ぐんまーちほーであーそぼ!13

 カバンとサーバルは、長老の家を後にすると、レイブンの道案内についていき、勾玉の掲げられている巨木の前へと訪れた。

「……ついたわよぉ。ここが、マエ・ヴァースィの勾玉よ」

「これは……」

「うわー! すっごくおっきーねー!」

 3人の前に存在する勾玉は、全長十五メートルほどの巨大なもので、近くで見ると、それはまるで大きな壁のような存在である。

 勾玉に封印されている濁った不純物――グンマーの呪いは、まるで見つめ続けるだけで吸い込まれてしまうような、そんな不思議な色を解き放っている。

「……窓の外から見たときとは想像がつかないような大きさです」

「えんきんほーってすごいねー!」

 サーバルが言う。

「それじゃあ…後は頼んだわよぉ……私もマエ・ヴァースィの呪いのせいで、ちょっと身体がズキズキしちゃってぇ……」

 表情を崩さないレイブンだが、額には脂汗が浮かび出ている。

「はい、後は私たちに……」

 カバンが言うと、レイブンは「お願いね」と一言いい、ふらふらと背中の羽で長老の家の方へと戻っていった。

「じゃあ、さっそく踊ろー! 何踊ろっかー!」

 サーバルが声を張り上げて言う。

「何って、どうしましょうか……」

 カバンが困ったように言う。

 踊りに関しては、特別指定はないと言っていたものの、いざ踊るとなると、何を踊ればよいか想像していなかった二人である。

「とりあえず、得意なダンスを踊れば良いんじゃないかなー」

「得意なダンス?」

「そうだよー! ほらほらー! ダンスダンスー!」

 そう言って、サーバルは両手を上げて、腰を振るように回転しながらダンスダンスと言っている。

 それはさながら、サンバを踊っているような賑やかで自由な踊りだった。

「そ、そうですね……私が出来る踊りと言ったら……」

 カバンは一瞬考えると、何かを思いついたようにして――

「ちょちょいのちょい! ちょちょいのちょい!」

「あははーー!! なにそれおもしろーい! 何ていうダンスなのー?」

「これは盆踊りという、日本古来の踊りなんですよ」

 そう言って、顔の前で両手を叩いては、手を頭の上に上げ、ゆったりとした動きで舞をする。

「カバンちゃんらしい可愛いだんすだねー!」

 そう言って、サーバルはダンスを更に激しくする。

「ダンス・ダンス・ダンスー!」

「だ、だんすー!」

 素人二人がぎこちないようにダンスを勾玉の前でしている。

 端から見たら、それは異様な光景としか見えないが――

 すぅ……

「み、見て……勾玉の濁りがっ!」


続く

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