ぐんまーちほーであーそぼ!9

「ここがシロちゃんの集落?」

 森を抜けてサーバルがシロに連れてこられた集落は、木を中心に家や田畑がある、昔ながらの民族の暮らしを再現したような場所だった。

「はい、グンマーで一番大きな集落の『マエ・ヴァースィ』っていうばしょなんです」

「ま、まえゔぁ…ゔぁ…」

「ふふ……ちょっと言いにくいかもしれないですね。『マエ・ヴァースィ』ですよ。みんなは発音が難しいからって『前橋』と言い換えているようですけど……」

「まえばし……まえばし! うん! 私でも言えるよー!」

「うん、サーバルちゃんは前橋で覚えてくれたら嬉しいです♪」

「うん! グンマーの前橋! シロちゃんの故郷!」

「はい♪」

「ねえねえ! シロちゃんのフレンズはここにたっくさんいるの?」

「いますよ。この集落の全員が私のフレンズです」

「わぁー! すごーい! フレンズいっぱいだー!」

 サーバルが目をキラキラと輝かせながら、シロの顔を覗き込んで言う。

「ねえねえ! 私にも紹介してー! みんなとフレンズになりたーい!」

「ふふ……でもその前に、サーバルちゃんに合わせたい人がいるんです」

「合わせたい人ー?」

「うん、サーバルちゃんに合わせたい人がいるから、この集落に連れてきたんですよ」

「もしかして、カバンちゃん!?」

「それはあってからのお楽しみです♪」

「えー! きになるー!」

 サーバルが駄々をこねたように言う。

「あそこにある、1番大きな民家に合わせたい人がいますから、今から行きましょう」

「そうだね! 私もそのフレンズにあいたーい!」

「…………」

「ふふ…そうですね」

「…………」

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