第24話 さばくちほー

 しばらく歩くとさばくちほー上部に到達していた。

 スナネコの先導により中央部から上部へと真っ直ぐに進む事ができ、最短で目的地間近まで着く事に成功。しかし、風景は代わり映えしない見慣れた砂一色の世界。慣れない二人にとっては、精神的に辛いものがあった。


「スナネコ……、まだ着かないのか?」

「もう少しです」

「そればっかりなのだ……、アライさんには変化が分からないのだ……」

「残念ながら、私にも分からないよー」

「そうですね。あそこに突出した岩がありますよね? あれが“もう少し”の目印です」

「「んーー……?」」


 二人がスナネコの指差す方向へと目を凝らすと、そこには小さな岩が微かに見える。


「あんなの分からないのだっ!!」

「さばくちほーのみんなはー、あんな小さな目印を頼りに生活をしているのー?」

「はい。ですが、砂嵐によってああいう目印を消失するのが日常茶飯事です。ですから、定期的に目印を見付けては、それを頼りに住処やオアシスへと向かうのです」


 風景の変化が少ない砂漠では、目的地までの道のりが他のちほーに比べても非常に困難である事は多くの生物が熟知している。そして、砂漠で迷子になる事は命の危機に繋がる事もまた明白である。それ等の危機におちいらない為にも、さばくちほーを住処にするフレンズはこの様な“小さな知恵”を働かせ、日々の安寧あんねいな暮らしを手にしているのだ。

 

「なるほどねー。勉強になるよー」


 周りの環境の違いによって生まれる、生活の知恵を聞かされ深く納得するフェネック。その一方で、今にも倒れそうな疲れ果てた様子のアライさん。そんな様子にスナネコも思わず気を使い、励ましの言葉を送る。


「途中には小さなオアシスがあるので、そこへ寄ってから夜を過ごしましょう。穴倉にはジャパリまんもありますよ」

「おおー、またまた食事付きだねー。アライさんー」

「うん……。もう少しなのだ……」


 ボロボロのアライさんを連れて一行は更に上部へと移動を続ける。


*


 オアシス・ワン。

 そこには激戦を終えて生還した二人の槍使いと、戦いの結果を待つ一人、それに合流した更に一人がその場で話し合っていた。


「ねむねむ……。無事で良かったよー。長いから思わず寝てしまうところだったよー」

「心配してるんじゃないのっ!?」

「フタコブラクダらしいな」

「たしかにねっ! あはは」

「あはははは」


 緊急事態でも揺るがないフタコブラクダの態度に思わず笑みを浮かべた一同。

 そこにはウシ目ラクダ科ラクダ属のヒトコブラクダの姿もあった。

 元々、フタコブラクダは姉であるヒトコブラクダと待ち合わせでオアシス・ワンへと向かっていたのだ。その道中で倒れたアライさんと心配するフェネックと偶然出くわし、結果として手助けをしたという形になった。


「こうしてお姉ちゃんとも無事に合流出来たし、心配ごとが一つ減ったから良い一日になったよー」

「フタコブラクダちゃんから話は聞いたよー。ラビラビちゃんもルルちゃんも本当にありがとう。さばくちほーのみんなが二人に感謝してるよぉー」

「当然さ。今回ばかりは協力な助っ人が居たんだよ」

「あれー、そういえば、アライさんとフェネックちゃんはー?」

「そうそう! 戦いの後、あっちでスナネコと会って、スナネコの穴倉で夜を過ごすってさ。目的地へ向かったみたい。アライさんとフェネックがフタコブラクダに『ありがとう』って言ってたよ!」

「えへへー……。どういたしまして」

「またさばくちほーに来るって約束してくれたからねっ!」

「楽しみだねー」

「フタコブラクダちゃんに新しい友達が出来たみたいね。私も会ってみたいなぁー」

「うん。また、きっと会えるさ。二人の冒険談を楽しみに待っていよう」


 その後、一同のオアシス・ワンでの談笑は冷え込む夜遅くまで尽きることはなかった。

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