第29話 ゆめりあん 4

 三人の後ろには、気付かぬうちに紛れ込んだ一人のフレンズが、当然の様に同伴していた。アライさんと二人は声の方へと振り返る。


「いつから居たのだ……?」


 顔をしかめながらアライさんがフレンズに問う。


「途中から居ました。皆が全然気付かないものだから、声を掛けたのですよ!」

「私の後ろに居たんですかぁ~……。全く気付きませんでした~」

「凄いステルスぶりだわ」

「どうしてお前が居るのだ……」

「(ドヤァ)」


 ドヤ顔を浮かべるこのフレンズ。

 ペリカン目トキ科シロトキ属に分類するショウジョウトキである。

 

 性格は、自分の鮮明な色をしきりに宣伝する程のナルシストではあるが、これは彼女の利点とも言える。美しさに妥協をしない面を持ち、日々、自身の赤を磨いているのだ。そして、自身の容姿に絶対的な自信を持っている事から常日頃から、やたらと“ドヤ顔”をする。


 歌が得意と自負しているが、実際の所かなりのヒドサであり、歌を聴かされたフレンズの耳に多少のダメージを与えている。加えて、セルリアンに対しては音響兵器へ化す為、相手を引き付ける事が可能となる。


 外見は自身が自慢した通り、体色は鮮やかな朱赤色しゅせきしょくで非常に目立つ。フレンズ化後も正統に色を受け継ぎ、長く伸びたもみあげの黒褐色こっかっしょくの一部を除き、全体的に赤いのでこれまた目立つ。フリルが付いた長袖服にピンク色のミニスカート。首回りにはファーを付属し、タイツを履いている。瞳の色は黒で、体の殆どがこれ等、三色で構成されているのだ。


 因みに、同科であるトキとは仲が良く親友にあたる。


 アライさん、フェネックとは既に顔見知りであり、何度か共に行動をした事がある間柄なのだ。


「このショウジョウトキが来たからにはもう安心です。皆さんを元の世界に戻してあげますよ(ドヤァ)」

「おぉ~! 頼りになりますー」

「そのフェイスは紛れもなく、ジャスティスだわ!」

「まためんどくさいのが……、ん? 今、何て言ったのだ?」

「このショウジョウトキが……」

「その後なのだ!」

「皆さんを元の世界に戻してあげますよ(ドヤァ)」


 アライさんは間髪かんはつ入れずに答えた。


「それなのだっ! ドヤ顔はさておき、それはどういう意味なのだ?」

「この現象ですよ。“覚めない夢”というわけです。つまり、皆さん揃って迷いけものになってしまったわけですね」

「迷いけもの……、なんだか幽霊みたいです……」

「ゴーストってわけね!」


 二人の反応はスルーして、アライさんはショウジョウトキに問い詰める。


「どういうことなのだ?」

「実際に、この様な状況になったのは初めてです。困りました(ドヤァ)しかし、噂を耳にしといて良かったです」

「その情報は当てになるのですかぁ……?」

「勿論です。私の友達の友達の友達の友達が聞いた信頼できる情報です」

「……怪しいのだ」

「大丈夫です。ショウジョウトキはいざという時、頼りになるフレンズですから(ドヤァ)」

「その顔がますます不安にさせるのだぁ~!」

「しかし、アライさん。今はショウジョウトキの情報を頼りにするしかないわ。それ以外に道がないのだから」

「わ、分かっているのだ……」


 ショウジョウトキの情報に信憑性があろうとなかろうと、現段階からマイナスになる状況は生まれづらい。だとすれば、わらにもすがる思いで事前にそれを聞き出す方が何かの役に立つかもしれない。仮にもそれが事実であるなら、棚から牡丹餅ぼたもちという訳だ。


 アライさんは疑念を抱きつつも、ショウジョウトキの情報に耳を貸す。


「そして、この覚めない夢を終わらせるには、あれです!」


 ショウジョウトキが指差したのは、目的の標的、大型セルリアンであった。皆がそれをじっと見詰めた。


「あの、ユメリアンを倒さなければなりません!!(ドヤァ)」

「「「ゆめりあん?」」」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます