第11話
それからというと、
休憩の時はもちろん、お昼に部活、挙句の果てにはトイレに至るまで一緒なのだ。
これではまるで、
今日、何度目になるか分からないため息をつきながら、部活の隙をついて図書室の方へと視線を向ける。
やはり、
彼女がクラスに対していい印象を持っていないなんて――。
クラスに馴染めずにいるのは単に内気な性格なだけ。
自分が直接聞いたわけでないから、そうやって都合のいいようにして言い聞かせていた。
「痛っ」
いつの間にか後ろに立っていたらしく、
「お前、ボケッとしすぎ。ちょっと来い」
そう言って、
「お前さ、最近ボーっとしてること多いけどなんか悩みでもあんの?」
部室に入るなり、
先生も気にするほど呆けていることが多かったのか。
だが、まさか『
「……別に、何もありませんよ」
「あれだろ、恋の悩みだろ」
「はっ!?」
「なんだ、図星か」
お前は分かりやすいな、なんて笑いながら
「お前の好きな奴って誰?」
体を前かがみにして興味津々に聞いてくる。
「……学校にいる誰かですよ」
教えるつもりはないし、こんなこと言ったらイジられるだけだ。
「案外、
真っ先に、彼女の名前が出てくるとは思わなかったのだ。
「別に、そんなんじゃ」
「そうなのか。お前は
気付かれないように盗み見ているつもりだったが、意外にも周りにバレているのかもしれない。
「
頭の後ろで腕を組み、その時のことを思い出しているようだった。
「告白、ですか?」
だが、
「あれ、そういった話2人はしないのか」
「これ、言っちゃまずかったかな」
はは、なんて笑いながら立ちあがった。
「とりあえず、学校生活も残り少ないんだからそういうことは早くスッキリさせろ」
だが、また授業とか部活ではボケっとするなよ、とだけ言い残し
別に
自分には関係ないことではないか、なんで気にすることがあるんだ。
胸にモヤモヤした感情を抱えつつ、
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