第58話 こんてすと 4
時間は流れ、コンテストは順調に進んでいく。
円滑な運営の取り組みに、マーゲイの適応性、PPPの五人の判断力が光り、次々に参加者の審査を終えていく。気付けば、一時間もしない内に参加者の半数程を捌き切っていた。
「いやー、良いペースだわ。これで半分くらいかしら……?」
「マーゲイ、あなた疲れないの?」
審査員席からプリンセスが口を挿んだ。
その質問は当然のものである。既にマーゲイはフェスティバルの全演目で司会兼進行を務めており、今現在もこの気勢を維持し続けている。
「いやいや、疲れてなんていられないわ!! こんなに多くのフレンズ、特に可愛い女の子が沢山来てくれているのだから!!」
「なんだか、理由が歪んでる気がするけど……、そのやる気だけは本物みたいね……」
「PPPの皆さんは疲れたら遠慮なく言ってくださいね。多少の休憩を挟みますので」
「問題無いわ。それに、既に休憩してる子も居るしね……」
プリンセスの視線の先には、青のジャパリまんを頬張るフルルの姿があった。
「えっ!? いつの間に食ってたんだよー!!」
隣席に座るイワビーが一驚し、声を上げた。
「ブルーハワイ味、おいひいよ?」
もぐもぐと口を動かし、当然の様に居座るフルルの姿にコウテイとジェーンが一笑する。
「まぁ、フルルらしいな」
「そうですね。マーゲイさん、そのまま続けましょうか」
「こんな感じよ」
プリンセスは諦め半分、呆れた様子で状況を見せた。
「了解したわ! ではでは、次に参りましょう!! エントリナンバー6。唯一無二の鮮色にて、絶対無敵の赤色を持つフレンズ――ショウジョウトキ!!」
その名を聞いてオオカミは驚愕の表情を隠し切れずにいた。そして、思わず声をもらす。
「なっ!?」
壇上に立つその形容。慣れ親しんだ赤を見る。そして、ショウジョウトキがステージ中央へと歩き進み、くるりと回って静止した。
「(ドヤァ)」
自信有り気なその表情は、いつものショウジョウトキの姿であった。
再び邂逅するその面持ちに、オオカミは安堵得て、静かな笑顔を浮かべていた。
「……っふ」
「またまた知り合いみたいだねー」
「これもまたちょっとした奇縁でね。アライさんの時と同じなのよ」
「あー、えーっと、夢のやつだっけー?」
「うん」
フェネックはアライさんの
「ショウジョウトキ、こんばんは!!」
「こんばんは」
「ショウジョウトキと言えば、この赤色よね」
「そうですね。“ショウジョウトキは赤くて綺麗!(ドヤァ)”この言葉だけ覚えて帰ってくれればいいですよ」
「また言ってる……。確かに綺麗だけども……」
認めざるを得ない綺麗な赤。そこに加わるあのドヤ顔に、オオカミは思わずため息をつく。自重のない自画自賛。だが、その自信こそがきっと彼女にとっての最大の長所であり、美へのモチベーションに繋がっているのだろう。それは彼女にとっての行動源であり、法則の様なもの。自分は美しい→美を磨く→美しさを再確認→∞。これ程シンプルな思考回路で、彼女の行動は決まってしまう。この様な単純性は、高度な思考を持ち合わせる者にとっては
「凄い自信だわ。だけど、発言に引けを取らないこの美しい赤……、本当に綺麗ね」
「勿論です。日々、進化しているんです(ドヤァ)」
「聞くまでもないけど、衣装を選んだ理由は……?」
「並べられた衣装の中で、
「やっぱり……。とてもシンプルな解答だったけど、そういうのって大事よね。私も、“好き”を理由に、何かに向かって行動出来る様になりたいわ……」
「マーゲイ、あなたなら出来ますよ。今だってその情熱を胸に行動してるではないですか。ショウジョウトキの様に突き進むのです!!(ドヤァ)」
「あ、ありがとう。頑張ってみるわ!!」
ショウジョウトキとマーゲイが熱い友情で結ばれた所で、PPPの審査が終わり、プリンセスが合図を送った。ショウジョウトキは会場にインパクトを与えて去って行く。元より目立つフレンズであったが、キャラの個性の強さも審査中の数分で証明された
「えーっと、次に参ります!! エントリナンバー7、キラキラ系カリスマ、ロスっちこと、ロスチャイルドキリン!!」
「ロスっちー。頑張れー!」
アミメキリンが親友に向けて声援を送る。
しかし、声の大きさはいつもと変わらず、会場の歓声に揉み消されていた。
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