第99.4話「チェンジで」
「異議あり!」
法の神がヴィーニャへの判決を申し渡そうとしたところで裁判所に彼の声が響いた。ヴィーニャの隣に一条の光の柱が現れ、そして光の中から神宮司が現れる。
「レベル課の主神か……たしか神宮司とかいったな」
「はいアフラ様、神宮寺と申します」
「して、何をしに現れた? 異議と申しておったがンドラのかばいたてか?」
法の神の言葉に怒りが籠る。
「いえ、ンドラなどと言う小物は好きにしていただいて構いません」
「ふむ、ではヴィーニャか?」
「はい」
驚きが巻き起こる中ヴァリアスは平然と立っていた。
これは取引だった。ヴァリアスはもはやヴィーニャなど本当に眼中になかった。
子供たちからもいない者扱いされていた女など、まさにどうでもいい。金輪際近付いてくれなければ、という条件月だが。対してンラドは別だ。この男は法を犯し、神を犯し、世界に寄生した蛆虫だ。絶望と共に永遠と苦しませなければ気が収まらない。
ンドラは一族ごと破滅させてやりたい。
救いを求める亡者が雲の糸に縋る様に希望に必死になる様子を見ながら。
その糸すら切ってやりたい。
だから、ヴァリアスは神に接触した。
ダンジョン破壊を黙認する様な神だきっと話に乗ってくれると思った。
最初にヴァリアスが持っていたカードは自宅の記録から見つけ出したンドラの犯罪記録だけだった。そこから先は憶測の領域だが確信はあった。それを暴ければ神にとっても高得点となるだろう。
対して神に頼る部分は明確に2点だ。
ンドラと妻の関係性を強く証明するためにもダンジョンコアの破壊。
ダンジョンコアを破壊されたマスターは自己保持の為共有先のマスターとのつながりを強く示す傾向がある。
今回やったように薬を飲ませるとわかりやすく不貞の証拠ともなる。
あと、間男の危機に妻が何もしないはずもない。
更にンドラほどの小物だ、小物ほど自己保身に強く走る。だから「いる」と思った。まさか大天使までいるとは考えていなかった様だが。2つ目に天界でのンドラ家包囲網だ。真の絶望は希望をひとかけらも残さない。その為には神と言う立場の強いものが必要だ。
不利な交渉になると確信しつつヴァリアスは神宮寺とマイルズに声をかける。
予想外がいくつかあった。
1つ目は神宮寺が神の組織のうち1つの組織の長であったことだ。ヴァリアスはそんな大物と知らなかった。
2つ目に得点はいらないと言われ代わりを要求された。正直ヴァリアスにはどうでも良い条件だった。
3つ目に彼の使徒と思った幼児が使徒ではなく、それ以上の化け物であったことだ。数点のダンジョン攻略風景を見て恐怖したが、ンドラのダンジョン攻略光景はダンジョンマスターとしては最悪の分類だ。だが予想以上に優秀だった。余裕をもって攻略完了するとは……ヴァリアスは予想外だった。
「ヴィーニャは異世界流しではなく天界での無料奉仕。具体的に言いますと我がレベル管理課での仕事に従事させたく。あ、こちらに2級神会議での許可状をいただております」
書状を受け取る法の神。
この裁判があるので欠席した会議でそのようなことを決められていたとは思わなかったのだ。さすがに態々2級神会議で亜神ごときの身の振り方を議題に上げるとは神にも思いつかなかた様だ。
「うむ、貴様が何をしたいのか今一理解できんが許可が出ているのであれば好きにせよ。しかし、ヴィーニャよそれでよいか? 人間レベルにまで落とされた挙句、神の仕事の手伝いなど苦痛でしかないぞ?」
静かに話を聞いていたヴィーニャがゆっくりと顔を上げると半開きになった口から答えを伝える。
「私は……」
―――後日、マイルズの部屋
「で? 振られましたか?」
「なんで振られること前提なんっすか! あの人は俺が神様になった時に色々お世話内なった人なんっす。俺を選んでくれるって信じてたっすけど……」
『私は人間に堕ちて異世界に流されます。レベル神様のご厚意確かに受け取りました。ですが、私は罪を償いたいと思います』
晴れやかな笑顔で言われた。神宮寺失恋。
「書類に決定事項って記載してもらえばよかったのに……」
「神様の職場はそんなにブラックじゃないっす。本人の意志が最優先っす」
机の上に伏して神宮寺君は涙ながらに語ります。
