第17話 おあしす・わん

「その表情を見ると、どうやら因縁があるようだね。ま、フレンズであれば当然かな?」

「道中、戦ってきたばっかりなのだ……」

「アライさんは応援してただけだけどねー」

「なるほど。それは災難だったね。私達もこのアオシス・ワンを守護するために、こうして武器を持っているんだ。バリケードもそのためのものなのさ」

「なるほどー。つまり、ラビラビ以外にも協力者が居るんだね」

「もちろん。ルルを始め、さばくちほーの仲間が協力してくれるよ。このオアシス・ワンを失うことは砂漠に住むみんなにとって最悪そのものなんだ。いざとなれば、きっとフタコブラクダだって戦ってくれるさ」


 ラビラビの言う“ルル”とは、クジラ偶蹄目ウシ科ガゼル属のトムソンガゼルである。跳躍力、持久力にひいでており、特に走るスピードがジャパリパーク内でも1から数える程に速い事で有名。動物時代は草原に好み生息していたが、フレンズ化後はさばんな、さばく、へいげんちほー等をうろちょろしている。ラビラビとは一番仲が良く、現在はさばくちほーに拠点を置いている。


 性格は元気っ子であり、すぐに突っ走る為にドジを踏む事が多い。この点はアライさんと良く似た属性を持つ。


 外見は白いシャツとミニスカートに、元動物の色合いである淡褐色、白色、黒褐色の三色で彩られた髪色と重ね着したノースリーブセーター。短いネクタイを締め、ラビラビ同様に角は黒褐色の触覚へと変化している。


「んー……、ねむねむ……」


 気持ち良さそうに笑みを浮かべるフタコブラクダの寝顔から戦いの二文字は連想出来なかった。しかし、それ程までにこのオアシス・ワンが皆に守護される大切な場所だと二人にも理解出来たのだ。


「私はフェネックだよー。こっちはアライさん、改めてよろしくー」

「よろしくなのだ!」


 アライさんが手を出すと、ラビラビもそれに答えて挨拶の握手を交わした。


「こんな挨拶の方法は初めてだよ」

「良い手をしているのだ。ラビラビは間違いなく良いフレンズなのだ!」

「アライさん、手には自信があるみたいだからねー」

「あはは。褒めてくれて嬉しいな。お礼にこのナツメヤシをあげるよ」

「わーい!」


 ラビラビがふところから出した物はナツメヤシの果実、即ちデーツである。砂漠で暮らすフレンズ達にとって、ジャパリまんに変わる栄養源の一つである。


 フタコブラクダが一番にそのデーツを取り、口に運んだ。


「もぐもぐ」

「これは……、ホントに美味しいのか?」

「ぶにぶにした感じだねー」


 初見の二人は思わず躊躇ためらう。ラビラビが目の前でそれを一つ口に入れると、“どうぞ”と更に手を前に出した。ラビラビの手中からそれを摘まむと、二人は渋りながらその実をゆっくりと口に運んだ。


「「もぐもぐ」」


 味を確かめながら、慎重に食べ進める。


「うーん……? おいしいねー」

「美味しいのだ!」


 食通ではない二人が久しく味わわなかった新しい味。不思議な感覚に思わず顔を見合わせる。


 同時に、自称食通の二人が何処かで一つくしゃみを出した。


*


「「くしゅん!」」


「どうしたのですか、助手」

「博士こそ」

「調査に戻るとするのです」

「そうですね」


 コノハ博士は、まだ別れて間もない二人の事をしのぶ。


「きっと今頃、二人はさばくちほーの上部に居るに違いないのです」

「間違えないのです。われわれも調査を終えて、ジャパリ図書館に直行するとしましょう」

「そうですね、助手」

「新しいフレンズ、楽しみですね、博士」


 まだ見ぬ期待に思いを乗せて、互いに今は目の前の行動を続けるのだ。

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