新·視覚探偵日暮旅人

テツ_Tetsu

第1話 日常であるもの

登場人物 #日暮旅人 #山川陽子

[日暮旅人]

 その特別な力のことを、私もすぐに信じることが出来たわけではない。今でも戸惑う事もある。でも本当のことだ。五感の内の四つ、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を失ったまま、視覚だけを頼りに探偵をしている、日暮旅人という人がいる。その『目』で、人の心まで見えてしまうというそんな不思議な人がいる。

私はまだこのころ、これだけしか知らなかった。

今思うとなんで知ったのかすら分からない。

知りたくなかった。


日常 それは人によって違う。私の日常は朝早くにおき、着替えて幼稚園に行くこと。そして小さい子と遊ぶこと。十分充実していた。よし切り替えていこー!!

今日もしっかりとした挨拶を心がけて『おはよう!』と声をかける。そしたら返してくれるんだよなー。あーたまらん。これが好きで私はこの仕事をやっているのかもしれない。このような感じで今日も私は日常をこなしていった。


今は9:30。私はピアノを弾きながら、自分のクラスの子どもたちと歌を歌っていた。みんな精一杯声を出しているので、私もそれに答えるようにピアノを強く弾く。私はこの幼稚園を卒園しているため、この歌を知っているし、大好きである。そんなことを思いながら時計を確認したり、演奏をミスしてしまわないように手元を見て、

「やまかわようこ」と書いた名札が目に入るのだった。そんなこんなで今日の午前は終わった。

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