第16話 おあしす 3

 そこに居たのはこのさばくちほーを拠点にしているフレンズの一人、クジラ偶蹄目ぐうていもくウシ科オリックス属のアラビアオリックスであった。多くのフレンズ達に“ラビラビ”と呼ばれている。


 全身の毛衣は白。これは熱を吸収しづらくする役割と云われ、顔の部分部分に暗褐色あんかっしょくの模様が入る。直線的な二本角が特徴で、一説では二本角ではあるがユニコーンのモデルと云われる程、スマートで美しい獣である。普段は群れを作り生活をしており、団結力が高く、連携が巧みである。その為、仲間を守る意識から自分より屈強な相手であっても引くことなく戦う勇敢さを持つ。


 外見は元の特徴である色合いを再現しており、全体が白、襟だけが黒いシャツに白のミニスカート、縞々の細いネクタイを締め、手足に黒のアンダーウェアを着用している。立派な角は触覚へと変化。手にはホーンの武器を持ち、まるで騎士の様な佇まいのクールさとどこか親しみやすさを兼ね備えていた。面倒見の良い性格をしている。


「ほ、本当か?」

「私のことはラビラビって呼んでね。みんな、そう呼ぶんだ」

「わ、分かったのだ。それよりも……」

「見たのは……、随分と前だったけど、あれはしんりんちほーの更に奥の方だったよ」

「博士と同じなのだ」

「間違いなさそうだねー」

「方向的にはあっちだね」


 ラビラビは以前サンドスターが吹き出した方向を記憶を頼りに指差してみせた。


「二人はそこに向かっているの? フタコブラクダは……、恐らく違うよね」

「ねむねむ……」


 ラビラビとフタコブラクダは同じさばくちほーを拠点に生活している為、既に面識がある。オアシス・ワンでも何度か顔を合わせている間柄なのだ。


「ね、寝てる……」


 常に余裕さと眠さを合わせた表情をしているフェネックが静かに驚く。会話の合間のものの一瞬でフタコブラクダは眠りについていたのである。


「あはは。フタコブラクダは隙を見せれば寝てしまうからね。おーい」


 ラビラビが茶色の体を揺さぶる。


「んー? あ、ラビラビ。おはよー」

「おはよう。フタコブラクダは今日も水を飲みに来たのかい?」

「んー、うん。そうだよー」

「その道中で倒れていたアライさんをここまで運んでくれたんだよー」


 フェネックが付け加える様にして状況を説明した。


「助けてもらったのだ」

「良い事をしたね。その自慢の体が役に立ったんじゃない?」

「そんなことより、水だよー。ごくごく……」


 助けた事にあまり自覚を持っていないフタコブラクダは再び水を体内に流し込んでいた。


「ま、らしいか。どうやら無意識のようだね」

「な、なるほどー……。それでも助けてもらったことには変わらないよねー、ね、アライさん」

「うむ」

「砂漠は険しい。オアシス・ワンで存分に休憩していくといいよ」

「助かるのだ」

「軌道修正と言っていたけど、どこまで進む予定なのかな?」

「さばくちほーの中央部まで行く予定なのだ」

「それは困ったな。中央部には未だにセルリアンが散在さんざいしているんだ」

「せ、セルリアン!?」


 アライさんは思わず苦悶の面差しをみせる。それは以前の苦労が蘇り、無意識に出た表情であったのだ。

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