第29話 ゆめりあん 4
三人の後ろには、気付かぬうちに紛れ込んだ一人のフレンズが、当然の様に同伴していた。アライさんと二人は声の方へと振り返る。
「いつから居たのだ……?」
顔をしかめながらアライさんがフレンズに問う。
「途中から居ました。皆が全然気付かないものだから、声を掛けたのですよ!」
「私の後ろに居たんですかぁ~……。全く気付きませんでした~」
「凄いステルスぶりだわ」
「どうしてお前が居るのだ……」
「(ドヤァ)」
ドヤ顔を浮かべるこのフレンズ。
ペリカン目トキ科シロトキ属に分類するショウジョウトキである。
性格は、自分の鮮明な色をしきりに宣伝する程のナルシストではあるが、これは彼女の利点とも言える。美しさに妥協をしない面を持ち、日々、自身の赤を磨いているのだ。そして、自身の容姿に絶対的な自信を持っている事から常日頃から、やたらと“ドヤ顔”をする。
歌が得意と自負しているが、実際の所かなりのヒドサであり、歌を聴かされたフレンズの耳に多少のダメージを与えている。加えて、セルリアンに対しては音響兵器へ化す為、相手を引き付ける事が可能となる。
外見は自身が自慢した通り、体色は鮮やかな
因みに、同科であるトキとは仲が良く親友にあたる。
アライさん、フェネックとは既に顔見知りであり、何度か共に行動をした事がある間柄なのだ。
「このショウジョウトキが来たからにはもう安心です。皆さんを元の世界に戻してあげますよ(ドヤァ)」
「おぉ~! 頼りになりますー」
「そのフェイスは紛れもなく、ジャスティスだわ!」
「まためんどくさいのが……、ん? 今、何て言ったのだ?」
「このショウジョウトキが……」
「その後なのだ!」
「皆さんを元の世界に戻してあげますよ(ドヤァ)」
アライさんは
「それなのだっ! ドヤ顔はさておき、それはどういう意味なのだ?」
「この現象ですよ。“覚めない夢”というわけです。つまり、皆さん揃って迷いけものになってしまったわけですね」
「迷いけもの……、なんだか幽霊みたいです……」
「ゴーストってわけね!」
二人の反応はスルーして、アライさんはショウジョウトキに問い詰める。
「どういうことなのだ?」
「実際に、この様な状況になったのは初めてです。困りました(ドヤァ)しかし、噂を耳にしといて良かったです」
「その情報は当てになるのですかぁ……?」
「勿論です。私の友達の友達の友達の友達が聞いた信頼できる情報です」
「……怪しいのだ」
「大丈夫です。ショウジョウトキはいざという時、頼りになるフレンズですから(ドヤァ)」
「その顔がますます不安にさせるのだぁ~!」
「しかし、アライさん。今はショウジョウトキの情報を頼りにするしかないわ。それ以外に道がないのだから」
「わ、分かっているのだ……」
ショウジョウトキの情報に信憑性があろうとなかろうと、現段階からマイナスになる状況は生まれづらい。だとすれば、
アライさんは疑念を抱きつつも、ショウジョウトキの情報に耳を貸す。
「そして、この覚めない夢を終わらせるには、あれです!」
ショウジョウトキが指差したのは、目的の標的、大型セルリアンであった。皆がそれをじっと見詰めた。
「あの、ユメリアンを倒さなければなりません!!(ドヤァ)」
「「「ゆめりあん?」」」
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