第3話 きょうりょく

 頑丈がんじょうな体格を持ち、ホッキョクグマと並びクマ科では最大の体長を誇ると云われている。筋力、走力、嗅覚にけており、フレンズ化後もその能力を引き継ぎ、武闘を得意としているフレンズだ。


 外見は白の半袖シャツに黒のミニスカート、襟を留める青色のリボンがポイントで、灰色のスパッツを履いている。髪型は薄茶色のショートヘアで、前髪にはクリーム色の小さな丸模様が付いている。


 二人はヒグマにこれまでの状況を説明した。


「……と、いう訳なのだ!」

「なるほどー。つまり、目的地に行くのにセルリアンが邪魔して通れないって訳だねー」

「そ、そうなのだ!」

「ここはサイキョーである私に任せてよー!」


「「おおっー!」」


 ヒグマは熊の足を思わせる自身の武器を取り出して戦う姿勢を見せた。


「お姉さん、強そうだねー」

「頼もしいのだっ!」

「さぁ、キミ達。案内してよー」

「こっちなのだ」


 二人がヒグマを先導して渓谷へと戻る。

 そして、三人はセルリアンが視認しにん出来る距離まで接近する。


「アイツが通せんぼしてるんだねー」

「そうなのだ。近付くと長いやつで攻撃してくるのだ!」

「長いやつー?」

「ぴゅーって、あの状態から生えてくるんだよねー」


 橋の上にずっと居座るセルリアンにフェネックはちょっとした疑問を感じた。


「なんで、あのセルリアンはずっとあそこに居るのかなー?」

「それは、縄張りだからじゃないのか?」

「前はこんな所にセルリアンは居なかったけどなー?」


 ヒグマはこの辺りをテリトリーにしている為、自身のニオイがついたこの一帯の事を熟知じゅくちしている。


「もしてかして、散歩してるだけとかー? それとも日向ぼっこー?」

「そんなはずはないのだっ!」

「話し掛けても通じないしなー」

「戦うしかないのだ!」

「それには同意だね。私がサイキョーであり続ける為にも、倒さなきゃいけないしね」

「けど、セルリアンに攻撃はされても、やられたフレンズって聞いたことないよねー?」

「それは、たまたまに違いないのだ!」

「そうだねー。偶然ぐうぜんだと思うよー」

「んんー、ま、そうだね~」


 フェネックは二人の意見を受け入れた。

 そして、三人は更に距離を詰め、触手が届く茂みに数メートルの所まで近寄る。肝心な触手への対策は特に考え付いてはいない様子であった。


「いくらクマの爪が鋭いと言っても、近付けなければ倒せないからなー」

「誰かがセルリアンの気を引かなければならないのだ!」

「アライさんー、出番だよー」

「いや、嫌なのだー!」

「アライさんしか居ないよー。動きが早くて囮になってもいいフレンズなんてー」

「じ、自分はどうなのだ!」

「無理だよー。臆病おくびょうだしー」

「そ、そんなぁ……」


 フェネックはアライさんの手を優しく掴むと、いつもの表情で一つうなずいた。


「アライさん、死んでも忘れないよー」

「いやなのだぁ~!」

「あはは、さ、そろそろ戦うよー」


 ばたん!


 三人が話し合っている最中に、橋の手前で一人のフレンズが空から落ちてきた。


「――――――!!!」


 それに素早く反応し、橋の上で鎮座するあおが形態けいたいを変え、触手がフレンズへと襲い掛かる。


「危ないのだっ!」

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