第12話 うんめい
「何を張り切ってるのさー……?」
目を擦る様にしてフェネックが問う。
「いや、なんでもないのだ……」
「?」
アライさんの適当なあしらいに対して、フェネックは特に追究する事はしなかった。それは眠気からなるめんどくささと、アライさんへの信頼からなるものである。
フェネックは無表情寄りの疑問を持った様子を浮かべた。
「あれー、そう言えば助手は?」
すると、質問と同タイミングで一階からミミちゃん助手が現れた。
「朝ジャパリまん、お待たせなのです」
配達のフクロウが一仕事終えると、皆に朝食を配り、共に腹ごしらえする。
「むしゃむしゃ」
「もしゃもしゃ」
一同が食事を終えると、ミミちゃん助手は昨晩同様に地図を広げて、次の地点を差す。
「まずは、このルートを通って、さばくちほーを目指すと良いのですよ」
現地点からさばくちほーへと真っ直ぐ地図上で指をなぞる。
「日没前には着けると思うのだ」
「そうですね。そこまでの距離はないと思います。われわれはその途中までお送りするのです」
「何から何まで悪いねぇー」
「構わないのです。それよりも、新しいフレンズが自分を知らなかった場合、ジャパリ図書館に来ると良いのです。寧ろ来い、なのです!」
「です。われわれはそちらに多大な興味を示しているのですよ!」
「な、なるほどー」
最初からコノハ博士とミミちゃん助手はそちらの興味に満ちていた。手助けのリターンを期待するなら、この事柄である。
「りょうかいだよー、ね、アライさん」
「当然なのだ」
研究所を後にすると、多くのフレンズ達が遠方で活動しているのが分かる。フレンズ達の社会も日中活動の割合が多いのは至極当然と言えるのだ。
「アライさん、あなたは運命と言う言葉は知っているですか?」
唐突にコノハ博士が問う。
「うん……めい? 当然、知らないのだ」
「やはり、手洗いけものですよ。博士」
「ですね、助手。賢いわれわれが教えてあげるのです」
「例えば、中型ネコ科の固い絆で結ばれたにゃんにゃんファミリーの仲間を個人的な嫉妬心で裏切ったカラカルというフレンズが居るとするです」
「仮の話なのです。あまり気にしては駄目なのですよ」
ミミちゃん助手が説明合間に言い加える。
「カラカルは仲間との
「聞いたことある名前なのだ……」
「そんなダークカラカルと、現在ジャパリパークに存在する普通カラカル。この二つは一つの可能性から存在する運命と考えても良いのですよ」
「んー? 難しいのだっ!」
「つまり、アライさんがフェネックと出会ったのも運命の一つ、出会わないのもまた一つと言うことなのです」
「それは……、出会ってよかったのだ」
「アライさん!!! いやー、嬉しいよー」
フェネックは珍しく満面の笑みを浮かべる。
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