第4話 なかま

「ここは私に任せてよー」


 大きな体格とは裏腹うらはら俊敏しゅんびんな動きで駆け寄ると、ヒグマはセルリアンの攻撃を自身の武器で振り払いながら、壁となった。


「アライさん、そのを早くー」

「分かっているのだ!」


 アライさんとフェネックは二人で協力して空から落ちてきたフレンズを運び、森へと逃げる。ヒグマも三人が逃げ切るのを確認してから、その場から一時撤退した。


 そして、再び森へと移る。


「きゅー……」


 空から落下したフレンズはジャパリまんを抱えて、衰退すいたいしていた。


「た、助かったのだ!」

「大丈夫だよー。それよりも」


 三人は倒れたフレンズを心配する。

 すると、フェネックは正体不明のフレンズをじっと見つめて自分の記憶をさかのぼる。


「あれー? アライさん、この娘どこかでー……」

「んー……」


 すると、衰退していたフレンズがぱっと起き上がり、抱えていたジャパリまんを口に運んだ。


「むしゃむしゃむしゃ」

「「「…………」」」


 黙々と口を動かし、ジャパリまんを食べ終える。フレンズは、きょとんとした表情で首だけを回転させて三人と顔を合わせた。


「どうも」

「どうも、じゃないのだ!」

「んん~、あぁ! 思い出したよー」

「そうです。ミミちゃん助手ですよ」


 空から落ちてきたフレンズの正体は、フクロウ目フクロウ科ワシミミズク属のワシミミズク、通称“ミミちゃん助手”であった。


 ワシミミズクは一見小さく見えるが、めす翼開長よくかいちょうが150cmを超えるものも多く、力も強い事に加え、頭も良いと言われている。聴力を重宝ちょうほうする動物の為、騒がしい場所には寄り付かない。フクロウ科の中で世界最大であり強力なハンターである為、『夜の猛禽もうきん』と呼ばれている。

 体色は褐色かっしょくで不規則なしままだらの模様があり、目の虹彩こうさい橙色だいだいいろである。


 元動物同様に、狩りに適したコンパクトなコートを着込んでいる。全体の色合いは再現され、羽角うかくは縮小されて頭部に付いている。


 性格は元々、物静かで表情を変える事が少ない動物である為に、その点も同様ではあるが、フレンズ化後は積極的に研究に協力している事から口数はやや増えた模様。しかしながら、無表情が多い点は変化がないという。


「どうして、あんな所に落ちてきたのだ!」

「博士の所へ向かう途中で、ちょうどジャパリまんが置いてあったのです」


 アライさんとフェネックが作戦で置き忘れたジャパリまんを、ミミちゃん助手は飛翔中ひしょうちゅうに視認したのだ。


「そしたら、急に飛ぶ力がなくなって落下してしまった訳なのです」

「つまりは、お腹が減って元気が出なかったって訳だねー」

「そうなのです」


 ヒグマはミミちゃん助手の話に納得する様に頷いた。


「それより、橋の上にセルリアンが居ましたね」

「それに苦労してるんだよねー。ねー、アライさんー」

「そうなのだ! ここは一つ、ジャパリまんのお礼に協力してほしいのだ!」

「なるほど。あれは皆さんのジャパリまんだったのですね」

「そうなのだ!」

「アライさんのじゃないけどねー」

「わかりました。ミミちゃん助手、受けたおんはしっかり返すのですよ」


 こうして、更に一人、橋の上のセルリアン討伐とうばつに加わったのである。

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