーさんは勝さん1号の陰に隠れている。平民の彼女では神の御前は大変辛いらしい。
勝さん1号はそっとジェイミーさんの頭をそっとなでると、『そばにいてくれるだけでいいよ』とささやきます。
「ちっ、リア充爆ぜればいいのに」
つい、正直な意見をぶっこんでしまいました。
「まーちゃんが黒い、そんなにあの男が大事なのでしょうか……」
「黒いまーちゃんも可愛い。下っ端早く写真を!」
神宮寺君は下っ端スーツを着用したまま、私の写真を撮り続けています……。
そして本来勝さん1号の動向が気になって仕方ないはずのカミラさんは、ロボットの様にかくかくな動きでおでんのお代わりを運んでいきます。
あまりに可哀そうだったので権三郎を派遣すると、あっという間にカミラさんも、勝さん1号に寄り添う女の子2号になりました。
まっ、勝さん1号……2号さんって……。
やはり自爆機能が必要ですね……。もしくは改造してやるのです!
真面目な顔をして高尚なロボットの考え事している……と見せかけて、『ごはんが食べられないと、おなかがすくじゃないか』とかいって炊飯器を抱えるようなロボットに改造してやるのです!!
「本体よ。『ロボットじゃないよ。アンドロイドだよ』とは言いたくないので抑えてもらえないだろうか………」
「態度次第なのです。もう、飴ちゃんでは無理なのです!」
激怒する私に勝さん1号はそっとお菓子を差し出す。
「! これは!!」
「羊羹パンだ」
懐かしのパンです。
道民ならばシベリアと双璧を成す羊羹スイーツなのです。
味は想像に易く、クリームパンの上部を羊羹でコーティングされていると考えてもらえれば間違いなのです。個人的にはアンパンベースが好きなのですが。
「まさか………………シベリアも…………」
にやりと笑う勝さん1号。
「うん、この2人の魂も面白い形してるね」
「派生なのかしら……不思議な二人ね」
重要そうなこと言っていますが、今はこのパンなのです!
うん。このチープな甘みが良いのです。牛乳が欲しい!
ああ、思い出します……。高校の昼休み、たまごサンドにザンギをコッペパンで挟んだボリュームと価格で一番人気のパンを争っていた時代の事を……。そう……毎回、何故か授業終了前に並んでいた、運動部に全てを奪われたあの日……。購買に残ったパンが、羊羹パンでした。懐かしの味わい……。
「そういえば、どうして神獣様いらっしゃらなかったのでしょかね………格で言えば神宮寺君より格下なのでしょう?」
そうなのです。意外と神宮寺君は偉いのでした。
4級神扱いらしいのです。
これは何かを司る神に従う神。
神様で言う中間管理職の役職だそうです。
ちなみに一般レベル神は5級神。神獣様は5級神相応らしいです。
「おとーさまは、今神樹様と色々あって………これません…………です。すみません。」
神宮寺君の隣で小さくなるウッサ。意外とあざとい……。
「なら、押しかけよう!」
「うん、押しかけよう!」
軽い。軽いですよ。恋愛神様。結婚神様。
「「じゃ! 神樹で会おう!」」
おでんに満足してマッタリした所、恋愛神様と結婚神様の御2人はそれだけ言って去っていきました。
ん? 否応なく行く流れなのですか?
カクヨム+α
「………のう、マイルズは何故普通に話せるのだ? あの神々しいオーラをものともせぬのは何故だ?」
「知らぬ。儂も英雄としての体裁を保つので精一杯じゃ。あまり話しかけるな……」
「………賢者と呼ばれて久しいけど、まだまだの様ね」
獣王様とルカス、リーリアの反応でした。これが普通です。寧ろ動けていたカミラの精神力がすごいのです。
尚、恋愛神&結婚神は地上での信仰が強いため、仮の体を作成し降臨しています。その為存在力は本来の2級神より力は遥かに小さいのですが………。
ちなみに前獣王様が立場を投げうって就いた職が、神獣の御子の護衛。
まーちゃんがおとぼけキャラ扱いしていますが、文明の中核を担う偉い神様でした。
本当だよ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます