吾輩はサーバルである
黒骨みどり
第1話 サバンナ地方
どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。サバンナ地方からやってきたサーバルということだけは
木の上で
ここは吾輩の縄張りであるが鞄はどこから来たのか聞けばわからないと
鞄は足が遅く跳躍もできない。悲しそうにしているのを
疲れて木陰で横になっていると鞄があれこれと話しかけてくるが吾輩は疲れている。もし吾輩がいなければ鞄はセルリアンに襲われて死んでいたかもしれんのである。思い返せば
我々はジャングル地方へと歩いて行く。喉が渇いたので池の水を飲んだ。吾輩は口をつけてぐいぐい飲んだが鞄は手を使って器用に
河馬と別れてしばらく進むと目印の板が見えてくる。これを過ぎれば
ジャングル地方との境界には巨大なセルリアンがいて
それと、次会う時はサーバルちゃんと気軽に呼んでくれたまえと付け加えたが聞こえたかどうかはわからない。
しかし長い一日であった。トムソンガゼルや兎と狩りごっこをしても四足の頃の記憶から我輩を恐れてしまうので、あまり気分が良くない。その点鞄といるのは楽しく、旅という目的があるのもよろしい。鞄がとぼとぼと歩いていく背中を思い出す。縄張りへと帰る足が止まる。振り返ればまださほど遠くへは行っていないと見えた。吾輩が静かに鞄の後を追いかけて驚かしてやると、目をつぶって運を天に任せたような顔をするので、どうしたと聞けば食べないでくれと云う。吾輩は友達の声も忘れたかと少し怒った。すると鞄はサーバルさん。と安心した様子なのでサーバルちゃんと呼びたまえと再び云ってみた。さっき別れたばかりではあるが、もう我々は友達である。断られたら吾輩が泣くところであったが鞄は
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