「先輩、いい人いないっすかね?」
「聞く限りだとタバサさんとかいい娘ぽいですが」
「あー、いい子ですけど真面目すぎますし、見習いだと他の神から幼児愛者っていわれて逮捕されちゃいます……」
「じゃあ、恋愛神様」
「……まーちゃん先輩は俺のトラウマをえぐりたいんっすね……」
ぶーたれながらこぼした神宮寺の言葉をマイルズは聞き逃さない。
「ほう『トラウマ』ですか。興味深いですね」
「げ、しまった……逃げっ……」
「残念、まーちゃんから逃げられると、いつから勘違いを……とりあえず権三郎、お酒を。この子を吐かせます。楽しい楽しい宴席ですよ神宮寺君」
「いや~~~、これしってるっす。アルコールハラスメント。略してアルハラってやつっす!!」
「違います。パワハラです」
その後とても良い笑顔のマイルズに吐くほど飲まされた神宮寺は初恋に、強引に、蹴りをつけさせられたのであった。
(5章完)
「まーちゃん先輩なにかってにナレーション当ててるんっすか!!! いや~美味しい♪ でもこれ日本酒の出汁割だ! 酒豪の風馬先輩を1時間で潰した悪魔の呑み方だ!!!!」
「はい、一献。ん? 学生ノリがいいですか? しょうがないですね……。……はい、神宮寺君の~ちょっといいとこ見てみたい! ……………はぁ、めんどくさいですね。早く呑め…………」
「やるならちゃんとして~~~~~、最後はパワハラなんて最悪だ~~~~」
神宮寺声は天界までこだましたという。合掌。
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さて、ご要望がありましたのでレベル別の強さ表になります。
《人間》
一般人:5~10
精強な兵士:30以上
歴戦の強者:60以上
英雄の領域:250以上
《竜族》
一般:80以上
兵隊:150以上
英傑:300以上
《魔族》
一般人:5~20
軍属:50以上
軍エリート:100以上
幹部:150以上
王:200以上
《獣人》※強力ですが数が少ない種族です
寿命200年まで落とした一般人:20~40
寿命200年まで落とした軍属:50以上
軍エリート:150以上
幹部:200以上
王:250以上(成人した王族はこの領域)
《亜神》※運用手腕(事務)なので存在の力としてのレベル基準
見習い:150~
新人:200~
ベテラン(複数管理):250~
高位:300以上
《1章》
近代兵器武装兵:18~20
マイルズ家族(成人):500~※ミホだけ120
権三郎:300
案山子:100
門番(5年目):31
《2章》
変態王子(封印状態):200以上
勝さん1号(試運転中):300※マイルズ製案山子の基本スペック
オルヒマ(モヒカン、封印状態):54
ワグナート(スキンヘッド、封印状態):55
【節制】ユリアナ(偽装状態):43
【正義】ドゥガ:92 ※あがめる神からの恩恵がなくなりレベル上昇停止
【希望】ディニオ:128 ※偽装してのレベルアップ儀式参加で上昇
バリナース:268
騎士:平均60
退役兵およびベテラン門番:平均65
白竜(聖竜):236 ※結界による効果により-100程度の力
《3章》
勝さん1号:300
衛君:1
香澄:1→92
ミル(王様):52
ズアル(料理王子):12
ディート(教授):10
学生:平均8
パパル(たまごサンド普及委員会4号):80
ブブルイ(ツンデレ騎士):25
チャルミア(優柔不断の上司):22
ソミル(動物ハンター):12
盗賊:平均20
白龍:1200
タウ:152
マリブ:26 ※外交官志望の一般人
《4章》※教国はレベルによる肉体強化がない代わりに異世界魔法が普及しています
マイルズ:1
魔王ちゃん(アイドルモード):666
ヒューゴ:351
いかがでしたでしょうか?
「レベル差が絶対では無いという事を教えてあげよう」
と言うようにレベル差があってもやられます。
例)友好的だと思って油断したマリブさん(26)が油断して近代兵器武装兵(18~20)に敗れる。
ちなみに5章時点のは秘密です。
いずれまた♪
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