第49話 りかおん

 ごった返した集団の中で、一番近くに居るフレンズにアライさんとフェネックは近付き、声を掛ける。


「コンテストはここなのか?」

「どもどもー」

「む……。こんにちは。お二人は?」

「アライさんなのだ」

「フェネックだよー」

「アライさんにフェネックさん。私はリカオンです。コンテスト、もうすぐ始まるそうですよ」


 ネコ目イヌ科リカオン属のリカオン。

 体色は黒、オレンジ、白、灰などの色合いで、体毛が硬く短い。模様が不規則で単色の個体も存在する。共通項としては、鼻から目にかけ黒の体毛で覆われている点や、尾の先端が白い点などが挙げられる。生息地により体毛の生え方なども異なる。


 リカオンの外見的特徴で目立つのは、大きな耳である。他のイヌ属と比べても大きく、なお丸みを帯びている為、とても印象的。


 属名はLycaon、種小名がpictus、これは「彩色されたオオカミ」を意味し、生態でもオオカミとの共通点が見られる。


 リカオンもオオカミ同様に、群れでの連携が上手く、組織的且つ効率的に狩りを行う。仲間意識が強く、群れでの社会性やコミュニケーションを取る点はオオカミと特に似ている点と言える。


 スピードも早く、組織力とチームワークに長けたリカオンの群れは狩りが非常に上手い。加えて、スナミナがあり、持久戦を得意としている為、執拗に追い掛け回し、獲物をつつく様に噛み付き仕留めていく。狩りの成功率はサバンナ一と言われるほどである。正しく「ハンター」といった所だ。


 性格は真面目で責任感が強い。誰かに信頼される事に喜びを感じている様で、口調も硬めのものである。


 外見は元動物の色合いで白に黒の斑点模様。半袖シャツとホットパンツ、アンダーウェアとタイツを着用。尻尾と特徴的な耳も健在である。髪型はショートで、側面の毛が跳ねている。瞳は黒色である。


「アライさんも出るのだ!!」

「おおー。私はオオカミさんに呼ばれて来たのですが……。どうやら、本人は居ない様ですね……」

「オオカミも来るのか?」

「知り合いでしたか。そう、聞いたのですが……」

「んー? アライさん、知り合いだったっけー?」

「だから、前に言ったのだ!! 夢の話で」

「あれ本当だったのかー。寝言だと思っていたよー」

「ひどいのだ……」

「アライさん、コンテストに参加されるなら、事前に準備しなければならないらしいですよ。詳しい話は知りませんが……」

「うん。分かったのだ!!」


 リカオンの情報を耳にし、考え無しにステージの裏側へと突っ込んでいくアライさん。見かねたフェネックが溜め息を一つ溢し、一言。


「ちょっと心配だから見てくるよー。リカオン、また後でー」

「ん? はい。了解です」


 アライさんがステージ裏側へと辿り着いた。すると、そこには白い布で遮られた更衣室の様なものが二つ、三つと配置されている。中には幾人のフレンズの気配がある。そこは参加者の準備室兼、更衣室といったものだ。それに近付いていくアライさん。すると、一人のフレンズが近付き、声を掛けてきた。


「登録は済ませてありますか?(ドヤァ)」

「お、おまえ……!?」

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