第21話 けもゆうそうきしだん

「さー、行くよー」

「アライさんに、おまかせなのだ……」


 乗り気ではないアライさん。

 セルリアンが二人に向かって突進してくる。二人は視線を合わせ一つ頷くと、同時に斜めに向かって走り始めた。すると、それを見てセルリアン達が二分し追走してくる。


「別れたね。ラビラビ、行くよっ!」

「うん!」


 攻撃力の低い二人がセルリアン軍を二分し、先行して囮となり逃げる。それを後方から追撃を得意とする二人に追わせて数を減少させ、その後、総力戦にて叩く。


 フェネックの考えはこんな所である。

 橋での戦闘の経験から一つ。

 丸型セルリアンの弱点は後方部分にあると推測。それを露わにする為には予め、相手の後姿を仲間に視認させる形を取れば良い。そして、好都合にも足の速い追撃に特化したフレンズが二人もいたのだ。


 そして、もう一つ。

 それはラビラビが述べた一説。

 “本能的に攻撃してしまう何か”。それは博士達曰くの“輝き”である。それを欲しているのであれば、目の前のフレンズ達を必ず追ってくるはずだと。


 そして、その予測は見事に的中した。


「ぎゃあああああああ。アライさんはおいしくないのだああああああ!!!!」


 右往左往するアライさんに群がり追掛けるセルリアン達。隊列を組む程の知性はとぼしく、無秩序に獲物に向かっていた。個体差があるのか、中には少し遅いセルリアンも存在し、二分した情勢から更にバラけていく。


 その敵軍の尾を掴む様にラビラビとルルが双方の群れの一体に刺突しとつした。


「はああああ!!!!」

「やぁーーーー!!!!」


 砂上に綺麗な光が飛び散る。フェネックの読み通り、小型セルリアンの石は背後に存在し、一突きで容易く倒す事が出来た。


 続く様に次々と獲物を追うセルリアン達を後方から粉砕していく。


 その槍術は野生で磨かれた天性のすべ

 穿うがつ一槍は空を貫き、まるで天をもく二角の如く。


 一方は跳躍と速度を活かした縦横無尽のトムソン兵法。


 これぞ、ジャパリパークを代表する戦闘グループ。

 けも勇槍騎士団の戦いざまであった。


 二人の追撃により気付けば数は半分にまで減少していた。


「はぁ……はぁ……、きついのだあああああ」

「もう少しだよ、アライさん! やああああ!!」


 アライさんの後方から追撃するラビラビが徐々に先頭に近付いている。即ち、セルリアンの殲滅が目前である証拠だ。


「フェネック!! もうちょっとだぞっ!!」

「これは……、なかなか辛いよねー……」


 必死に走り続けた二人が膨らむ様に逃走を続け、合流し掛けていた。

 お互いの群れの数、後方を視認すると、最初に比べて半分以上削られており、今も尚、セルリアンは倒されている。


 そして、先頭二人が合流すると、セルリアンの追う対象が更に増え、バラバラに広がっていく。


 つまり、総力戦が開始されたのだ。

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