第5話 なかま 2

 四人になった討伐隊はひそひそと茂みで話し合っていた。頭の切れるミミちゃん助手が話を進めていく。


「……と、こんな感じなのです」


 新しい作戦はとてもシンプルなものだった。

 セルリアンの気を引く役割を飛行と回避が得意なミミちゃん助手がこなし、その隙に攻撃、突破力の高いヒグマが止めを刺すというものであった。

 

 そして、残りの二人はそれを見守るという重大な役割をあたえられたのだ。


「つまり、この作戦のキーとなるのはやはり、このアライさんなのだ!」

「はいはい、静かにしてよーねー」


 三人は茂みから覗きこむ。


「では、行ってくるのです」

「ミミちゃん助手、任せたよー」


 ヒグマとアイコンタクトを交わすと、ふぁさふぁさと翼を広げてゆっくりと飛行する。


「――――――!!!」


 セルリアンの気を引き付けると、相手は形状を変化させ、触手が伸び始めた。ミミちゃん助手はそれを確認すると、飛行速度を上げ、橋の向こう側へと一気に加速した。


「「「おおー……」」」


 三人は茂みの中から、小さな歓声を上げた。


 ミミちゃん助手に触手が襲い掛かるが、それを猛禽類特有の足、可変する対趾足たいしそくによって上手くさばきながら防いでみせる。


「お姉さん、任せたよー」

「頼むのだ!」

「うん。トラのやつには負けてられないからねー。サイキョーの証明をしてくるよー」


 セルリアンはミミちゃん助手に攻撃を続ける。セルリアンが逆向きになった事で、背中に付いた石がアライさん達にあらわになった形となる。


 それを見付けると、待ってましたとばかりにヒグマは茂みから出た。

 見掛けに反した駿足しゅんそくで突進して飛び上がり、自身の武器を振り下ろす。


「本気でいくよー!」


 ドンッ!

 鉤状かぎじょうの鋭い爪がセルリアンに突き刺さると、動きが止まり、爆発した。丸状からキューブの形に変化して四散しさんし、キラキラと綺麗な光が橋一体に広がった。


「やった、やったのだ!」

「おおー……」


 二人も茂みから出ると、橋上の二人の元へと駆け寄った。


「流石は優秀な助手なのですよ。作戦は完璧であったのです」

「私はまた、サイキョーに一歩近付いたって訳だねー」

「一撃で倒すなんて、やるねー」

「これで、困っている皆も橋を使える様になるのだ!」

「あれー、そんないい話だったけー?」


 橋の上のセルリアンが退治された事により、今まで困っていたフレンズ達の悩みを結果として解決した形となったのである。アライさんとフェネックにとっては、遠回りをする事をしぶっただけではあったのだが。


「サイキョーに一歩近付けて、テリトリーのセルリアンも退治出来た。私にとっては良い事しかなかったよー」

「助手は恩を返しただけなのですよ」

「それに困ったときは助け合う。皆、ジャパリパークの仲間なんだからっ!」

「お、いいこと言うねー」

「当然なのだ!」


 それぞれが自分の行動理由で動いていた。

 しかし、理由がなんであっても、一つの目標に向かい、協力し合い、事を達成した事実はここに在った。そこには種を超えた何かがきっとあるのだ。


「さて、と。これで大丈夫そうだから、もう私は行くね」

「助かったのだ」

「どもども、ありがとうー」

「この辺を住処すみかにしてるから、また機会があったら声かけてくれると嬉しいな。それじゃ、またねー」


 ヒグマはこうして、橋から森へと入り、森林地へと帰って行ったのである。

 二人を阻む、困難が一つ解消された。

 そして、アライさんは本来の目的を思い出す。


「!! 早く向かうのだ!」

「はいよー」

「……?」

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