第14話 (性描写あり)


「3年は引退試合を控えてるんだから、気を引き締めておけよ。今日は解散!!」

顧問の石沼いしぬまの声で部活が終わりを向かえる。

各自、部室へと戻り着替えを含め帰りの支度を始める。

鈴木すずき、鍵よろしくな」

部長から笙伍しょうごに鍵が渡される。

部室の鍵締めは当番制になっており、全員が帰ったことを確認して鍵を閉め、職員室まで届けることをしなくてはならない。

今日は笙伍しょうごが当番のようだ。

部員たちは徐々に部室から出ていき、最終的には真治しんじ笙伍しょうごだけになった。

2人だけになってしまうと、やはり変に意識してしまう。

先に帰ってしまおう。

そう思い、座っていた椅子から立ち上がろうとした時、笙伍しょうごにいつものように後ろから抱きつかれる。

「今日も疲れたー」

「それなら、早く帰る支度しろよ」

またか、と思いながら真治しんじはされるがままになってしまう。

そのまま、笙伍しょうごは肩にうずくまってくる。

「なんか、いつもより真治しんじの匂いがする」

笙伍しょうごはその姿勢のまま、クンと匂いを嗅いでくる。

「部活後で汗臭いだけだろ。だから離れ、ひゃっ!?」

笙伍しょうごから体を離そうとしたところで、首筋をペロッと舐められる。

予想もしていなかった行動をされ、真治しんじは変な声を上げてしまった。

真治しんじも可愛い声、出せるんだ」

調子に乗ったのか、笙伍しょうごは首筋を舐め始め、時折、甘噛みのように噛んできた。

その舌遣いがあまりにもいやらしく感じ、真治しんじはまた変な声が出そうになるのを必死に堪える。

「ふっ……、やめ、ろ」

「なんで?良さそうなのに」

そう言って、次は耳たぶを甘噛みされる。

「んんっ」

真治しんじは堪えられなくなり、口元に手で抑えて声が出ないように抑えた。

「耳も弱いんだ」

そんなことを耳元で囁かれる。

吐息がかかるだけでも声が漏れそうになった。

真治しんじってさ、俺に気を許しすぎだよね」

そう言うと、笙伍しょうご真治しんじの体を自分の方へと向かせる。

真治しんじのこと好きだって知ってるくせに。俺のこと……誘ってるの?」

笙伍しょうごが顔を近づけて手を取ってきたと思ったら、唇を重ねてきた。

「ふっ!?」

唇を割って入ってきた笙伍しょうごの舌は、真治しんじのものと絡んできていやらしい音を立てた。

「ふん、んぁ……っ」

唇が離れ、真治しんじの口の端から唾液がはしたなく流れ落ちる。

慣れないキスに息が苦しくなった。

「俺が、いつ、お前を誘った……」

笙伍しょうごを軽く睨みつけ、垂れた唾液を手の甲で拭いながら聞き返す。

「告白したら俺のこと意識してくれるかなって思ってたのに、抱きついても抵抗しないんだもん。煽ってるとしか思えないでしょ」

今ほど着替えたばかりのワイシャツのボタンを外されていく。

「ちょっ!!」

真治しんじは俺と同じ意味で好きじゃないの分かってるけど、俺は真治しんじのこと抱きたいんだよ」

そう言って、再びキスをしてきた。

それと同時に、ボタンを全て外され露出された胸の突起部分に触れられる。

「んん!?んっ……ぁ、や、め」

突起を指先で撫でられ、甘い痺れが体に走った。

「ねぇ、キスしただけで気持ちよくなったの?」

そう言いながら、笙伍しょうごは膝を真治しんじの下半身に押し当ててくる。

「こっちも半勃ちじゃん」

グイグイと膝を押し当てられて、再び真治しんじは口元を抑える。

「しら、な、……んっ」

こんな感覚は今まで感じたことがない。

真治しんじ自身、自分の体ではないような気分になる。

笙伍しょうご真治しんじの下半身から膝をどかしたかと思いきや、次はズボンのファスナーを下ろし始めた。

「ほ、ほんとに、やめろって!!」

その制止の声も虚しく、笙伍しょうごに下肢部分を露わにさせられる。

「んんっ」

そして、そのまま扱かれてしまう。

「ん、さ、触る、な……あっ」

口元を抑えていても、声が漏れ始める。

空いているもう一方の手は、真治しんじの下半身を扱いている笙伍しょうごの手首を掴んでいた。

「どう?気持ちいい?」

荒い息づかいとともに耳元で笙伍しょうごの声が聞こえてくる。

「ふ、ぁは、んっ」

その声があまりにも色気のあるもので、背筋に鳥肌が立った。

自分以外の人が触っているからか、いつもよりも敏感になっていた。

真治しんじのすごく熱い……」

「っるさ、んんっ、ふぁ」

笙伍しょうごの扱いてくる手つきが早くなる。

「まっ、も、むり……っ!!」

強い刺激に我慢できなくなり、笙伍しょうごの手の中で達してしまった。

「はぁ、はぁっ……?」

文句の1つでも言ってやろうと思ったのだが、笙伍しょうご真治しんじの吐き出された白い液を見つめながら固まっていた。

「……真治しんじ、ごめっ」

そう言い残すと、笙伍しょうごはそのまま部室を飛び出した。

「ちょっ、おい!!」

呼び止めも虚しく、部室には真治しんじ1人となってしまった。

座っていた椅子の背もたれに寄りかかり、呆然とする。

後片付け、していかなくては。

床にも白濁の液は飛び散っており、このまま帰るわけにもいかなかった。

自分でも不思議なのだが、案外冷静にいられるものだった。

だが、笙伍しょうごには明日、文句を言ってやろう。

「……当番なんだから、部室ぐらい閉めていけっつうの」

床に放り投げられた鍵を見つめながら、真治しんじは呟いた。


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