第20話 たたかい

 中心部は“例の異変”によって生じた、火成岩かせいがんの一部がそこかしこに点在していた。元々、海底火山の活動によって生まれた新しい島を使い設立されたパークである為、それらの不祥事が起きることは不思議な事ではなかったのかもしれない。自然災害は予期したところで、無くす事は出来ないのだ。


 そして、災害によって受けた影響は多大なものだった。アトラクションの停止、パーク内一部の損害など数え始めたら切りがない。それでもフレンズ達はこのパークにて生存し、今も尚、活動を続けているのだ。


 そう、今現在も。

 戦場はさばんなちほーの中心部。

 

 群れを成す様に固まる小さなセルリアン軍。

 

 それを迎え撃つはさばんなちほーの護り手、勇槍ゆうそうの名手ラビラビとお転婆槍使いのルル。歩けば嵐、アクシデントの申し子アライさんとやる時はやるジト目属性のフェネックのアライさん軍。


 両軍の士気は高まる。セルリアン軍が近付くと、いよいよ幕が切って落とされるのであった。


「で、アライさんさー。作戦はー?」

「勿論、ないのだ! 突っ込んで戦うのみなのだ!」

「それじゃあ、ヘラジカと一緒だよ。ヘラジカはパワーがあるから良いんだろうけど」

「アライさんにはパワーはないからねー」

「フェネック~! 何か考えるのだ~。近付いてくるのだ……」


 セルリアンは至極当然、正面から突っ込んでくる。以前戦った橋に居たセルリアンと比べると二回り程小さい丸型の形態をしている。しかし、その分、移動速度が増している。

 

フェネックは先程のラビラビとの会話と、橋での戦いを活かし、一案を皆にとうじた。


「ってなわけだよー。どうかなー?」

「うん。良い作戦だと思う。ルルはどう思う?」

「ラビラビに同意だねっ! 私達の特性を活かせる作戦ってわけだねっ!」

「そういうことになるねー、アライさんはどうかなー?」

「それしかないなら……、やるしかないのだ……」


 あからさまな嫌悪けんおな表情を浮かべつつもアライさんもフェネックの作戦に協力の意を述べた。


 後方の火成岩に四人が身を隠すと、作戦が開始される。突っ込んでくるセルリアン軍を前に、岩からアライさんとフェネックが飛び出す。


 想像した以上の数のセルリアンに冷や汗をかく二人。


「フェネック……これ……多いのだ……」

「アライさん……それ遺言かなー……? あははー、頼むよー……」


 ビビるアライさんとフェネックの後方で身を隠すラビラビとルル。


「さばくちほーを護らなきゃね! ラビラビ!」

「うん。今度も必ず勝ってみせるさ」


 そして、さばくちほーでの戦端せんたんを開かれる。

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